MUSIC LAND -私の庭の花たち-

MUSIC LAND -私の庭の花たち-

「十三夜の面影」19








地球人と交わったら死ぬなんてこと本当にあるんだろうか。

でも、かぐや姫の言葉を信じるしかない。

見ているだけしか出来ないけど、

彼女を守りたいと思う。

他の男に何かされたら大変だ。

彼女と愛し合ってる僕でさえ我慢してるのだから。

それにしても、触れられないのは辛い。

肌に触れたら、そのまま進んでしまいそうで怖いのだ。

このまま見てることしかできないのか。

「クシュン」

かぐや姫のくしゃみだ。

裸でいたら、寒くなってきたんだろう。

「風邪ひくよ。」

慌てて、タオルケットを持っていって、かけてやる。

「ありがとう。」

僕を済まなそうに見つめる瞳が痛い。

抱きしめたいけど、抑える自信もなく、

彼女から離れてしまう。

「待って」

僕の背中が温かくなる。

彼女が後ろから抱き付いてきたのだ。

「やめてくれないか」

嬉しいけど、哀しすぎる。

「これ以上僕を苦しめないでくれよ。」

「ごめんなさい。」

パッと離れる彼女。

つい口に出して言ってしまったが、

傷つけてしまっただろうか。

でも、こうして同じ部屋で夜を過ごすのは酷だ。

今夜がやけに長く感じられるのは、

月の光のせいかな。

月に照らされた彼女を見たからだ。

「私、もう少しで帰られなければいけないの。」

唐突にそんなことを言い出す。

「そういえばもうすぐ十五夜か。」

帰って欲しくないと思うが、

この苦しみが続くのも耐えられない。

引きとめたくてもお迎えが来るんだよな。

「私が帰っても思い出してくれる?」

もう帰ることが前提なのか。

振り向いて、彼女を見つめる。

「思い出してしまうとは思うけど、

辛いから思い出したくないな。」

残酷なこと言ってるか。

息を呑んでるのが分かる。

彼女だって残酷だよ。

でも、わざとやってるわけじゃないんだよな。

少なくとも死んでしまうのは、どうしようもできないんだろうし。

うつむいてる彼女が可哀相になってきた。

「言い過ぎたよ。」

ポツンと独り言のようにつぶやいた。

顔を上げて、見つめる彼女。

その瞳から涙が溢れている。

こんなに傷つけてしまったのか。

涙をそっと口で吸い取った。

されるがままにしている彼女。

やはり抱きしめてキスしてしまう。

キスだけならいいんだよな。

それだけにしておこう。

そう自分に言いきかせていた。

続き






































© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: