6年前くらいに書き、途中のままになっていた童話「ベラのペンダント」の続きを書いてみようかと思います。
良かったら、最初から読んでみてくださいね。
童話「ベラのペンダント」1・2
です。
フリーページの最後の「続き」をクリックしていただくと続きが読めます。
また、挿入歌として 「遥かなるあなたへ」
を作詞作曲してみました。
上の題名をクリックしてみてくださいね。
ベラはユリウスに見つからないように涙をぬぐい、
何も無かったかのように
「時間がもったいなから、もう行くわよ」と
先に歩きだした。
「待ってくれよ」と慌てて追いかけるユリウス。
隣国への関所を無事通過できたとはいえ、
夢で見た光景はまだ見当たらない。
金色に波立つ小麦畑、石造りの町、小高い丘の上の城。
それが現実のものかさえ分からない。
両親の手がかりは、絹のおくるみと、蒼いペンダント、ベラの亜麻色の髪だけ。
こんなものだけでたどり着けるとは思わないけど、歩くしかない。
ないない尽くしで落ち込みそうになるが、
「これからどこに行けるか楽しみだな」と能天気なユリウスに救われる。
「ともかく今夜どこかに泊めてもらわないとね」とベラ。
「またローラみたいに親切な人がきっと居るよ」
「そんなに世の中甘くないわよ」
と言いながらも、そんな風に考えられるユリウスが羨ましい。
当てもなく、大きな道を進んでいくが、
日も暮れて、歩き疲れた二人。
「今夜は野宿かな」ベラがつぶやくと
「でも、まだ寒いから凍死しちゃうよ」とユリウス。
「そんなこと言ったって、この辺りには家も無いし、どうしようもないでしょ!」いらだつベラに、
ユリウスは「せめて木陰で休もうよ。夜露をしのげるだけでもいいから」と。
「そうね。じゃあ、あの木にしようか」二人は大木の下に座り込む。
身を寄せて絹のおくるみを巻きつけるが、
「もっとくっつかないと寒いよ」とユリウス。
「嫌だけど寒いから仕方ないわね・・・」二人で肩を抱き合うように眠りにつく。
明け方、あまりの寒さに目が覚めてしまった。
お互いのぬくもりでなんとか凍死しないで済んだものの、
ベラは悪寒がしてきた。風邪をひいてしまったらしい。
ユリウスが額をくっつけてみると、だんだん熱くなってくる。
このままじゃ、ベラが死んでしまうかもしれない。
ベラの体におくるみを巻きつけ、ユリウスは人を呼びに行こうとした。
「お願い、ユリウス。置いていかないで」
うわごとのように言いながら、手を伸ばすベラ。
「少しだけ待ってて。すぐに帰ってくるから」
ユリウスはベラの手を強く握りしめてから、飛び出していった。
(続き)