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童話「ベラのペンダント」17

童話「ベラのペンダント」17です。

良かったら、最初から読んでみてくださいね。

童話「ベラのペンダント」1・2 です。

2009-01-18 22:58:53

テレサは、スコッチ家に使いを出し、ベラに母ライザの存在を伝えた。

ベラは驚きながらも、喜んでマリア教会に飛んできた。

「お母さん、殺されたと聞いてたけど、生きててくれたのね。うれしいです。」

「ベラ、今まで会いに来れなくてごめんなさい。」

「記憶喪失だったんでしょ。今も思い出せないの?」

「なんとなく娘が居たというおぼろげな記憶ならあるのだけど。」

「それだけでもいいわ。今から思い出を作りましょうよ。」と明るく振る舞うベラ。

「そうね。でも、王妃に見つからないか心配なの。

あなたまで命を狙われないかと。」とライザは暗い目になる。

「本当にそれが心配よね。早くいい隠れ家を見つけないと。」とテレサも言う。

「王妃になんか負けないわ。今は王様もロザリーも私も味方ですもの。」と強気なベラ。

「そうは言っても、王妃がその気になったら、誰も止められないわ。

私の時だって、王様は知ってたら止めようとしてくれたはずだけど。」と言いながらライザは遠くを見つめた。

「王様は本当に知らなかったみたいよ。私が言ったらびっくりしてたもの。

王妃はまだ私がお母さんの娘だとは知らないと思うけど、

会うと凄い目つきで睨まれるの。もしかしたら、知ってるのかも。」

「やはり心配ね。もう王宮に上がるのは止めにしたら?」

「それはできないわ。ロザリーは可愛いし、王様にも会いたいの。」

「私も王様にお会いしたいけど、叶わないわよね。」と淋しげなライザ。

「大丈夫よ。私に任せておいて。」とベラは俄然張り切りだした。

やっと会えた母の為、自分にできることが見つかったのだ。

「無理しないで。王様には会いたいけど、あなたを危険な目に遭わせたくないの。」

「平気。お母さんの為だけでなく、王様いえお父様のためにも会って欲しいのよ。」

「ありがとう。そこまで言ってくれるのなら、会わせて貰おうかしら。

でも、決して危ない真似はしないでね。それだけが心配だわ。」

「私ももう子どもじゃないのよ。信じてね。」とにっこり笑うベラ。

お互いを思い合う母子をテレサは微笑ましく眺めていたが、やはり一抹の不安はぬぐい切れなかった。

「ライザが王宮に行くのは危険だわ。王様にお忍びで来てもらうと言うのはどう?」とテレサが提案した。

「テレサ、それはいい考えね。でも、どこに来てもらおうかしら。

ここは王妃に目を付けられてるしね。王宮の裏に使われてない庭園があったはず。

なんて、だんだん思い出してきたわ。」

と不思議そうに頭を抱えるライザ。


「良かった。少しずつ思い出せるかもよ。」とテレサ。

「私のことも思い出してほしいな」とベラが切実に言う。

「ぼんやりとだけど思い出してきたみたい。

赤と青のおくるみにつつまれた赤ちゃんが見える。

それがベラ、あなたなのかしら。」とベラを見つめるライザ。

「そうよ。そのおくるみはまだ持ってるもの。思い出してくれたのね。」と抱きつくベラ。

「まだ完全ではないわ。漠然としか思い出せない。ごめんね。」と押し返そうとするがベラは離れない。

「謝らないで。はっきり思い出せなくても、あなたが私のお母さんということだけははっきりしたのだから。」

「そうね。それだけでも思いだせて良かったかしら。

ともかく王様と逢う場所を決めないとね。

その使われてない庭園が今はどうなってるか調べてくれる?」

「わかったわ。ロザリーや王様に訊いてみる。」

「くれぐれも王妃には気を付けてね。」

「安心して、お母さん。こう見えて私はうまく立ち回れるのよ。」

「ならいいけど。私は不器用だから、誰に似たのかしらね。」

「きっと王様ね。」と二人で笑い合った。

テレサも思わず一緒に笑ってしまったが、

心から笑える日は来るのだろうかとも思ってしまった。

(続き)



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