山口小夜の不思議遊戯

山口小夜の不思議遊戯

PR

バックナンバー

2025年02月
2025年01月
2024年12月

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2006年05月02日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類

父と子と 』 第19節─愛しているよ─

 ワインと水が到着した。

 私は型通りのテイスティングをし、グラスをかざして、
 (『白』だ!)
 一口試して、
 (『白』だーっ!)
 と、そのことだけで満足し尽くし、そこに立って待つウェイターが、ついに、
 「いかがでしょうか・・・・・・?」

 「白だーっ!」
 と、もう少しで叫んでしまうところであったが、私は息子を前にした父だ。
 「うん・・・・まろやかだ」
 私は「適当」を言った。

 私は折り合いをつけられるオトコだ。
 だいたい、言ってから気づいたのだが、確かにまろやかだった。気に入った。
 残りは瓶ごと抱えて帰り、ソファに肩肘を付いてラッパ飲みしたい。いーじゃないか、それくらい──と、そんな気分にさせてくれる、とても優しいやつだ。

 私はもちろん、コレステロールや血圧や神霊と戦い、隙のない男であり続ける旨、決意を固めているが、ただ、自宅で完璧に一人となった夜などには多分、その程度の愚行が必要なのだ。私は折り合いはつける男だ。

 私は息子に何か言いたかった。
 息子はいま、水でよかったのかアルコールがよかったのか、ともあれ水を飲んでいた。
 その息子に、かのウェイターが、いや、よく見ればウェイターにしては風格のある、血圧・コレステ(以下略)共に必ずや私の上を行く、どうやらソムリエであるらしいその男性が、二言三言、声をかけ、息子が笑って、

 と応じたその時、私は心中、実に「にんまり」とした。

 私は父だ。私は息子を誇っている。私の辞書に「愚息」という言葉はない。


                            ─つづくよ─





 本日の日記----------------------------------------------


秋野真珠さま solya兄 舞夜じょんぬさま 架月真名さま 、愛、燦々とさん、juntanさん、oriさん、いずれの方々からも、小夜子の言葉のままでよい、とのアドバイスをいただきました。
 「あいつは」説をとっていたオットも、小夜子の口調ならばここは「あいつが帰ってきた」と言うだろうと最終的にはOKを出しました。語れ! 小夜子、語れ──というわけです(笑)。

 「 あいつが帰ってきた 」の文に関して、「このままお願いします」との確信的な一文を添えて提出したいと思います。
 ご協力をありがとうございました。さすが皆さま、真珠さん、solya兄、じょんぬさま、真名さん(コメント順)、juntanさん(絵本作家を目指していらっしゃいます)、oriさん、皆さま文章を書き慣れた方のアドバイスであると瞠目させていただきました。ほんとうに・・・・凄い、凄みまして素晴しい助っ人陣に恵まれました。

 さて、本日も急遽別のテーマを取り上げさせていただきます。
 (今日は決してしんみりとしているわけではなくて・・・・確信に満ちて元気に更新しております!)。

 『青木学院物語』のHP時代からの支援者であるよっくんさんから、
 「 青木のイメージにぴったり合う曲」 をプレゼントいただきました。
 (私自身は「イメージの曲」という概念がなかったので、新鮮な喜びでした)。
松岡英明の「Light and Colour」 という曲です。
 ヒカリと色彩という意味ですね──。

 “よっくん”さんからは以前からこの曲についてご紹介いただいていたので絶対にCDを見つけて実際に聞きたかったのですが、なかなか手に入る機会がなくて、今に至っていたのです。
 けれども、二日前によっくんさんが寄ったBOOK OFFに偶然(いや、もはやすべては必然か)置いてあったそうなのです。
 それも、一回探したら見当たらなくて、他のコーナーに行ってまた戻って見てみたら、この曲が載っているCDだけがあったそうです。つまり、松岡さんのCDはこの一枚だけで、それはよっくんさんが探していた曲が入っているものだったと・・・・。

 不思議ですね。とのお手紙をいただきました。

 よっくんさんが青木のHPを開いたとき、話を読み終わったとき、いつも流れていたメロディ。
 この方、音楽家の方です。ピアニストです。

 よっくんさんには楓のことをとても気に入っていただいてるのですが・・・・昨日の夕方にポストをのぞいてお手紙を受け取り、すぐにこの曲を聴かせていただいて、私の中にふと浮かんできたとある確信があります。
 私は出版化が決定した折のご挨拶の際に、心臓移植を望んでいる子供のために、この『青木学院物語』で得たまとまったものをぜひお役立てしたい、と申し上げたことがあります。

 よっくんさんからいただいたCDを聴いているうちに──「心臓移植も大切だけど・・・ 死の近い子供たちが、自分の生きた意味を知ることができるような 施設や環境の立ち上げ、あるいは整備に関われば・・・」という声を聴いたような気が致しました。
 もちろん、心臓にかかわらず臓器移植など、生きることを望む子供たちへ差し伸べる手も絶対に必要です。
 けれども、 長く生きることができない子供たちが、自分の生に誇りを持つことができるような 環境について目を向けろ──誰かにそう言われたような気がします。

 心臓移植さえしていたら、あいつは生きられた──間違った(偏った)考えであることはわかっているのに、どうしても・・・・あれから二十年近く経っているのにまだ全然思いきれていない私に、誰かさんがアタマごなしに叱ってくれたのかも。
 「おれがこだわらなかったんだから、おまえもいいかげん心臓移植にはこだわんな!」というわけです(笑)。
 自分のわだかまりを出版化で昇華するのはやめよう。
 私は書かされているだけ。今生での使命を終えてなお、あいつにはなにかを動かす力があることを私は信じています。
 そう考えれば、リライトの作業などは苦労のうちにも入らないことに気づくことができました。
 こんなにも皆さまに支えられているのだから。

 よっくん、ありがとう!
 CD、大切にします。
 そして、皆さま、本当にありがとうございます。
 このことについて、青木の“あとがき”で触れさせていただくかもしれません。


 明日は●17歳バトンがまわってきた!●です。
 solya兄からの17歳バトン。
 17歳といえば、小夜子が『青木学院物語』を書いた齢じゃないか!
 泣かせる企画をくれるねぇ、兄さ。
 明日、楽しみに待っててね。


 小夜子に力を!
 ◆お読みいただけたら 人気blogランキングへ
  1日1クリック有効となります。ありがとうございます。励みになります!

 追:松岡英明さんの“We Love You”も「青木っぽい」そうです。お手持ちの方はぜひ聴いてみてください☆ 皆さま、もし『青木学院』や登場人物のイメージに合う曲などがありましたら、その都度どうかご紹介ください。
   楽しみに──わくわくして待っております!







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年05月02日 08時43分59秒
コメント(14) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: