ガムザッティの感動おすそわけブログ

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gamzatti @ Re[1]:「ムー」「ムー一族」(05/28) ひよこさんへ 訂正ありがとうございました…
ひよこ@ Re:「ムー」「ムー一族」(05/28) ジュリーのポスターに向かってジュリーっ…

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gamzatti

gamzatti

2007.06.16
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カテゴリ: ドキュメンタリー
「蟻の兵隊」
検証と闘いの日々を記録したドキュメンタリーです。

元日本兵による旧日本軍に対する告発ものは
昭和のある時期、かなりポピュラーに取り上げられていたし、
「テーマ=結論」になってしまうきらいがあって、
見ても見なくても、いいたいことはわかる、みたいに考えがちです。
昨年の夏、様々なメディアがこの映画を紹介したり、評価したりしていましたが、
私は、ちょっと引き気味に、そんな騒ぎを眺めていました。

ただ、ある情報を知った時、私はこの映画を見ようと思った。


彼は、NHKスペシャル「 延安の娘 」を制作した人です。
文化革命時代に下放政策で延安に暮らした人々の青春と老い、
そこでできてしまった「子ども」の「今」をつづったドキュメンタリー。
急激な社会変革の中で、
人間がいかに翻弄されるものなのか。
人生をあきらめた父と、生活にしがみつく母と、
まっすぐな、混じりけのない瞳でおずおずと自分の存在証明を得ようとする娘。
誰がいいでも悪いでもない、そこにある真実のコントラストが
ただただ私を打ちのめしました。

その池谷監督が手がけた、「蟻の兵隊」。


ある時は、国が「兵」として認めてくれない被害者として、
ある時は、中国人を殺した加害者として、
真実を知ろうとする奥村氏の強い心に打たれます。

沈黙した奥村氏の表情、
言葉を選びながら、必死に訴えかける彼の口元、

荒い息遣い、
初めて中国人を銃剣で刺し殺す「訓練」をさせられた処刑場に立って呟く
「殺人現場に来た・・・」という言葉の重さ、
何もかもが、私たちに迫ってきます。

その上、
日本・軍幹部と中国・国民党側との密約や、中国人虐殺を綴った旧日本兵の文章が、
60年たった今でもきちんと保存されていたという衝撃。
奥村氏の目の前に提示されたそれらすべてを、日本の裁判は無視し続けます。

自分は、日本兵として戦った。国のために戦った。
それを認めてほしいという、日本人の願いを、
裁判は、国は、認めてくれません。

国とは、一体…。

かつて奥村氏とともに戦った97歳で寝たきりの老人が、
それも、付き添う老妻に「もう何もわからなくなりましたのよ」と言われた老人が、
奥村氏の話に反応して、大声で叫び出す場面もありました。

「ぅお~~~、ぅお~~~!」

哀願するような、訴えかけるような、何かを貫き通すような、乾いた眼差し。
死んだように生きていた一人の人間の奥の奥に、
いったいどんな力が残っていたのでしょう。

それを引き出すのは、怒りか、悔しさか、信念か。
いろいろなことを考えさせられました。

途中、自分が「殺せ」と言われて殺してしまった中国人の遺族に対し、
「自分は軍人として正しかった」ことを強調する場面があります。

その後、池谷監督は奥村氏にやさしく質問するのです。
「ごめんなさいね。
 あの時、もしかして、
 あの人がまったく無関係な村人じゃなくてよかったって、
 思いました?」

池谷監督が、奥村氏から絶大な信頼を得ていたからこそ
氏はこの質問に真摯に答えます。
でも逆に、長い時間をかけて奥村氏に帯同していた池谷監督にとって、
この質問は切り出しにくいものであったはず。
彼の「ごめんなさい」という言葉の持つ意味は大きい。

奥村氏は十分傷ついてきた。
傷を負い、苦しみ、それでも贖罪の旅に奔走する老人の心を知りながら、
なぜこんなむごい問いかけをしなければならないのか?

その壁を乗り越えて作った映画だからこそ、
この映画は「テーマ=結論」のありきたりな作品に終わっていない。

人間は複雑だ。
そのことを、実感させてくれるドキュメンタリーです。

この映画は昨年公開されましたが、
今も各地で上映されています。
詳しいことは、 スケジュール をご確認ください。










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Last updated  2007.06.16 12:50:22
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