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2008年09月22日
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先日、イタリアのミラノに出掛けてきました。

当地のテレビ・ニュースでは、連日アリタリア航空の再
建問題がヘッドラインで流されていて、日本に帰国した
らリーマン・ブラザーズの経営破たんが報道されていて
驚きました。

報道は表面的にしか確認していないのですが、アメリカ
の政府当局は、リーマンの救済には公的資金を投入せず、
その後表面化したAIGの経営危機には、公的資金を投
入して救済することになりました。


投入すべきか?」というテーマです。

この議論のポイントは、新聞等メディアの論調や社会の
一般的な認識では「私企業の経営危機に、公的資金を投
入することが許されるのか?」という論点です。

この論点をもう少しシャープに解釈してみると、次のよ
うなことが言えます。

「一私企業の利益(究極的には株主の利益)のために、政
府の公的予算を(つまり血税を)使用するのが許されるの
か?」ということになります。

この議論は、過去にすでに日本でなされた議論であり、
反対派の人々は「個別企業の救済に税金を使用するのは

市場や社会全体への影響があまりにも大きいので、一刻
も早く出血を止めるべきだ」と言います。

シンプルに考えれば、反対派の方の主張が正論であり議
論の余地はありませんし、これらの主張は相容れる部分
がない議論です。


ないといけないのではないかと考えています。

私たちが現在採用している市場のシステムや資本主義と
いうものは、完全に理解された上で使用されているのか?
という点です。

すなわち、社会には様々な事業があり、その事業を運営
するために株式会社などの仕組みがあります。また、株式
会社を合理的に運営するために株式市場で株式が流通し
ています。

事業の信用が小口に証券化され流通する仕組みが整って
いるということですね。

一方で、日々変動する株価の「さや」を抜いて利益を上
げるトレーダーという方々も職業として認知されていま
す。彼らは、小口に証券化された事業の価格と事業の実
態を「何らかの方法で」比較・解釈して売買の判断をし
ています。

資本主義の下では、どちらのビジネスも社会に利便性を
提供する正統なもので、まったく問題はありません。

ただし、ここでそれぞれのビジネスに携わっている当事
者が、この正しさや、市場全体の仕組みを完全に理解で
きているかどうかは分かりません。

少なくとも、私自身は会計や財務の正規教育を受けずに
成長しましたので、一本筋を通して理解できていると断
言する自信は持ち合わせていません。

もし、市場や資本主義に携わる私たち全員が、これらの
仕組みを完全に理解したうえでビジネスに携わっている
のなら、今回のような私企業の経営危機は、経営陣とス
テークホルダーの能力の問題ですから、公的資金で救済
する必要はないでしょう。

しかし、私たち全員が仕組みを知らずに市場や資本主義
に参加しているのならば、私たちの不明な部分に向かっ
て市場はオーバーシュートしていくことが容易に想像で
きます。

例えば、上記のトレーダーのような人々は、全員が市場や
資本主義のシステムを完全に理解して、証券等の売買を
していると言えるのでしょうか。

いま私たちが携わっている社会というのは、自分と接点を
持っている外的存在であると同時に、自分の生活や経済
も影響を受ける内的存在でもありますから、だとすれば、
大出血という悪影響が想像できる事態となったときには
「とにかく第一に出血を止めるべき」という判断を下す
べきという結論なのではないでしょうか。

このような問題というのは、単純に原因と結果が直接結
びついているような分かりやすいものではないことが多
く、いくつかの、または多くの間接的な影響が積み重なっ
て、問題が顕在化することになります。

したがって、私たちが現在理解している市場と資本主義が、
これからも同じようにありつづけると完全に分かってい
るならば、今まで積み上げて作ってきたルールを適用す
ることが可能です。

もし市場と資本主義がこれからも変化を続けるのであれ
ば、私たちは、それらを完全には理解できていないと謙
虚な姿勢を持つべきではないかと思うのです。

今回のような経営破たんが社会の問題だとするならば、ま
ずもって社会の出血を止めたうえで、本当の問題のあり
かを探す努力をする。

例えば、一つの可能性として、昨今の市場に多いビジネ
スの証券化と流動化のようなシステムが、実態の経済以
上に金融価値をもつことによる過剰流動によって、実態
の経済が大きな影響を受けてしまうような問題点が判明
したとするならば、問題の発生のメカニズムが再生され
ないよう修正する法改正など、の打ち手を打つべきであ
ろうと思います。

※この記事は、メルマガ記事の加筆・修正版であり、ビジ
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Last updated  2008年09月22日 18時03分39秒
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Re:公的資金を投入すべきか?(09/22)  
 うん、真その通り。
 基本的には公的資金を投入すべきではありません。それが国と事業家(企業)との分離です。あくまで自主自立を目指すべきなのですね。 (2008年09月23日 07時02分59秒)

Re[1]:公的資金を投入すべきか?(09/22)  
猪股 真  さん
かたつむりオジサンさん

こんにちは。猪股 真です。
コメントありがとうございます。

> うん、真その通り。

有難うございます!
石川先生にお褒めいただけるとは夢のようで
感激しています!

> 基本的には公的資金を投入すべきではありません。それが国と事業家(企業)との分離です。あくまで自主自立を目指すべきなのですね。

これからもご指導のほど、宜しくお願いいたします。
(2008年09月23日 16時59分45秒)

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