さくら日誌

さくら日誌

PR

Profile

女歯医者

女歯医者

Category

Archives

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2005.06.05
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
特養からショートステイ利用者さんの入れ歯を紛失したので、できるだけ早く作って欲しいと依頼されました。


患者さんは伝い歩き5m程度、認知症はかなり強く、自分の名前も言ってくれません。息子さんの顔だけは何とか解っていそうな方でした。

私は訪問に白衣は着て行きません。普段着の方が患者さんに言いたいことを言ってもらえますし、介護者さんも医療に限らず生活全般について話しやすいだろうと思います。

しかし、白衣の力を借りることもたまにはあります。特に認知症の強い方には制服は視覚に訴えて理解をしていただきやすいものです。そんな時はお宅に着いてから白衣を着させていただきます。

入れ歯の型採りはミラー・ピンセットや型を採るトレーなどを並べ、問題もなく口を開けていただけました。噛んでくださいという指示を通すのが一番難しいのですが、薄いビニールを「ちょっと失礼します」と噛みあわせの場所におくと、自然に噛んでもらえて誘導できます。これも何とか成功しました。

ところが、でき上がった入れ歯を口の中に装着した後で、微調整するために外そうとした時、患者さんが私の手を払おうと叩いてきます。ここは叩かれながらも得意の早業で入れ歯を外させていただきました。

しかし、入れ歯を盗まれたと思った患者さんは小さな歯茎で私の腕にがぶっと噛みつきました。驚いた介護者さんが患者さんを大声で叱りながら羽交い絞めにしました。
患者さんは羽交い絞めにされながら手をバタバタさせて泣きだしました。


同行していた技工士さんが磨いてくれた入れ歯を患者さんの口に戻してあげると、腕の中の患者さんがぐっと私に寄りかかって、先ほど自分が噛んだ私の腕をなでてくれました。
「大丈夫!ぜんぜん痛くないですよ。入れ歯盗ってごめんね。」と言うと、両手を合せて、にっこり笑ってくれました。

まずい!!また涙腺のゆるむ瞬間を技工士さんに見られてしまった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.06.05 09:22:45
コメント(5) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Favorite Blog

あるケアマネージャ… ケアマネボーイさん
みぇのつぶやき みやた みぇさん
花のひとりごと 花ですよ〜!さん
かんかんファミリー… kankan企画さん

Comments

矢野千恵子@ Re:涙が止まりません(06/05) 矢野 千恵子さん >介護施設に入ってほ…
矢野 千恵子@ 涙が止まりません 介護施設に入ってほぼ一ヶ月がすぎました…
ゆう@ とうとう出ちゃったね うわさは本当だったよ。 http://himitsu.…
花0635 @ Re:口腔癌と認知症(06/18) 「呆けるということは神様からの贈り物だ」 …
まんまる84 @ Re:遷延性意識障害のYさんが笑った!!(06/11) 経口摂食は私たちのQOLの重要な位置を…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: