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私の姉は結構、強烈だ。別に奇抜でもぶっとんでる訳でもないし、集団の中にいると地味にしているし話は格段につまらないし友達も少ないし40歳で独身でバイトで両親と同居している。
4歳違いの姉とは昔から仲が悪かった。喧嘩の原因はいろいろあるがやっぱり根底にあるのは私の「お姉ちゃんのくせに何もできない」という思いと、姉の「妹のくせに生意気」という思い。それはいい年になった今でもかわらない。けどもう大人なのでぶつかりあったりはしない。
姉はびっくりするほど何もできない。すごい。
というかやらない。
そう、やらないのだ。というか「やれない」と思い込んでいる。
ま~それはそもそもうちの母親の責任な訳だが、それは置いといて私が姉をすごく強烈だと思うのは何もできないこととは裏腹にものすごい強い生命力を持っていることだ。
身内なのにひどい喩えをするが、「サーカスの象」なのだ。
すごい力があるのに足に繋がれた鎖を切れないと思い込んでいるサーカスの象だ。
わたしがいつも驚くのは求職活動のフットワークの良さだ。姉は職場運のない人だ。いくところいくところ倒産したり改装したり閉店したりですぐに職を無くしてしまう。運だけでなくスキルもないので一番先に切られる。
しかし姉は後ろを振り返らない。同時に反省もしない。無職になっってもすぐに仕事を見つけてくる。人は無職になるとしばらく休んだり落ち込んだり充電したりグズグズすることが多いと思っていたが姉はどこにでも飛び込むチャレンジャーなのだ。
半年前は病院の受付をしていた。次に歯医者の受付。その次は入力業務。今は幼稚園で先生の補助をしている。なんと「先生」と呼ばれているらしい。
姉は携帯は電磁波がこわいとか、ネットは個人情報がもれるからこわいとか、自転車は事故がこわいとかいいつつ臆病を装っているが世間はいっこうに怖くないとみた。
何もできないくせに仕事を見つけるのはうまいのだ。というか雇うほうもすごい。私は臆病者なので未経験の仕事がこわい。いろいろバイトも経験したがどれも似たような職種ばかりだ。姉の勢いだと運転もできないくせにドライバーにもなりかねない。あぁ恐ろしい。
姉は生命力も強いが力も強い。ものすごい重い荷物を、しかも徒歩で運搬したりする。自転車乗れないから。タクシーに乗ればいいのにひとりで乗れないので歩くのだ。バスがくれば乗るようだが。
私にはいまだにナゾの多い姉だ。どこまでわかっててどこまでわかってないのか。とりあえずわかっているのは母親も姉本人もその強大な生命力にいまだ気付いてないということ。
もう40なのだから一刻でも早く結婚して子供を生んで、その強い生命力をいかんなく発揮してほしいと切に願っている。