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中国の春秋戦国時代のお話です。この辺りの歴史はややこしいですし、字幕に漢字が多くて慣れるまでに時間がかかります。広大な土地を惜しげもなく使った戦闘シーンも他の映画で一度は観たことありそうな、一言で言えば無難なデキ。迫力を最大限に味わいたいなら、音響のいい映画館での鑑賞をおすすめします。-----原題:墨攻(A BATTLE OF WITS)監督:ジェイコブ・C・L・チャン音楽:川井憲次出演:アンディ・ラウ 、アン・ソンギ 、ワン・チーウェン、チェ・シウォン、ファン・ビンビン、その他公式:■サイト [日本]-----紀元前370年頃、大国の趙(ちょう)は勢力を伸ばそうと大軍を率いて、燕(よん)に侵攻。その間に位置する小国の梁(りょう)は国を守るために墨家の革離(アンディ・ラウ)を呼び寄せる。墨家とは「兼愛」「非攻」を掲げる集団。自分と同じように他者を愛し、侵略せず守りぬく思想のもと、革離は10万もの敵兵を相手に作戦を展開していく。原作は酒見賢一氏の小説をベースにした森秀樹氏の同名コミック。連載が終了して10年程経つそう。監督のジェイコブ・チャンが、このコミックに感銘を受けたのも、ちょうどその頃。ゆえに構想10年。主演は香港のアンディ・ラウ、敵将に韓国のアン・ソンギ先生。中国・日本・香港・韓国の俳優、スタッフが手を組んだスペクタクル超大作という触れ込みです。墨家という集団が実在したのか、に関しては実在したらしい。では、彼らが「兼愛」「非攻」を掲げていたのか。なぜ忽然と姿を消したのか。これらを含め多くの点に関しては謎が多い。それもそのはず。日本でいうなら縄文時代。当時の中国はとてつもない先進国に映ります。ほとんど国政を為さない梁(りょう)の国王に呼ばれたのが革離の不運だったのか、いずれにしてもボランティアで駆けつける設定がとても画期的に思えました。初めはみんな半信半疑。次第に理念が理解され、信頼を得、兵士や民衆がまとまりだす。遠い昔、思想的にこんなにも成熟した集団いたとしたら驚き。そりゃ、戦時下過ぎれば王にとっては脅威だろうね。そんな革離(カクリ)でさえ、守るためには闘わなければならず、使命を果たしたのに謀反を疑われ、愛する人すら助けられない苦しみを味わう。戦争や人間の愚かさは現代にも通じます。無駄な肉を削ぎ落としたアンディ・ラウの精悍な顔。そのカッコよさがすべて。女はいらない。【関連記事】■アジア3カ国合作映画「墨攻」 成長・中国市場が牽引 FujiSankei Business i.■『墨攻』が日本ボックスオフィス 3位、韓国では不振 innolife■プレミア・イベントにアンディ・ラウが来日! MovieWalker【楽天ブックス】 墨攻 文庫版【OST】 『墨攻』オリジナル・サウンド・トラック
2007.02.22
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カ、カッコいいー。オッシャレー。TBSドラマ「輪舞曲」放送時、他ブログなどでパクリだなんだと散々書かれていたのは記憶に新しいところ。そのもととなる『インファナル』シリーズ。今更ですが、ようやく観ることができました。------原題 : 無間道 監督 : アンドリュー・ラウ , アラン・マック 製作 : アラン・マック 脚本 : フェリックス・チョン 出演 : アンディ・ラウ , トニー・レオン , アンソニー・ウォン , エリック・ツァン ------「輪舞曲」→『頭文字D』→『インファナル・アフェア』の順で観ていると「へぇー、豆腐屋の親父が伊崎さんかよ」みたいな。変なところで感動してしまうんですけど、久々にいい映画観たなと満足しています。警察とマフィア、それぞれに潜入した二人の男の生き様を描いた作品ですけどね。最初のタイ人との取引から非常に緊張感があり、いつバレるかバレないかドキドキしっぱなし。トニーとアンディもカッコいいです。うまいし。男密度が高いからか、とりあえず女優も入れときましたみたいな。女が絡むと間延びした感が漂うんですけど緩急も時には必要か。ずっと緊張だと疲れますからね。難を言えば、若者から大人の役者への切り替えが分かりづらかったのと、しょっぱなからお釈迦様や無間地獄などといった宗教用語が出てくるので少し構えちゃったところくらいですかね。まぁそこはさらっと受け流しても全然問題ない程度なので、あえてなんですが。作品を貫く美学と言うか、一本筋が通った感覚や見せ方はさすがのアンドリュー・ラウ。三部作ということなので残りの2,3もいってきます!【OST】『インファナル・アフェア』オリジナル・サウンドトラック【DVD】 『インファナル・アフェア』
2006.08.04
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貧しい身なりの少女が食べ物を探している。顔は汚れて黒ずみ、靴も履いていない。少女は死人の手に握られた饅頭(マンドゥー)を奪って走り出す。私がタイトルをつけるなら、第一章「それはマンドゥから始まった」。「チャングム」ウォッチャーですとクミョンが作った汁タイプか、チャングムが工夫したスンチェの皮かってところだけど、形は肉まんみたいなの。子供の手には少し大きめで。真ん中に赤い印がついている。森には鎧を着た兵士たちの死体がいくつも転がっていて。死体だと思った番人の少年が突然、口を開く。驚いてマンドゥを落とす少女に、番人は少女が奴隷になるのと引き換えにマンドゥを返してやるという。約束を信じた少年と裏切った少女。運命に導かれるように彼らは再び出会う。最初は子役です。この子が成長して誰になるのか、成長した姿を見てもにわかに信じがたいです。だって上には少女と書いたけど少年のようでもあるし。次に現れたとき王妃になってるんですよ。元ホームレスが。時代設定は3000年前ということですが、現代に近いかもしれないし、未来とも取れるし。何でもありのスペクタクルファンタジー。こういうタイプの映画は細かいことにこだわらず、監督のイメージの世界を素直に受け入れてしまったほうが楽です。敵味方の鎧から大地が赤と黒。二色に割れる戦闘シーンや、衣装、調度品の色彩感覚は鮮やかで、とても美しかった。さすが元JAC。鎧を身にまとった真田さんの立ち回りは将軍という名にふさわしい貫禄です。あと15cm身長があれば映えるのになぁ。全編中国語でのセリフ。それだけでも苦労がしのばれます。そうかといって、大画面で観るCGの荒さはいかんともしがたい。牛の大群はだんだん牛じゃなくなってくるし、人間凧揚げには笑っちゃったよ。屋根を疾走するチャン・ドンゴンももう少し何とかならなかったものか。途中から観たら鳥人間の話かと勘違いしちゃうよ。少女(傾城/セシリア・チャン)が満神と交わした約束は「本当の愛と引き換えに、この世のすべてを手に入れること」。勝つことを宿命づけられた大将軍(光明/真田広之)は一粒の涙が死に繋がる定め。俊足の奴隷(昆崙/チャン・ドンゴン)は、何かを望むことさえ知らずに生きてきた。この三人に敵役の無歓(ニコラス・ツェー)。嫌なヤツだけど彼にも意味を持たせたのが最後にいきてきます。ニコラス・ツェー、いいですよ。むしろセシリア・チャンより怪しい美しさがあります。人間の弱さに対する代償やトラウマを乗り越える苦しみ。内面の葛藤やそこから這い上がろうとするエネルギー。国や時代が違えど、必ず横たわる普遍的なテーマを盛り込んではいるけれど、見た目の奇抜さに目を奪われて、巨匠の描く自由な世界だけが浮いているように見える。一度観ただけでは「無極」の意味さえ、うまく説明できません。エンドロールの最後。真っ赤な「無極」の文字が印象に残りました。■『PROMISE/無極』オフィシャルサイト 日本版■『PROMISE/無極』オフィシャルサイト 韓国版【VCD】 『PROMISE/無極』 メイキングVCD(中国版)
2006.02.24
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香港映画にソン・スンホンが出ているというので「うそ~ん」と思ったんですが、いましたいました。正直、スンホンでなくてもいい役です。ゆえにあまり印象に残りません。カットされたシーンもあるのでしょう。彼がいてもいなくても映画としては楽しめました。次はぜひ彼の持ち味を生かした役でお目にかかりたいものです。主要な俳優だけ見ても台湾、香港、中国、韓国、日本出身とアジア色豊かなアクション映画です。字幕だと聞き流しそうですが、スンホンのセリフにも北京語?広東語?の吹き替えがあてられていました。実際は韓国語でしゃべっていて、相手役の女優さんは別の言語で演じている。この方法なら俳優が外国語をマスターしていなくても演技はできるわけですね。でもやっぱり違和感はあります。主役のスー・チーさん。スーチーと聞いてアウンサン・スーチーを思い出す私は歴史オタ入ってますね。もちろんアウンサンとは全く関係のない女優のスー・チーさん。『チャーリーズ・エンジェル』ならキャメロン・ディアス、『キャッツ・アイ』なら瞳的役割か。スカートのスリットから伸びるきれいな足やしなやかなアクションに目が釘付けでした。女性から見てもきれいでカッコよかった。途中でああなっちゃったのは、年に八本も映画撮ってる売れっ子ゆえの苦肉の策なんでしょうか。ちなみにスンホンは彼女の恋人役でした。妹役ヴィッキー・チャオちゃん。母国ではアイドルだそうですが『少林サッカー』での坊主姿を見るとガッツドルのよう。この映画ではキュートで向こう見ずな妹を好演してました。IT、システム、ハッカー、殺し屋、復讐など穏やかでない題材をカンフーアクションをからめながらスタイリッシュに見せる。一歩間違うと眼も当てられない作品になりがちですが、これは楽しめましたね。とくに最後の倉田VSヴィッキーVSカレンのアクション対決は必見です。 クローサー
2005.08.20
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『レオン』じゃなくて『レイン』です。ついでに『レインマン』でもないです。主人公が殺し屋なのは『レオン』と同じですが、こちらは耳の聞こえない殺し屋。しかも若くてカッコいい。タイ映画です。私はむしろこっちのほうが好きですね『レオン』より。時々、街の雑踏とか香辛料のにおいとかムエタイの汗といった一瞬むっとする生暖かい空気に包まれるような感覚を覚えました。音のない主人公の世界を体感するような、どちらかと言えばセリフは少なめで、彼の孤独や絶望を映像で見せていく手法がとられています。双子の兄弟監督によるスタイリッシュな色やアングルは世界からも注目されているんだとか。まぁ、そうなんだろうなぁ。主人公のロン役パワリット・モングコンビシットさん(公式ページでインタビュー映像が見られますよ)。彼、そんなに背は高くなさそうなんだけど、この人の目がいいです。殺し屋のときのギラギラした目。薬局の娘と話すときの少しオドオドした目。耳が聞こえない話すこともできない難しい役どころを目つきと表情で表現する。とてもいい役者さんです。ラストは泣かされました。ちなみに『レイン』とは日本公開時のタイトル。原題は『バンコク デインジャラス(危険)』。むせかえるような人間のエネルギーと純愛と絶望をぜひぜひ。『RAIN/レイン』公式ページはこちら レイン デラックス版
2005.06.17
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金城武さんも気になる俳優の一人です。基本的に長髪黒髪男子に弱いということもあってか、VolvicのCMの芸術品のような美しさ(上記写真参照)に打ちのめされてから、『LOVERS』のカンヌ上陸の際にいきなり短髪で登場して私を驚かせる(ご本人はあまりこだわりがないよう)など、表向きな話題はときどきのぼります。ここ数年仕事を作品の質で選ぶようになったと公言している彼の姿を日本で観る機会がめっきり減っているのは非常に惜しいことです。さらに今年からVolvicのCMキャラクターが柴崎コウちゃんに変わってしまいました。あの飲みっぷりは金城武にしか出せませんよ、Volvicさん。私にとってコントレックスに戻る口実としては十分です。で、タイトルの映画ですが。公式ページがまだ残っていました。正直、質で選んでコレなのか頭を抱えそうになりました。原作が絵本だそうで、濃いラブシーンはなく安心して観られる良さはあります。それに日本語でない彼の演技が見られるという点と、バイオリンを弾く彼の美しさ。思い返せるのはそれくらいか。運命の相手とのすれ違いもなんだかしつこく感じてしまって、最後はなんですか。コントですか。あんな突拍子もない出来事を持ってくるなら、始めから徹底的にラブコメ色を強くした方が笑って許せたかもしれません。彼が心底やりたいと望んだ作品に出会うこともファンにとっては喜ばしいことであり、結果的に内外から評価されることに繋がれば言うことなしなんですけどね。「世界進出するためにどこかに行って何かをするというんじゃなくて、どこに自分に合った仕事があるかということ」らしいので、それが日本であれば尚いいのになぁ、と思う一ファンであります。ターンレフト・ターンライト 特別版
2005.06.10
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監督 :チャン・イーモウ出演 :チャン・ツィイー , スン・ホンレイ , チョン・ハオ , チャオ・ユエリン その他 水も電気も通っていない中国の山間の小さな村に、町から若い青年教師が赴任してくる。盲目の母と暮らす18歳の村娘ディは、若い教師に恋心を抱く。井戸の水汲みも学校の近くへ行けるなら苦にならない。姿は見えなくても、教室から漏れてくる詩の朗読に耳を傾けるのが日課になった。初めてすれ違った日。初めて目が会った日。初めて言葉を交わした日。赤、ピンク、黄色といった印象的な色とともに、主演のチャン・ツィイーが、はにかみながら一途に教師を思う少女を瑞々しく演じています。月日は経ち。彼らの息子が語る現在は、モノクロ映像に変わっています。町へと続く一本道をなんとしてでも担いで帰りたかったディのこだわりと、100人の元教え子たちの心が痛いほど伝わって、最後は胸が震えました。後に「HERO」や「LOVERS」で見られる美しくて強いイメージとはまた違った、それでいて凛とした存在感を感じさせるこの作品が、彼女の映画デビュー作だと言う驚き。その後の活躍は皆さんご存知のことと思います。
2005.04.29
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監督 : ジングル・マ 出演 : リッチー・レン , セシリア・チャン , ウィリアム・ソー , エリック・ツァン ,その他制作は中国です。アン・ジェウク主演ドラマ「星に願いを」とは別ものです。「泣ける映画は?」と聞かれたら、外せないのがこの作品。ゴーストものが一ジャンルを築いている映画界で、ありがちといえばありがちな内容、古典的といわれれば古典的な展開。けれど最後まで飽きさせずみせてくれる。泣かせどころでしっかり泣ける。すっきり満足とはいかないまでも、人の優しさや相手を気遣う思いやり、言葉に出すと照れくさいけど、そういったストレートな感情に時には正面から感動してみるのも悪くない。私がアジアや韓国の映画・ドラマに求めるものって、きっとそんなところにあるんだろうな。主役の男の子は純(by「北の国から」)もしくは若い頃の岸谷五朗さん似(あえてクリソツをあげるなら、です)。女の子は菊川怜さんかな。何も書いていない日記を女の子のために読んで聞かせる男の子。彼女はそれを知らない。ああ、思い出すだけで鼻の奥がツンとします。セシリア・チャンのファンなら「ラブ・レター~パイランより」もおすすめ。
2005.04.22
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監督 :モハマッド=アリ・タレビ出演 :ハディ・アリプール , アミール・ジャファンダ , マジッド・アリプール , その他イラン映画です。サッカーでも戦争でもない、イランの普通の子供たちはどんな生活をしているのか。その一端が垣間見られる作品です。学校の窓ガラスを割ってしまった少年(11歳くらい)は、今日も校舎の入り口でぽつりと立っている。もう二週間教室に入れてもらえないのは、窓を弁償するまで授業を受けさせないと、担任からきつく言われていたからだ。しかし貧しい少年の家にそんな余裕はない。外は雨。割れた窓からしきりに雨が降り込んでくる。少年が窮状を教頭に訴えても「担任の指示通りに」と取り合ってもらえないどころか、今日中に窓ガラスを元に戻すように迫られる。少年の健気さに比べ大人たちのサービス精神のなさは、いかがなものか。少年の家庭の事情など一切考慮せず、ただ「弁償しろ」「お前が割ったんだから元に戻せ」「みんなが勉強できなくて困っている」と責めるだけで手を貸そうとする気はさらさらない。自己責任と言えばそれまでですが、相手は子供。せめて担任くらい彼の勉強の遅れを心配してやれなかったものか。あと、ガラス屋さん、客を山の上まで来させといて、取り付けは別かよ。分業にもほどがあるぞ。せめて平地で店構えしたってくれ。孤軍奮闘する少年の姿に涙です。
2005.04.20
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