最果ての世界

最果ての世界

デルクの王子


     それがもたらしたものは、多くの死と大陸を切り裂く
    高い壁だった。
     しかし、その歴史は唐突に変化を遂げる。

ここでは、物語の発端ともなるデルクの双子の王子について語ろう。


       デルクの双子の王子。
      兄にアディス、弟にイディスという名を与えられ。
     両親から分け隔てられることなく、深く愛されて育った。
      だが、この兄弟の性格はひどく対照的なものであった。
      兄のアディスは思いやりのある優しい王子、
     弟のイディスは冷淡で強引さの目立つ王子。

      デルク国では、代々世襲制で王家を守って来た。
     誰が口にするでもなく、次の国王はアディスと暗黙の内に
     決まっていたようなものだ。
      そのため、彼らの父である国王は進んで
     アディスに国政を学ばせた。
      そして、その補佐をイディスに行わせた。

      さらなる時を経ると、
     いつしか彼らのみで国を守るようになっていた。
      その頃からだろうか。
     パルテアとの会談も少なくではあるが、
     確実に行われるようになっていたのは…。

      しかし、運命とは突然にその方向を変えてしまう。
      彼らが18回目の誕生日を迎えた日。その祝いの席で、
      彼らの父が急死したのだ。
       それは、毒物による暗殺だった。そして、彼らの
      母もショックで病に倒れた。
       そして、そのまま亡くなってしまった。


   そのため、デルクはまだ若いアディスを王として迎えることとなる。


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