風の吹くまま 気の向くまま

風の吹くまま 気の向くまま

ミステリ単品

『しゃばけ』畠中恵

『星降り山荘の殺人』倉知淳

『ファントム・ピークス』北林一光

『弥勒の掌』我孫子武丸

『旧宮殿にて』三雲岳斗

『月読』太田忠司

『転生』篠田節子

『愛読者 ファンレター』折原一

『相棒 警視庁ふたりだけの特命係』

『心霊探偵八雲』神永学

『赤い夢の迷宮』勇嶺薫

『浦島太郎の真相』鯨統一郎

『競作 五十円玉二十枚の謎』若竹七海他

『名もなき毒』宮部みゆき

『推理小説』秦建日子

『凶鳥の如き忌むもの』三津田信三

『風果つる館の殺人』加賀美雅之

「アインシュタイン・ゲーム」佐飛通俊

『紙魚家崩壊』北村薫

『千一夜の館の殺人』芦辺拓

『99%の誘拐』岡嶋二人

京都七ふしぎの真実』姉小路祐

『ミステリ・オペラ』山田正紀

『天使のナイフ』 薬丸岳

『名探偵症候群』 船越百恵

 『ゴッホ殺人事件』 高橋克彦

『13階段』 高野和明

 どんでん返しの連続で、クライマックス近くではもうページをめくるのももどかしかったくらい。横でおじいちゃんが子どもたちと遊んでくれているのをいいことに、怒濤のように読み終えたのだった。

 ストーリーもさることながら、刑務所の実際、犯罪者の更正、死刑執行の手続き、死刑制度の問題点など、今まで知らなかったことが盛り込まれていて、勉強になった。加害者と被害者双方の心の問題にも感じるものがあった。うちのおじいちゃんが保護司をしているのでちょっと親近感を覚えたりもした。(保護司ってほんとにボランティアです)

 主人公たちにも感情移入したけれど、死刑執行の手続きをする、参事官や事務次官の思考描写を興味深く読んだ。大臣をこき下ろしているところがまた(笑)。
 そういえば死刑制度について、私はなんの考えも持っていないなぁ。うーん、強いて言うとすれば、南郷さんの考えといっしょになるのかもしれない・・・。

 この作品の映画は見てはいないけれど、南郷さん役の山崎努さん、死刑囚役の宮迫さんを見てみたいなあ、と思った。ビデオ出てたっけか。(2004.1.16)


『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午  文藝春秋

 だまされた、というのは本当は当たらないですね。自分が思いこんでいただけなので・・・。あ~私ってバカ~。
 語り口がハードボイルドっぽいのに人情に厚くて、主人公はいい人だなあと思いながら読んでいましたが、真相がわかったときには
「・・・やられた~!」
 思わず声が出てしまいましたよ。
 『このミステリーがすごい!』1位の理由がよくわかりました。

 未読の方へ・・・先入観は一切捨てましょう。

 とても分厚い本ですが軽く読めました。
 読み終えて一言・・・桜の紅葉って、とてもきれいですよ。(2004.4.27)


『二人道成寺』 近藤史恵 文藝春秋

 この方の作品は初めてです。
 歌舞伎の世界が舞台なので、用語についてわからないところもありましたが、それは些末なことで、さらっと読めました。
 淡々としたなかにも、「情念」を感じさせる世界。歌舞伎の『摂州合邦辻』と『新版歌祭文(野崎村)』という作品が下地になっていて、この中身を詳しく知っていれば、さらに奥深く読みとれるのかなと思いました。

 破滅的な恋・・・
「所詮望みは叶うまいと、思いのほかの祝言の、杯するようになって、うれしかったはたった半刻」(新版歌祭文)

 みんな優しい、いい人たちばかりで、切ないお話でした。(2004.7.4)


『犯人に告ぐ』雫井脩介

 『このミステリーがすごい!』2005年版第8位の作品。これもまた読み応えのある作品でした。

 「劇場型犯罪」ならぬ「劇場型捜査」をテレビという媒体を使ってやってしまおうという発想がすごい。
 話のなかでは、これを発想したのが曽根という本部長ですが、この人物、主人公の巻島を買っているのかスケープゴートにしようとしているのかよくわからないけれど憎たらしい上司でした。

 影も形も見えない犯人にちかづくのもやっかいなのに、植草という上司が私情からリークしたりなんかして、巻島が苦労します。でもこの件を巻島がどうしていくかもおもしろく読みました。
 信頼できる人物がそばにいることは、とても大切なことですね。

 読んでいくうちに、心配なことが2つ出てきたんですが、最後その心配が半分は当たったけれど半分は外れて、ホッとしました。(それは何かをいうと、ネタばれになるのでやめます。ミステリの感想は難しい・・・)
 ときどき泣かされる作品でした。

「人をたたき過ぎちゃあ、いかんのです・・・」
「叩けば誰でも痛いんですよ・・・」
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ・・・それは単にその人が我慢しているだけですからな」 by津田刑事(2005.1.2)



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