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私たちはたくさんの愛を贈られて生きている。この世に生まれて初めてもらう「名前」。放課後の「初キス」。女友達からの「ウェディングヴェール」。子供が描いた「家族の絵」―。人生で巡りあうかけがえのないプレゼントシーンを、小説と絵で鮮やかに切りとった12編。贈られた記憶がせつなくよみがえり、大切な人とのつながりが胸に染みわたる。 <感想> ★★★★☆角田祭り第二弾は、短編集の『Presents』典型的な量産型白角田で、読者を選ばない作品です。本書には12の短編が収められていますが、いずれも女性が生涯で受け取るであろうプレゼントがテーマになっています。 生まれて一番初めにもらうプレゼントの『名前』 ホワイトデーにもらった『うに煎餅』 結婚式で友達から贈られる『ヴェール』 子育てに悩んでいるとき贈られた『絵』 子供の結婚式で贈られた『ぬいぐるみ』 角田作品は特定の世代を描く傾向が強いように思いますが、この作品集に関しては、あらゆる世代の女性に受け入れられるように作られています。 個人的には、一人暮らしをはじめるときに母親から贈られる『鍋セット』がお気に入りです。 ル・クルーゼの鍋と雑貨屋で売っている鍋との対比。 夕暮れの商店街を歩く母娘の描写が秀逸です。あのとき母がくれたものは、いったいなんだったんだろうと思うことが、最近になってよくある。もちろんそれはただの鍋である。 けれど、鍋といって片づけてしまうには、あまりにもたくさんのものごとであるように思える。あなたは最近どんなプレゼントをもらいましたか?
2010.03.20
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