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久恒啓一

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京王線芦花公園の世田谷文学館でやっている「茨木のり子展」に行ってきた。
詩人・茨木のり子(1926-2006年)の詩と言葉に感銘を受けた。


「わたしが一番きれいだったとき」

わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番きれいだったとき

工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った

わたしが一番きれいだったとき

そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた

わたしは異国の甘い音楽をむさぼった

わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのようにね


「自分の感受性くらい」

  ぱさぱさに渇いてゆく心を
  ひとのせいにはするな
  みずから水やりを怠っておいて

  気難しくなってきたのを
  友人のせいにはするな
  しなやかさを失ったのはどちらなのか

  苛立つのを
  近親のせいにはするな
  なにもかも下手だったのはわたくし

  初心消えかかるのを
  暮しのせいにはするな
  そもそもが ひよわな志にすぎなかった

  駄目なことの一切を
  時代のせいにはするな
  わずかに光る尊厳の放棄

  自分の感受性くらい
  自分で守れ
  ばかものよ


「倚りかからず」

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ


「長く歳月をかけて自分を鍛え、磨き抜いてきた、底光りするような存在感といったら、私の言いたい品格にやや近づくだろうか。かなりの年齢に達しなければ現れない何かである」と品格の定義を説いた。
「いい詩には、人の心を解き放ってくれる力があります。いい詩はまた、生きとし生けるものへの、いとおしみの感情をやさしく誘いだしてもくれます。どこの国でも詩は、その国のことばの花です」
「良い詩は瞬時に一人の人間の魂を、稲妻のように見せてくれることがあるのです。」
「詩人とは、民族の感受性を大きく豊かにするために、営々と、心の世界、感情の世界をたがやす人のことかもしれません」
「青春は美しいというのは、そこを通りすぎて、ふとふりかえったときに言えることで、青春のさなかは大変くるしく暗いものだとおもいます。大海でたった一人もがいているような。」
「詩は志なり、」
「日々の出会いを雑に扱いながら、永訣の儀式には最高の哀しみで立ち会おうとする人間とはいったい何であろうか?」
「永訣は日々のなかにある」


茨木のり子は凛とした人だった。「後藤正治「清冽--詩人・茨木のり子の肖像」から、以下、関係した人たちの茨木のり子の人物評をピックアップしてみる。
清冽―詩人茨木のり子の肖像

清冽―詩人茨木のり子の肖像

作者: 後藤正治
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「宝塚の男役のごとく」「背筋の伸びた、凜々とした風情のなかにまたふんわりとした感触があって、素敵な人だな」「あまりにも、ちゃんと生きていこうとする日人である」「男運に恵まれた人だった」「古代ローマのギリシャ彫刻を見るような」「ずばっと決断し、立つときは独り立つ。潔さ」人としての度量があって、女性にみられがちなネチネチしたところがない。気性は男性的でスカッとしている」「背筋が伸びて立ち居振る舞いは凛としている。文は人なり、であった」




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Last updated  2014/05/05 07:04:13 AM
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