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ＧＷ初星や！虎・筒井→球児、必死リレー

虎党の心臓はバクバクだ。終盤の大ピンチを乗り切り、ゴールデンウイーク初白星。２－１の九回二死一、二塁。藤川が一打同点の難局を辛くもしのいだ。

　「点をとられなかったからね。結果がすべて。またあした」

　守護神は打ち上げられるジェット風船の中、安堵の表情を浮かべた。筒井と球児の必死のリレー。文句なしにヒーローは八回の絶体絶命の場面を抑えた筒井だった。

　「開き直って自分のピッチングをするしかないと。満員のお客さんがいて不思議なパワーをもらいました。歓声？　届きました。ありがとうございます！」

　筒井が岩田と並んだお立ち台で喜びの絶叫だ。緊急登板で躍動した。八回に２番手で登板した榎田が一死満塁の危機を招いた。ここで和田監督は迷わず筒井をマウンドに送った。

　「しびれました。七回に一度準備していたので体はできていたし、気持ちを上げた」。左腕は高橋由を遊飛、谷を右飛。谷への初球チェンジアップ以外は直球。魂の１０球で球児につないだ。

　こどもの日の快投。先月、２歳の誕生日を迎えた愛娘が生きがいだ。休日は『アンパンマン』のビデオを一緒に見る。“悪役”が襲ってくるシーンで必ず怖がって抱きついてくる。そんなことで心が癒やされた。ヒーローインタビューで子供のファンへメッセージを求められると「応援ありがとう！」と、ファンと愛娘のためにまた叫んだ。

　筒井のあとを受けた球児は、マウンドでは和田監督から「頼んだぞ！！」との言葉も受けた。一、二塁のピンチこそ招いたが、最後は寺内をフォークで空振り三振で締めた。２日の中日戦では榎田とともに１失点し、痛恨の引き分け。虎の守護神として３度目の失敗は許されないことは十分承知だった。ブルペンでは投手キャプテンとしての仕事も果たしていた。「満塁で三振も取りやすい。いくだけやで！」。今春のキャンプで公私ともに面倒を見る筒井がマウンドに向かう際、気合を注入した。

　「ベンチにも信頼してもらっているし、自分も信じて投げることができている」。１２試合連続無失点の筒井が頼もしさを増す。負ければ４位転落もあった“決戦”を獲り、連敗は５でストップ。さあ反撃はここからだ。　

３度目の正直！虎・岩田“リベンＧ倒”や

涙の復活星からちょうど１年－。左腕にとって、「５・５」は特別な日なのかもしれない。先発した阪神・岩田は７回を投げて、７安打１失点。走者を背負いながらも粘りの投球で、今季２勝目をつかみ取った。

　「僕も全然勝てなかったのと、チームも連敗していたので、勝ててよかったです」

　筒井と並び、お立ち台に上がった。最大のピンチをナインとともに乗り切った。

　２－１で迎えた七回無死一、三塁。ボウカーの二塁への当たりを捕球した平野が、すかさず本塁へ送球した。三走・高橋由の本塁生還を許さず「守備」の援護を受けると、なおも一死一、二塁の場面で、代打には阿部。カウントが不利になると鳥谷が歩み寄り「思い切っていこう」と言ってくれた。キャプテンの言葉で吹っ切れ、阿部を外角スライダーで空振り三振。続く代打・亀井も二ゴロに斬り、この回無失点。左手で力強くガッツポーズした。

　“記念日”に負けるわけにはいかなかった。昨年の５月５日の巨人戦（東京Ｄ）。２０１０年に左ひじ手術により離脱してから、５７８日ぶりとなる復活星を挙げた。お立ち台では自然と涙があふれてきた。

　あれから丸一年。あの日以来、巨人戦にはこの日までで８度先発するも１勝５敗。今季も勝ち星なしの２敗だったが「何も考えずにいきました」と淡々と話していた。それでも内に秘める闘志をたぎらせ、同じ相手に同じ日付、同じ投球回、そして同じ失点数での勝ち星。不思議な縁を感じずにはいられなかった。

　「１個勝つのと負けるのではチームの雰囲気が変わるし、いい投球をすれば勝ちに近づいていける」。なぜか打線の援護に恵まれないと言われる左腕。それでも、いい投球を続けていれば、必ず勝ちが付くと信じて－。岩田はマウンドに立ち続ける。

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