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藤浪、ビックリ仰天１号や初星や！和田虎最長タイ６連勝

　（セ・リーグ、広島２－８阪神、１回戦、阪神１勝、１５日、マツダ）ド派手な「藤浪劇場」で６連勝だ！　阪神は２０歳になったばかりの藤浪晋太郎投手が鯉打線を７回２失点に封じ、今季３試合目で初勝利。六回にはプロ５１打席目で初本塁打も放った。これで首位広島とゲーム差なし。１６日、一気に奪首する！！

　やはりこの男、ただ者ではない。１２日に２０歳になって初のマウンド。自身の成人祝いを、ド派手に飾った。広島との大事な首位攻防戦、主役は投打に、藤浪だった。

　「逆方向なので入るかなと思ってましたが、自分でもビックリしています。たまたま振ったら当たって、いいように飛んでいってくれました。感触はよかったです」

　プロ５１打席目での驚弾は５－１の六回だ。広島のＤ２位・九里亜蓮投手（亜大）の直球をフルスイング。美しい放物線が右中間席へ消えると思わず右手を突き上げた。飛ぶボール！？　いやいや大阪桐蔭高時代は通算３本塁打だが、甲子園で２発も放り込んだ男だ。和田監督も「今年は打つ方の内容がいい（７打数３安打、打率・４２９）。高校時代の打棒が甦ってきた。よう飛んだね」と最敬礼する一発で、チーム６連勝を決定づけた。

　“本業”も魅せた。７回２失点で今季３試合目にして初勝利。直球は自己最速タイ１５５キロ。二回にエルドレッドに左中間へソロ、六回二死三塁からキラに右前適時打を浴びたが、それ以上の失点は許さなかった。

　過去２試合、終盤に制球が乱れた。今回は中西投手コーチとフォームを微調整。抜け球の原因となる、右腕が体の軸から離れないよう改善。そして、新たな武器も手に入れた。スプリットだ。

　「ヤンキースの田中（将大）さんらを参考にしました。投げやすいところを探していたので」

　日本の大エースの投球を映像で研究し、自身のフォークの握りを浅く改良。カットボールだけだったウイニングショットが増えた。この日も新球で何度も空振りを奪い、「よかった。しっかり投げられた」と好感触だ。

　何より欲していた勝ち星だった。先日、休日を利用して母・明美さん（４９）とともに梅田へ買い物に出かけた。表情は普段と変わらない。だが…。「勝たなあかん」。自分に言い聞かせるように息子がつぶやいた言葉は、母の耳にこびりついているという。

　「正直、ホッとしています。勝てない苦しい時期もあった。きょうは自分で勝ち取ったという感じではなく１つ勝たせてもらったので、次以降も乗って行けたらいい」

　チームは今季初の６連勝で鯉とゲーム差なし。１６日にも単独首位に躍り出る。メッセンジャー、能見、榎田と渡ってきたバトンを藤浪がつなぎ、虎の先発陣がついに“開幕”した。　（西垣戸　理大）

◆主な高卒選手の初本塁打あらかると

　★江夏豊（阪神）　１年目の１９６７年４月２３日、中日戦（金沢）。三回から２番手で登板し、四回二死一塁で山中から右翼場外へ２ラン

　★桑田真澄（巨人）　２年目の１９８７年７月８日、広島戦（札幌円山）。６５打席目の四回二死一、二塁で、北別府から先制３ラン

　★松坂大輔（西武）　日本最終年の８年目の２００６年６月９日、阪神戦。八回二死三塁でダーウィンから甲子園左中間へ２ラン。２０打席目

　★前田健太（広島）　２年目の２００８年９月２８日、ヤクルト戦。四回二死、３６打席目で川島亮からソロ。広島市民球場最後の公式戦でのプロ初本塁打だった

　★大谷翔平（日本ハム）　１年目の２０１４年７月１０日、楽天戦（Ｋ宮城）。「７番・右翼」で出場し、四回一死三塁で永井から右翼席へ２ラン。９２打席目

データＢＯＸ
　◎…藤浪が六回にプロ初本塁打。投手の本塁打は昨年の広島・野村祐輔（９月１２日のヤクルト戦）以来で、阪神では同年の能見篤史（５月６日の巨人戦）以来
　◎…阪神の選手で２０歳０カ月以下で本塁打を放ったのは１９９５年の平尾博司（１９歳７カ月、８月３日のヤクルト戦）と高波文一（１９歳９カ月、８月１９日の横浜戦）以来１９年ぶり。投手では６７年の江夏豊（１８歳１１カ月、４月２３日の中日戦）以来４７年ぶり

藤浪、初勝利も反省の弁「もう少し投げたかった」

　「勝ちたいですし、勝つことしか考えていない」と勝ちにこだわった今季３度目の先発。二回、広島の先頭打者、エルドレッドに１５０キロのストレートをすくい上げられ左中間スタンドへ先制本塁打を喫するも、踏ん張った。六回、キラに右前適時打を許すまで追加点を与えなかった。過去２試合では１００球を超えた後に崩れたため、この日は七回終了後で降板。安藤にマウンドを託した。

　好調な虎打線も、藤浪に勝利を贈るべく、鯉に牙をむいた。１点リードされて迎えた三回にゴメスの適時打で同点。五回には鳥谷の左中間フェンス直撃の適時二塁打で勝ち越すと、新井良の右中間越え２号３ランで一気に４点追加。六回には自らのプロ初本塁打でダメ押し点を奪った。

　今季初勝利にヒーローは、「（チームの）いい流れを消さないように投げました。楽な展開にしてくれた野手に感謝したい。リリーフ陣に負担をかけないようにもう少し投げたかった」と打線に感謝しながらも反省の弁も。プロ１号については「振ったら、たたまたま当たった。ラッキーでした」と喜んだが、投球には満足はしていない。「１、２戦は不甲斐なかった。取り返していきたい」と決意を込めた。チームは首位攻防第１Ｒを制し、連勝を６と伸ばした。好調の虎がどこまで連勝記録を伸ばすか、注目だ。

和田監督
「去年終盤は広島にやられていた。（カード）一回り目で勝てないと、その雰囲気を引っ張りかねない。あしたも取る」

「変化球は低いところに入っていたし、真っすぐが（指に）かかっていた」

大和（４試合ぶりに安打）
「少しだけ気持ちが楽になった」

阪神・藤浪がプロ初本塁打！　通算５１打席目のメモリアル弾

　（セ・リーグ、広島－阪神、１回戦、１５日、マツダ）阪神・藤浪晋太郎投手（２０）が、広島戦でプロ初本塁打を放った。

　４点リードの六回無死走者なしで２番手・九里の２球目を捉え、右中間スタンドに運んだ。「無我夢中だったので、よく覚えていません。自分でもびっくりしています」。春季キャンプ中のフリー打撃では度々、サク越えの当たりを見せていた若き右腕がプロ通算５１打席目で驚きのアーチを描いた。

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