心の貯金箱　タイプA

​ その男に残された時間は　ほんのわずかだった。

車検担当の中年男性社員に返答する時間。


問題を指摘された箇所を　直したり交換したりして　進めるのか？

それとも車検は　中止するのか。。。

中止ということは　車を買わなくちゃいけないということだよな。。。

それも　車検が切れる　あと5日以内に。。。

その男は

「今回はすみません、車検やめときます。」

言葉が先に　出てしまった（ようだ）。。。

続けて

「中古の車って　ここで売ってますか？」

担当者に尋ねてみる。

「うちの営業と相談してみてください。」

担当者はそう答え、ショールームにその男を案内する流れに。。。


その男の人生は　確か

​ 『行き当たりバッチリ』 だった。​


（流れに乗ってみるか）

・・・・・・・・・・

しばらくすると　中年の営業マンらしき男性社員が　その男の前に現れる。

そして　まるいテーブルを挟んで向かい合わせに座る。


「うちでは　軽自動車の中古車は　今　無いですが

同じような感じの車でいいですか？」

「はい。高齢者を乗せる関係もあり　背は低くない方がいいです。

それと　予算はこれ位で。」

「ちょっと　探してみますね。」

担当者は　タブレットで検索を始める。。。


「これなんかどうでしょう？」

担当者は　しばらく検索した後　その男に示す。

「なるほど。。。」（まあまあかな）

その男は　答える。


担当者は　その男に

「現地で　現物を見てみますか？　他にもいろいろあるから

見に行ってみるといいですよ。」

「わかりました。　これから行ってみます。」

その男は　そう答える。

「じゃあ。電話入れておきますね。」

その車検の店と　つながりがあるらしい中古車専門店の場所を

その男に　案内する。

そして　その男は　紹介されたお店に向かうことに。


何せ　その男に残された日にちは　あまりないのだ。

・・・・・・・・・・

その男は　紹介されたお店にたどり着く。

若い感じの男性社員が　すぐに現れる。

車検の店から　連絡が入っていたようで

すぐに　提案のあった車のところに　案内される。

ドアを開け　その男は　運転席に乗り込む。

男性社員は　説明を始める。。。

（まあまあかな）

男性社員は　その男が　少し予算オーバーであることを

察知する。

そして

「お客様　そういえば　今日入荷した　車があるんですが

見てみますか？」と聞いてくる。

「はい。」


その車は　パッと見　イイ感じ～　だったようだ。

運転席に座った感じも　悪くない。

予算内でもある。

「どうしようかなぁ。。。」

担当者は　

「車検がもうすぐ切れるようですね。代車を無料で貸し出しますよ。

タイヤは新品にします。車の下のさび止め加工もやります。

すべて予算内でやらせてもらいます。　どうでしょうか？」

その男は　その場で決めてもいいかと思ったようなのだが、

「1日～2日　（返答は）待ってください。

何せ　今日は　車検だけのつもりだったので

車を購入することになるとは　思っていなかったもので。。。」


その男は　部屋に戻り　パソコンで検索を始める。。。

・・・・・・・・・・

その男は　2番目に紹介された車が　気に入ったみたいで

（燃費がイイらしい）

​ D社 のその車を中心に　検索していた。

・・真夜中​・・

（おっ！これイイんじゃないの～～～）

​（ 直感 が　やってきたようだ！）​

色はホワイト　見た感じとてもキレイ　年式も新しめ

販売店の印象も　イイ感じ　予算内で　いけそうだ～～

（これ　欲しいかも！）

・・・・・・・・・・

次の朝　その男は　その販売店に　電話を入れる。

​「掲載している　 D社の〇〇・〇ー〇 　まだありますか？」​

（その車は　2～3日前に　掲載されたばかりだった）

「大丈夫です。まだありますよ。」

（電話応対した男性社員の感じは　とてもイイ）


お昼には　その男は　その車の運転席に座っていた。

そのお店の　経営者らしき男性から　説明を受ける。

「乗れるようになるまで、代車借りられますか？」

​（前日に　 車検が切れても、代車で対応できる　 ことを聞いていた）​

「大丈夫です。乗れればOKの車でよければ。。。」

「この車は　神奈川県の会社で使用していたようで

とてもキレイでしょ。車の下のサビも少なく　エンジンも状態イイですよ。

寒冷地対応。ナビもあり。。。。。」


（気に入った！これ買います！）

・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・

その男が　たぶん6年ほどお世話になった　軽自動車は

その車屋さんにお譲りして

​今　とても気に入ったという　 D社 の車に乗り始めているようだ。​

とても　静かで　快適～

まるで　ベンツを運転しているような感じだ～～

（その男は　ベンツを　運転したことはないはずなのだが）


〇中古車を購入する場合のポイント〇

走行距離よりも、年式というか　どこで乗っていたというか

​車の下の部分のサビの状態を確かめる必要がある。​

（前の車は　走行距離が短くて　気に入った面があるのだが、

年数がたっていて　車の下のサビが浸透していってたようだ。）


その男は　少しは　「 違いの分かる男② 」になったようだ。


​感謝​