十一番札所 藤井寺(ふじいでら)
弘法大師が厄難を取り除こうと刻んだ薬師如来像を本尊として安置。江戸時代、2度の火災に見舞われながら本尊だけは被害に遭わなかったことから「厄よけのお薬師さん」として厚く信仰されている。
弘法大師が金剛不壊(永遠不滅の意)の護摩壇を築いて修行し、その後、山門脇に5色の藤を植えたと伝わることから金剛山藤井寺と名付けられた。春には棚からぶら下がる藤の花が咲き誇り、お遍路さんの目を楽しませる。四国88か所では珍しい臨済宗の寺。
JR徳島線鴨島駅で下車して、徒歩約15分。徳島県鴨島町飯尾。
12番札所・焼山寺
弘仁6年(815年)、弘法大師が虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)を本尊として開基。
大雨や大風などの災害を引き起こして人々を困らせていた大蛇を、大師が法力で岩くつに封じ込めたという伝説が残る。大師の行く手を阻もうと、大蛇が山一面に火を放ったことから「焼山」の名がついた。三面大黒天堂には、招福除災を願って大師が自ら彫ったとされる像が安置されている。
JR徳島駅から焼山寺行きバスに乗り、約40キロ。終点で下車し、徒歩1時間30分。徳島県神山町下分地中。
13番札所・大日寺
815年(弘仁6年)、弘法大師が境内北側の大師の森で修行していた際、大日如来が現れ、お告げがあり、大日如来像を刻んで、その像を本尊としてお堂を建てたと言われる。
別名、一宮寺とも言われ、道路をはさんで一宮神社が建っている。もともとは一つだったが、明治元年の1868年に神仏分離令で分離し、十一面観音を新たに本尊とした。
JR徳島線府中駅下車約5.5キロ。徳島市一宮町西丁263。
14番札所・常楽寺
弘仁6年(815年)、弘法大師が開基。四国霊場の中で唯一、弥勒菩薩を本尊として安置している。
自然の岩盤の起伏を利用し石段は「阿波の青石」と呼ばれる岩で出来ている。イチイの大木「あららぎの霊木」は、弘法大師が自らさし木をしたと言われ、糖尿病などに効果があるとされる。木のまたにまつられた小さな石仏「あららぎ大師」が有名。
JR徳島線府中駅から徳島バスに乗り、「常楽寺前」で下車。徳島市国府町延命606。
15番札所・国分寺
741年(天平13年)、聖武天皇の詔勅で各国に建立された国分寺の一つ。本尊は行基が彫りあげたと伝えられる薬師如来。
現在は本堂、大師堂、鐘楼のほか、鐘楼の南に七重塔の心礎石がある。建立当時は金 堂、講堂、南大門などの大伽藍(がらん)が建設されたとされる。1978年から3年間にわたって行われた発掘調査では、約200メートル四方の寺域が確認された。
JR徳島線府中(こう)駅から南に約3キロ。バスでは「国分寺前」または「矢野」下車。徳島市国府町矢野718の1。
16番札所・観音寺
観音寺(かんおんじ)
741年、聖武天皇勅願の道場として建てられ、816年、弘法大師が等身大の千手観世音菩薩(ぼさつ)像を刻んで本尊とし、両脇に不動明王と毘沙門天(びしゃもんてん)を置いて霊場とした。天正年間(1573―92年)に兵火で焼かれたが、1659年に再建。古い民家や商店が立ち並ぶ中にあり、道に面した門をくぐるとすぐに本堂が迫る。
JR徳島線府中(こう)駅の南約1キロ、徒歩15分。徳島市国府町観音寺49。
17番札所・井戸寺
天武天皇の勅願道場として673年、「妙照寺」と名付けて建立。815年、42歳だった弘法大師が修行で訪れた際、濁水に困る地元民を哀れみ、自らのつえで一夜にして清水のわき出る井戸を掘り、以後、井戸寺と呼ばれるようになったと言い伝えられている。
日限大師堂にある井戸は、上からのぞいて顔が水面に映れば長寿、映らなければ不幸に見舞われるという言い伝えもある。
JR徳島線府中駅から徒歩20分。徳島市国府町井戸80の1。
18番札所・恩山寺
聖武天皇(在位724―49)の勅命により、行基が薬師如来を本尊として開基。「大日山密厳寺」と名付けられ、当初は女人禁制の寺だった。弘法大師が滞在中、母の玉依御前が寺を訪ねてきたことから、大師が女人解禁を祈念し「母養山恩山寺」と山号、寺号を改めたとされる。山門のそばには、母の来山を記念して植えられた「びらん樹」(バクチノキの異称、高さ約18メートル)がそびえる。
JR牟岐線南小松島駅下車、徒歩20分。徳島県小松島市田野町恩山寺谷40。
19番札所・立江寺
「立江の地蔵さん」で知られる。奈良時代、行基が皇后の安産を祈念して高さ約6センチの金の地蔵菩薩を安置、平安時代初期に訪れた弘法大師が高さ約1.8メートルの地蔵菩薩を刻んでこの金の像を体内に納め、本尊としたと伝わる。
昔から四国の関所と言われ、「邪心あるものは進めない」とされる。江戸時代、石見(現島根県)の女が夫を殺し、密通相手と遍路となってこの寺を訪れたところ、髪が鉦(かね)の緒に絡みついてしまった。女が罪のすべてをざんげすると、髪は肉もろともはぎとられたが命は助かった。2人は改心して出家し、以後地蔵を拝んだという。この「肉付鉦の緒」は大師堂横の黒髪堂に納められている。
JR牟岐線立江駅から徒歩5分。徳島市中心部から車で約30分。徳島県小松島市立江町。
20番札所・鶴林寺
本尊は地蔵菩薩(ぼさつ)。延暦17年(798年)、桓武天皇の勅願により弘法大師が開基。修行中の弘法大師が、雌雄2羽の白鶴(はくつる)が地蔵菩薩を抱いてこの地に降臨したのを見つけたという伝説が名の由来。山門の仁王像は運慶作とされる。標高約500メートルにあり「一に焼山(焼山寺)、二にお鶴(鶴林寺)……」といわれる難所。
JR徳島駅から国道55号線を南下しバスで約1時間。さらに徒歩で1時間30分。徳島県勝浦町生名鷲ヶ尾14


