風狂夜話2

風狂夜話2

2007年11月01日
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男やもめでいた時の心境をいかにも一茶らしく歌う。

さて今朝は11月1日、私の同僚のH氏が療養中の病院にて死去した。

午前4時ころ、病名は胃がん。54歳であった。

会社の定期健診で発見されてすぐ手術。その後回復するもやはり勝てず、

その後3年余を生きるだけであった。

2週間前まで出勤していた。

しかし見るも無惨なやせ方で、末期症状を呈していた。

もう死まで3週間という時、帰りの道すがら駅まで話すことがあった。



顔はこけ、足もよれよれして、マスクをしている表情には諦めの気配が

感じられた。「もう歩くのがやっとだよ」と。

今はただ冥福をお祈りするばかりである。

かれは課長職だから、残業代もつかないが、月に100時間を越すという

時もあった。

今でこそ過労死などという概念があるが、当時はそのくらい当たり前という

勤務であり、実情であった。

さすがに手術後は残業も少なくなったが。

だがかれには妻君と娘さんがいる。まだこれからという時期の他界だった。

さぞ無念であったろう。

かれとはもう30年余の付き合いである。



高度経済成長がようやく実感され会社側は一人でも多くと募集していた頃である。

あの頃私が配属されたセクションはさまざまな人が寄り集まり、面白かった。

元散髪屋の親父、元憲兵の経営者崩れ、なぜか日経の英字新聞を読んでいる元

商社マン。圧巻は広島の原爆被災者で元映画会社の裏方氏。

競馬が趣味、幼少時はアメリカのカリフォルニア育ち、戦争中の排日運動のため



とにかくバブル期への助走という賑やかな雰囲気があった。

私たちは若く、右肩上がりのいけいけドンドンの時期に思い切り働いた。

日本は冷戦の最中に軍事も防衛もアメリカに頼り、経済に特化して、世界に

売りまくった。

ベトナムもキューバもイラクもいっさい関わりなく戦費のみ負担して手を汚さず

商売していた。

一部の高等遊民は反政府活動をしていたかも知れないが。

バブルの絶頂期には政官業が強固なシステム談合を編み出し、そのモラルハザード

はついに極まった。

私たちも最後の宴とは知らず、守屋某氏と同じくゴルフや麻雀、身の程しらずの

豪遊に時々は楽しんだ。

今次の日中戦争の初動といくらか似てはいまいか。庶民とはいいながら。

しかし今は少子化で戦場をイメージできる青年はほとんどいまい。

政治のヤラセもTVの発達で大体国民もわかってきている。

あとは野となれ山となれの人々が権力をにぎっているという。

いかがなものか。

さて亡友の秋のために拙句ひとつ。

  逝く秋に 隠るるひとつの 命かな














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最終更新日  2007年12月08日 05時19分02秒
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Re:淋しさに飯をくふなり秋の風(11/01)  
玄茶ー さん
感情的な文章です (2018年09月27日 19時58分08秒)

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