tomorrow

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そして僕は途方に暮れる。。。




恭平は平日が休日だった。

「貧乏暇無し!」休みだからどこに行く訳でも無く!

ただ、青葉台のこのマンションは駅まで歩いて5分と便がいい

「恭平と結婚したら、バスで駅まで行くのなんて嫌よ!共働きなんだから。」

そんな、まゆみの意見を聞いて購入したマンションに恭平は住んでいる。

まゆみと結婚が決まり、恭平は結婚式の少し前に新築のマンションに住み始めた。

「まゆみ、結婚式の前にいっしょに住まないか?」

恭平は一人で淋しかったのでまゆみに言うと、

「恭平、私そういうの嫌いなの、結婚するまでは、お互い別々で暮らしましょう。」

まゆみは、恭平に告げた。

恭平は、反対するすべも無く、「わかったよ、そうしよう。」

まゆみの選んだ家具の中やら、新しい物達の中恭平は眠った。

休みの日の恭平は、午前中からお昼までゆっくり過ごすと午後から、温めのお湯を張ったバスタブにビールを持ち込み、テレビを視る。

まゆみの好きな、ラベンダーのアロマの香を数滴たらした、お湯につかる。

テレビは子供の頃見た、再放送ばかりやっていて、これと言って見たい物も無く、そのままにしておく。

夕方からは、

駅前のスターバックスでキャラメルマキアートを飲みながら、クッキーをつまむ。

ちょうど、恭平の前に自分と同い年ぐらいの父親を持つ10歳ぐらいの娘と母親が前に座る。

父親は半袖のシャツに半ズボンで、ひどく疲れ頭も薄く、娘の為にすべてをなげうって、暮らしている様だ。

奥さんも歳がちかいのだろうか?

恭平は、キャラメルマキアートの泡をすすりながら考えた。

俺もあの娘ぐらいの子供がいても不思議じゃ無いんだなぁ?

あー、世間様じゃああいうしあわせもあるんだなぁー?

などと色々な事を考えながら、休日の夕方を駅前で過ごすのだった。

恭平は家へ急ぐ人達を見ながら、自分の人生について考えた。

                       つづく。



BE KIND OF LOVE



恭平はいつも同じ夢を良く見た。

どんな夢なのか記憶に無いのだが、朝目が醒めると、どんよりとした、重い気分になる。

「ああ、きっといつもの悲しい夢を見たんだなぁ?」何故だか頭の中で呪文の様に遠くからあの言葉が繰り返される。

「愛は幻!」僕の頭の中をぐるぐると駆け回る。

気が付くと目覚まし代わりにしている携帯電話がなっている。

今日はフィアンセのまゆみからのモーニングコールだった。

「おはよう!恭平、今日仕事終わったら、逢えるかなぁ?」まゆみの声は少しいつもより、力なく聞こえた。

「わかった。時間と場所、メール送って。」恭平は短い会話で電話を切った。

急いでシャワーを浴び眠気を吹き飛ばし、コロンを叩き急いで駅へ向かった。

満員電車は、いつに無く酷かった。

他の路線で朝からダイブがあったらしい!!

それでも、人は交通手段を変えて目的地へ急ぐ。

まるで、無関心な人生そのものの様だ!!

東京へと、皆無言のまま、満員電車で向かう。



BE KIND OF LOVE


仕事が終って、僕らはいつもの南青山のイタリアンレストランで待ち合わせをした。

このお店は、グッチやロエベなどのショップの空間をデザインする、恭平のお客さんがオーナーの洒落たお店だった。

奥はダイニングバーになっていて、恭平はよくこの店を

訪れる。

先月もまゆみと結婚式の準備で、ウエディングドレスの試着や、引き出物の打ち合わせなど、休みの日はウエディング
プランナーと打ち合わせをしたりと、忙しく終るとこの店に
食事に来ていた。

恭平は、残りの仕事を携帯電話でやっつけながら、

まゆみとの待ち合わせ場所に急いだ。

お店には、一足早くまゆみがテーブルに着いていた。

「お待たせ!!」恭平はメニューに目を通しボーイにオーダーを告げた。

「今日のアンティパストと、チンザノ!!サングリアにパスタ!!」

手際よく、オーダーをした。アッと言う間にテーブルはお皿が並べられ、僕らは本題に入った。

「話って何?」僕は、まゆみに切り出した。

「短刀直入に話すね!!」まゆみはサングリアのグラスを見つめながら、話始めた!!

「恭平!!少しあなたとの時間が欲しいの!!つまり、結婚なんだけれど、少し延期したいんだけれど!!」

恭平は、少しビックリした。

「構わないけれど、式場とか、それにマンションとかどうする?」

まゆみは少し間を置いて話を続けた。

「出来る限り、何とかしたいと思っている。ただ、このままだと、あなたとの結婚を根本的に考え直したいの!!この気持ちが一時的なマレッジブルーなのかどうなのかを?」

二人の間に沈黙が続いた!!

恭平は言葉を失った。何をどう話せばいいのか?

男でも出来たか?と聞けばいいのか?こんな時の男なんて

無力な物だ!!その後どんな話をどんな顔をしてまゆみと

話をしたのか覚えていないが、取り合えず帰る場所は新居

になるはずのマンションしか、恭平には残されていなかった。
                 つづく。








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