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真夜中のホームにて(ショートストーリー)



駅の構内のカフェでは、週末と云う事もあり、お店の売店の女の店員さんも店じまいの準備がいつもより心なしか、少し早い!!

「お客様!!ご注文は??」

僕も長居するつもりは無い!!まだ、家までの道のりは長い

「えーと、このロールバンを一つ!!」

店員は何も聞かず、持ち帰り様の袋にロールパンを詰め始めた。

そりゃ、そうさ!!きっと彼とのデートがあるのかもしれない!!客がいつもより早く引いてくれれば彼女も帰りやすいのだろう。

「あのー、すいません。カフェで食べて行きたいのですが!!」

彼女は慌てて紙袋からロールバンを取り出し、お皿の上に載せた!!

「すいません!!店内でお召し上がりですね!!」

僕はお金を払い、別のカウンターで、コーヒーを買った。

 店内は一人掛のカウンターまで、客で一杯だった。僕はコートとマフラーを脱ぎ、カウンターの角へ腰かけた。

カウンターの隣りから、懐かしいコロンの香がタバコの香といっしょに流れて来た。

斜めとなりのカウンターに一人の女性が腰掛けていた。

彼女はビトンの小さめのボストンバッグをカウンターの上に
置き、一人でズート、メールを打っては、ウィンドウの遠くを眺め、そして又メールを打つとタバコの煙を静に吐いた。

カウンターの上には、新幹線のチケットがあり、これからきっと、旅立つ所なのだろう。

彼女の髪は肩甲骨あたりまで、伸びていたが、肩はとても疲れていた!!

僕は気になったので、チラッと彼女の方を視線を移した。

彼女は少し鼻をすすり泣いていた。

恋さえしなければ、そんなに悲しい想いをしないでも済んだのかもね。

最終電車の時間も迫っているはずさ。

人は命を賭けて、死に物狂いの恋も人生にはある。

恋をしている時は人生の楽しい事の頂点で、全てがそこにあるように思える。

だけれど、恋の本当の大切な所は楽しい時じゃなく、辛くどん底の中に本当の答えがあるような気がする。

人間残念ながら、生まれる時も一人、死ぬ時も一人、だから一人で傷つく事を恐がることはもっとも愚かな事だと思う。

もうこれ以上先へは進めない!!と誰もが思う中から這い上がる勇気が欲しいと思う。


僕はコーヒーを胃袋に流し込み、家路へ向かうホームへと向かう。

品川のホームにはそれぞれのドラマが潜んでいるんだなぁーと帰りの電車で、僕は向かいの老婆の寝顔を眺めた。。。。

                      終わり。



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