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鎌倉の花火大会。




僕らは、お互いのバイトのスケジュールの休みを調整しながら、夏休みを楽しんだ。

今週はユミコの提案で花火大会に行く事になった。

僕はいつもの習慣(昔、貴子とかと行っている)大江戸花火大会とか、ディズニーランドの花火だと思っていたら、

ユミコは「順一、海の花火を見たいの?」順一は戸惑った。

「海の花火?熱海とか?」ユミコは、笑った。

「違うよ、湘南の花火がみたいの順一と!」順一は花火大会の日程を雑誌で調べた。

順一は調べてみて、気が付いたのだが、俗に言う湘南とは、ガイドブックを地図と照らし合わせて見ると、

南から、江ノ島がある藤沢、鎌倉、逗子、葉山の海沿いを北の方に向かう地帯を俗に湘南地区と呼ぶそうだ。

(車の湘南ナンバーはこの地区には、皮肉にも当てはまらない)

ガイドブックによると、江ノ島花火大会、逗子花火大会、葉山花火大会と三つある。

僕は迷わず、ガイドブックの写真を見て、鎌倉の花火大会を見に行く事にした。

当日、僕とユミコは早くから、愛車のゴルフで鎌倉に入った。早くに車を、逗子方面の駐車場に入れ小町通りを散策した。

夕方には、滑川のスカイラークは花火の特等席になり、

海岸は見渡す限り人だった。ユミコは僕の腕に離れない様しがみついていた。

つづく。





(続)鎌倉の花火大会 07月01日(木)


由比ガ浜の海岸は、何処から来るのか?人で海岸は身動き出来ないくらい、埋め尽くされた。

ユミコは、僕の腕を強く強く絡ませた。

そうしておかないと、人込みの中に流されてしまう様な、

錯覚に陥る程の人出だった。

花火は始まった!

花火は海の沖の船から発射された。「ドン。。。ヒュードン。パチパチパチ!!」

空に広がる花びらの大きさが、陸の打ち上げ花火と比べる

とかなり大きい!!

僕の家の近所で上げる、江戸川の花火よりかなり大きい。

それは、見ている位置が近いからと云うよりは、

不発であったとしても、海の上と云う事もあるのだろう!!

どこからか、「鍵屋!!玉屋!!」の掛け声が聞こえてくる。

「ドン。。」鈍いガス爆発の様な音の後見事に夜空に花開く

と、花火もすばらしいが、その花火の光に写し出される、

見物客の数も異様な光景だ。

きっと、江戸時代に沖に黒船がやって来た時も、

日本全国から、人が集まり夜通し、それを見つめる見物人は

まさに、花火見物に集まる人の様だったのだろうなぁー?

黒船を見物していた人たちは、この世には、誰一人と居なく

どこに行ってしまったのだろう?とフッと思った。

鎌倉の花火のクライマックスは何と言っても、海からのしだれ柳!!

まるで、海から陸(海岸)に多いかぶさる様に、空から陸へ

光の帯が空から降って来て。その帯が燃え尽きないで、

砂浜に降ってきそうな大きさなのだ!!

もう一つの目玉は水中花火!!

海の中で、花開き、半円状に海の上を扇の様に開き、

まさに、この海岸を大昔、平家と源氏で戦ったと云うのが

嘘の様だ!!

「順一!すごかったね、又いっしょに来れるといいね!」

ユミコは無邪気に僕にそう告げた。

「ああ、又来年鎌倉の花火観に来よう!」

順一とユミコは最後の花火を見ながら、そう語り合うのだった。

                鎌倉の花火大会 (完)




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