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エッジオブナイフ(続)



ユミコの言葉に僕は胸が痛くなった。

何の為に学校があるのか、学校の先生は何も教えてくれないし、お金の稼ぎ方を教えてくれる訳でも無い。

ただ、順一は大学に入ってゆいつ救われたのは、本当に自由だったと言うことだった。

だからユミコの言うことも良く理解出来た。

「学校で何かあったの?」

ユミコはカバンを見つめながら、

「女子校って、すぐ仲良しグループで固まって、女子校で彼氏がいる人は、おかしいって、云う話になって、クラスで私とマキちゃんだけ、彼氏がいるって云うだけで、仲間ハズレなの!」

ユミコはまた、ポロポロ泣いていた。

「気にするなよ!俺はいつまでもユミコの味方だよ!」

「そうだよね!」

ユミコはやっと笑った。

僕のゴルフは山下公園を抜けて、元町から、山を駈け登った。

山の上には、外人墓地があり、ドルフィンと云うレストランでお茶をした。

ユーミンの歌の様に僕らはソーダ水を頼んだ。

窓越しにソーダ水を置くと船がソーダ水の中を走って行った。

僕らは店を出て、港の見える丘公園に行った。そして、二人で、公園のベンチに腰掛け僕は煙草に火を点けた。

「この風景は変わる事は無いのかなぁ?僕はきっとこの風景を一生忘れないと思う。君と観たこの風景を!」

ユミコは「私も!」と答えた。

僕はいつまでもユミコの手を握りながら、夕日を見つめた。

 もしも、この世が今終わろうとしても僕もユミコも悔いは無かったと思う。

何の為に、今を生きるか答えなど無かったけれど、

ただ、君がいればそれだけで何もいらないと思ったし、

この愛を失うことだけは、僕は死を意味する様に思う。

ユミコ!きっと君も同じだよね。

まるで、ナイフの上を素足で歩く様な、苦しく愛おしい

二人の気持ちが、すべての始まりだった。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

あれから、どのぐらいたったのだろうか?

港の見える丘公園から見える風景はあの頃とはすっかり

変わってしまった。

君は今どこにいるのだろうか?

僕は辛い出来事があった時には、丘の上に登る。

僕はずっとここで待っているから。。。。。

つづく。


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