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リアルな現実


ユミコは久しぶりに早く帰っきた。

久しぶりに予定も無く順一はガソリンスタンドのアルバイトのシフトに入っていたため、今日は自宅で夕食を取る事にした。

久しぶりに父と母と食卓を囲んだ。

妹のミヨコは受験も終わった事もあり、友達の家に遊びに行って居なかった。

我が家は自営業だった。

父は母と二人で材木の製材を行ってきた。

朝早く父は起きて、材木を十トントラックで買い付け、工務店の必要な分を製材する。

なのでたくさんの角材を乾かす為に綺麗に整理され木材を立掛けていた。

本当に父と母は娘の私から見ても、羨ましいぐらい仲が良かった。

父と母は結婚は遅く、30歳を過ぎてからの結婚なので、

私と妹はどちらかと言えば遅くに出来た子供だ!!

「ユミコ!!お父さんとお母さんはお互いに若い頃に、失恋をしてなぁー、お互いに出会うまで、もう二度と恋愛なんて
縁の無い物だと思っていたんだよ」

いつに無く、父は真面目な顔で話始めた。。。。

何だか自分の親の自分が生まれる前のそれも恋愛の話なんて
聞いても恥かしいし、想像がつかなかった。

「家はこのとおり材木屋だ!!お父さんが一代で築いた。お前が順一君と結婚するのなら、私の代でこの家は終らせれば
いい。ミヨコも継がないだろうし!継がせるつもりも無いの
だが!!」

父は独り言の様に呟いた。父の仕事は大変な肉体労働だ!!
よく、私は子供の頃から、父の背中に乗っかりマッサージを
して、お駄賃を貰ったものだ。

「順一君は申し分の無いぐらいいい男だよ!!だけれど、彼は大学を卒業して夢もあるだろうし、何より彼のご両親が、好き好んで、大学へやった大事な息子を材木屋の娘と結婚させるのは、順一君の人生の可能性を考えると、いかがな物だろうか??」

父は自分でグラスにビールを注いだ。

「お父さんは、私達の事どう思うの??」

「まだ、二人とも若いのだからよく考えればいい!!時間は沢山あるのだから。」

父はそう言うと、先に寝た。

ユミコは順一がもちろん好きだった。しかし、それと同じぐらい、父の事も好きだった。

「誰も、悲しむ顔は見たくないけれど、現実に対してキチンと結論はいつか出すしか無い。」

そう考えると、暗闇の中に放り出された様にユミコは、

不安になるのだった。

                   つづく。


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