12月1日(月)
能村登四郎 俳句の楽しみ(抜粋:後藤)(98)
発行所:日本放送出版協会(俳句入門)
第三章 名句を味わう(8)
さくらの句(7)
花衣ぬぐやまつはる 紐 いろいろ 杉田久女
花時に女性のよそおう着物を「花衣」といいます。いずれも花に負けない美しいものでしょう。また花見に外出して戻った時の疲れを「花疲れ」といいます。日本語だけのもつ情感を含んだ言葉でしょう。女性が和服の盛装をするとき、腰に帯以外のさまざまな紐を巻きつけます。それがそのまま苦痛をともない、「花疲れ」ともつながります。女性の業苦を匂わせる句です。
(つづく)
能村登四郎 俳句の楽しみ(抜粋:後藤)… 2025.12.04
能村登四郎 俳句の楽しみ(抜粋:後藤)… 2025.12.03
能村登四郎 俳句の楽しみ(抜粋:後藤)… 2025.12.02