12月4日(木)
「幸福論」(ヒルティ)(第三部)(837)
発行所 岩波書店(1935年5月15日)
(注) あくまでも、訳にい忠実にしていますがい、簡略化や意訳や
表現の変更(例えば、「…である」を「…です」に変えたり)し
孫たちに幸いあれ(16)
(前日)(15) 人は神の霊にすすんで従う心構えでなければなりません。この霊は人間について多くのことを忍びそして受容れますが、叛逆や、意識的な、あるいは故意の不従順や、卑怯や、なすことが出来るのにしないなどということは、許されません。例えますと、この霊の指揮下に入る場合は、敵や味方の状況を顧みることなく、軍隊式の即座の服従を必要とします。聖霊が命令を下すときは、それを妨げる「事情」などいっさい関知しません。成功するかしないかなど問題にせず、命令にただ従う勇気と決意とを必要とします。 (よりつづく)
神の霊に従えば、いったい何が与えられるでしょうか。まず、精神の健全はもとより、常にとはかぎりませんが、身体の健康の増進が得られるでしょう。いずれにしましても、次の三つのものは与えられるでしょう。第一に、何ともいいようのない生の喜び、人間やものごとに対する恐怖からの解放(これは、普通では得られないでしょう)や、地上の幸福の大部分を成している憂いのない境地を得ることです。第二に、興奮をともなわない、一種の火のような熱情
と生気を得ることです。これもほかの道では求めても得られないでしょう。第三は、人間に対する力です。世の中で特別の地位に立たずとも個人として権威を有する人が、いつの時代でもいましたように、現代でもやはりいます。そういう人からは、何か生気があふれ出て、他の誰にも従わない人たちさえも、この人にはよろこんで従うでしょう。
(つづく)
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