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2008.03.14
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カテゴリ: lovesick
楓の声を聞いた衝撃と(だってそれはすごく、、なんていうか、かわいくてたまんない声だったんだ)、そして、その声で、愛を伝える言葉を聞いた驚き、謙吾のこと、そしてキス、とにかく、俺は、そのたびに、少しずつ思考回路が止まり、ずっと、呆然としていた。

気づけば、俺に背中を向け歩き始めている楓。ぼんやりとそれを見送りながら、

涙も見せずに、、、、強くなったんだな、楓。
俺は、さらに、そんな楓にひかれるよ。
でも、、、俺の前から立ち去っちゃうんだ。。

やっぱり俺、振られちゃったんだな。。。

・・・

・・・・・!!!

ちがっ、えぇ?振ってんの、俺の方なわけ?ありえねえっ。


「楓」
楓が、びくりと足を止めた。
「今のキス、が、、あの時の俺の、、真似なら、きっと、俺のこと、、忘れたり、できないよ」
ゆっくりと振り向き、俺を見上げる楓。
「俺、楓のこと、全然、あきらめられてないんだから。」
「ゆ、、う、、と・・?」
俺は楓を抱き寄せた。強く強く抱きしめた。自分の鼓動が聞こえた。
「愛してるよ、楓。楓をあきらめることなんて、全然できなかった。忘れるなんて、できるはずないよ。恋人なんていない。いるはずないじゃないか。俺は楓に出会った日からずっと、、」
泣きそうになりながら、必死で気持ちを伝える。
「今も、、こうして、どうにかなっちゃいそうなくらい、楓だけを、愛してるんだ」
楓の瞳を覗き込む。少し潤みかけた瞳。俺をひきつけてやまない楓の瞳。

俺は、やっと、、、、そっと、顔を近づける。楓も瞳を閉じ、そっと、そっと、唇にくちづけようとした時に、、、

鳴り響く携帯の音。

・・・

この音。。

出たよ。



こんなタイミングで登場するのはあいつだけ。

そう、それは、謙吾からのメールだった。

・・・またかよ、謙吾。。まぢ、勘弁してくれよ。俺、なんか、このパターン慣れてきちゃった感があるよ。
俺は、がっくりと楓から離れながら、音が鳴ると同時に驚いて目を開けていた楓に言う。
「ちょっとさ~、楓、それ、マナーモードにしといてよ。その曲キライになりそうだよ」
楓は、笑いながら、
「ごめんね」
といい、携帯を取り出し、メールを見て吹きだす。
「何?謙吾、今度は何だって?」
やさぐれる俺。楓は、笑いをこらえながら、こちらにメールを見せる。そこには、

「鈍・感!って、悠斗に言ってやれよ!!」

・・・・・

凹む。

ムードもなんもなくなって、2人で並んでベンチに座る。もちろん、すぐさま、肩を抱くことだけは忘れない。星を見上げる楓。その横顔を見つめる俺。ここでこうしている、たったこれだけのことが、夢の様に感じられる。
「謙吾、、は、楓が俺を好きだってこと、いつ分かったか言ってた?」
やるせなく聞くと、
「あのプロポーズの時、悠斗に見られたって気づいた時の私の反応で分かったって」
「はあ?じゃあ、なんで、、。やっぱり、自信があったのかなあ。。」
「謙吾は、、私の心変わりを期待したっていうよりも、、」
「なに?」
「悠斗が私の気持ちに気づきもせずに、他人に譲ってるようじゃ、話にならないからだっていってたわ。俺から、奪い取るくらいの根性みないと、楓は渡せないって、悟もきっとそう思ってるはずだって。」
「・・・」
「だから、、、このくらいの嫌味で済んでよかったのかも・・・」
俺は天を仰ぐ。
「っ宗太郎も彩もさ~、俺が楓の気持ちに気づかなかったのが、おかしいっていってたんだよな」
というと、楓はにこにこしながら、
「フジシマくんも」
「なんて?」
「あのカップを受け取っても、どれだけの愛情がこもっているか、気づかなかったの?だって。あ、あとね、2次会で、好司くんにもすぐにばれたし。」
ぺこぺこに凹む俺。俺って、、確かに、鈍感かな。。認めるよ。
「だけど、悠斗・・」
真面目な顔でこちらを向く楓。
「ん?」
「本当に、信じられない。私の気持ちに、本当に本当に全然気づかなかったの?」
口をとがらせ、いじけたような顔をしているが、瞳の奥にからかいの色。
「だから、楓・・、お前まで言うなって」
俺は、くすくす笑う楓を抱きしめ、ため息をつく。仕方なく、星を見上げていると、楓の視線を感じた。楓に向き直る。相変わらずイノセントな瞳に吸い込まれそうになる。
「・・・何?」
楓は嬉しそうに微笑みながら、静かな声で言う。
「悠斗だなあ、って思って。夢みたい。こうしてまた、一緒にここにいられること。もう、無理だって思ってたから。。」
「俺だって」
そっと答える。見つめ合う俺たち。あぁ。。やっと、ムードが戻ったよ。・・・おっと、その前に確認しなくちゃいけないことがある。
「携帯、マナーモードにした?」
楓は笑って、携帯を取り出し、電源を切った。楓がこちらを向くのを待って、俺はそっと、楓の頬に触れる。もちろん、瞳を覗きこむことも忘れない。確かにそこにある、俺への愛情。いったいいつから?確かに見慣れていたはずの感触。ほんとに、ごめん。俺、鈍感で。
楓が、言う。
「悠斗、見すぎ」
言われなれた言葉。
「いいだろ、もう、ずっと見ていたって。」
俺はまず、楓の額に3度目のキスをする。恥ずかしそうに、伏目がちになり、震える楓のまつげ。そっと手を添えて、顔を上げさせ、もう一度瞳を覗きこんで俺は言う。
「・・・楓、愛してるよ」
しっかりと受け止めるように、一瞬目を閉じ、息を吸い込む楓。ふ~っと息を吐き出し、何度か瞬きをしてから、楓が俺を見返して、その魅力的な声で言う。
「私も愛してるよ、悠斗。・・もう、二度と、離さないで。」
俺は、答える代わりに、口づける。やっとやっとやっと、のキス。最初はそっと、そして、少しずつ熱を帯びていく長い長いキス。このキスが終われば、楓は、恥ずかしいような、でも嬉しいような、ドキドキした瞳で、俺を見上げるだろう。その瞳に、俺はまた魅せられて、きっと何度も何度も楓にくちづけることになる。
こうして、さよならのキスじゃないキスを、ずっと重ねていこう。
楓、俺はもう、楓の気持ち、見失ったりしないから。

空には満天の星。

その全てに、

そして、何よりも、

今もどこかで見守ってくれている悟さんに、

誓うよ。

俺は、もう二度と、楓を離さない。



<了>


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最終更新日  2008.03.14 00:21:12
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