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2006年01月11日
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カテゴリ: 戦争映画
1982 ソビエト 監督:ユーリー・イヴァンチュク
出演者:ウラドレン・ビリュコフ、ナタリヤ・コゴロワ、ヴィクトル・ネズナノフほか
87分 カラー



 製作年代から見れば、「 ヨーロッパの解放(1970,1971) 」「 レニングラード攻防戦(1974,1977) 」のようなソビエト芸術的記録映画の系譜を汲むのかと思いきや、全くその要素はなく、西側アクション映画もしくは香港アクション映画を意識したような作りとなっている。唯一、ソビエト映画らしいのは劣化の著しいカラーフィルムぐらいで、あとはB級の割には本物兵器が多量に出演することぐらい。
 邦題の「満州帝国崩壊」というのは、このDVD制作会社の毎度の過剰タイトルなので無視できるとしても、満州侵攻戦を扱ったのは単に相手を神秘的な日本軍にしたかっただけであって、内容的には特に極東ソビエト軍の特徴が出ているわけでも、満州戦線の特徴が出ているわけでもない。
 登場する日本兵は戦闘帽に銃剣と何となく雰囲気は出ているが、やけに太い襷に皆初年兵の肩章といういでたち。話す日本語は滅茶苦茶だが、「バンザイニポーン、バンザイニポーン、カツラギ・・・・・・」と叫んだ言葉が「日本は不滅である云々」と訳されているのには笑った。あと、日本兵は皆ハラキリするものだと思っているのか、捕虜にハラキリさせるなとか、士官にハラキリしろとか、もう滅茶苦茶。決死隊なる爆弾抱えた部隊も登場し、相当日本軍に恐怖を感じていた事が伺える。そう言えば、捕まった日本兵がカンフー張りの格闘技で、3人がかりの大柄ロシア人と渡り合っているのは爽快だった。この他、日本軍防衛陣地が強固なトーチカで、しかも地下通路が巡らされて砲弾がベルトコンベアで自動送りされているのにも驚いた。それぐらいの兵力があれば負けてないって。
 本作はロシア側から見れば、恐怖の日本軍と立ち回って、多くの戦死者を出しながらなんとか戦闘に勝つというお涙ストーリーなのだろうが、見所は登場する兵器類にある。少なくとも20両を越える実働戦車系車両が登場し、明確に判別がついたのはT-34/85戦車、JS-1重戦車、JSU-122自走砲。谷間を鳥瞰するシーンで、多数の戦車が移動・発砲するシーンはさすがソビエトならではのものだ。惜しげもなく火を噴かせたり、横転させたり(一部はハリボテぽいけど)と見所満載。こんなB級でも軍はきちんと貸してくれるんだねえ。
 蛇足だが、日本軍側で白系ロシア人でソビエト共産党と戦ったセミョーノフの兵隊も登場している。また、ソビエト軍兵一人が戦死するたびにテーマ音楽のようなものが流れるのには笑った。ほんと香港映画みたい。

興奮度★★★
沈痛度★
爽快度★
感涙度★



 1945年8月9日、ソビエトは日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、満州に侵攻する。もともと国境警備部隊はバイカル・アカデミー出身のチホノフ大尉(少佐)の部隊であったが、戦闘経験が浅いことと新兵が多い事から、中央から来たアルタモノフ将軍の戦車部隊がその先陣をきることとなる。最前線に立てないことにチホノフ大尉は不満を抱くが、後方補給支援の任務につく。
 チホノフの部隊は、進軍中に負傷した日本兵を発見する。彼は腹に爆弾を巻いており、決死隊の一員であった。もうひとりロシア人も捕虜とするが、セミョーノフ反革命軍の兵士であった。日本兵は隙を見て脱走し、軍医のエカテリーナ大尉(女性)を傷つけた上、部隊の給水車の水を全て流してしまう。砂漠地帯で水がなくなった部隊は、トラックのラジエータ水にも事欠くこととなる。
 チホノフは、セミョーノフ軍の兵士の告白でこの先に罠があることを知る。そこで、先に行ったアルタモノフ将軍の部隊を追いかけて報告し、偵察のために先発を要請する。実は、アルタモノフ将軍は元チホノフの部下であり、チホノフの要請を受け入れる。
 寺院の偵察におもむいたチホノフ部隊は、地元民の歓迎を受けるが、実は日本軍が隠れていた。急な反撃を受け、後続の戦車部隊も隠されていたトーチカ砲台の射撃で次々に火を噴く。
 チホノフ大尉と部下はトーチカの爆破を試みる。一方、ヴェルデニコフ中尉、シリョンキン軍曹、エブドキモフらは寺院の地下に秘密通路があることを発見し、日本軍の掃討に入る。地下通路は、トーチカにも繋がっており、シリョンキン軍曹はついに日本軍の砲弾庫に到達し、自らの命と引き替えに砲弾庫の爆破に成功する。また、日本軍の決死隊の接近を発見した戦車兵のデミトカフは、T-34を操縦してトラックに体当たりを食らわす。
 地上では、エカテリーナ大尉らが戦死する中、チホノフがついにトーチカ爆破に成功する。こうして、戦車隊は守られ多くの日本兵が捕虜になるのだった。 


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最終更新日  2006年01月11日 08時59分54秒
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