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2007年01月25日
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カテゴリ: 戦争映画
1970 アメリカ  監督:ブライアン・G・ハットン
出演者:クリント・イーストウッド、テリー・サヴァラス、ロナルド・サザーランド、ドン・リックルズほか
144分 カラー 
KELLY'S HEROES


 第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を舞台にしたコメディアクションの名作。二等兵に降格されたケリー元中尉(クリント・イーストウッド)の企画で、金に目がくらんだ寄せ集めの兵隊が、膠着していた前線を離脱突破して敵陣地の銀行に眠る金塊を盗んでしまおう、というハチャメチャな設定で、戦争的にはありえないのだが、映画にぐんぐん引き込まれていく面白さ。それも、クリント・イーストウッドの飄々としたポーカーフェースと、回りを固めるサザーランドやサヴァラスといった個性的な役者の面白さ、さらに登場する戦車(シャーマン)の迫力と美味しいところが満載なのだ。西部劇を模したシーンもあるし、軽快なテーマソングも耳に残る。ただ、やや長編でダレる傾向にあるり、もう少しスムーズな展開で短編に仕上げても十分だったのではないかとは思う。まあ、それでもこの映画なら許せちゃうところがすごいのだが。

 この手の内容だととかくB級映画になりがちだが、やはりイーストウッドを始めとする役者の功績は大きいだろう。クリント・イーストウッドの観客を寄せ付けない冷静さはいうまでもないが、楽天家の戦車長役サザーランド、堅物曹長役のサヴァラス、金に目がない主計軍曹役のドン・リックルズなどそれぞれ強い個性を発揮しており、観衆は知らず知らずのうちに、登場人物のうちの誰かの贔屓になっていたのではないだろうか。私はサヴァラスのいぶし銀のような演技に惹かれたが、ちょっと刑事コジャックの印象とダブっていたりして(笑)。あと、コルト将軍役のキャロル・オコナーの大いなる勘違いとキレぶりも特筆できる。

 本作はコメディストーリーとしても面白いのだが、ミリタリー的にも評価が高い。確かに、架空の戦闘だけあって、敵陣地を突破するとかあり得ない作戦手法なのは致し方ないが、細かな戦闘シーンや兵器類にはこだわっている。小銃や機関銃はいささか乱射気味の傾向があるが、手榴弾の使い方や機銃の設置などはそれなりにリアルで「コンバット」並み。すごいのは現役M4A3シャーマン中戦車が20台近くも出演している点。本作の撮影はユーゴスラビアで行われており、ユーゴに供与したシャーマンが沢山残っていたというわけらしい。また、ドイツ軍ティーガーI戦車が3台登場するが、こちらはT-34/85の改造でそれなりに良くできている。砲塔がちょっと前に寄りすぎているのはご愛敬だが、もちろんどちらも実際に走行し、市街地をガレキの山に仕立て上げるど迫力が見事。このほか、アメリカ軍、ドイツ軍のハーフトラックとして米軍のM3ハーフトラックが数台登場。うち一台は105mm榴弾砲を登載したT19自走砲。航空機では米軍マークを付けたレシプロ戦闘機が登場するが、ユーゴスラビアという土地柄からユーゴ空軍所有のSOKO-522のようだ。
 このほか、ミリタリー的にはいろいろな階級や部隊がでてくるのも面白い。主人公は歩兵部隊でパッチから第35歩兵師団とわかる。ノルマンディー戦後に北フランスに上陸しアルデンヌ戦にも参加したカンザス州兵だ。またシャーマン戦車の部隊は第6機甲師団のパッチをつけており、同じパットンの第3軍配下として同調した行動をとっていたことが予想される。
 主人公のケリー(イーストウッド)は中尉から降格された二等兵扱いだが、所属部隊の指揮官は大尉となっていることから中隊規模の話らしい。ビッグ・ジョー(サヴァラス)は曹長(MSG)だが、小隊長もしくは中隊付曹長といったところか。味方を良く誤射する砲兵隊指揮官のマリガンは上級曹長(1SGT)で、主計係のクラップ(リックルズ)は二等軍曹(SSG)、戦車長オッドボール(サザーランド)は三等軍曹(SGT)、応援に駆けつける工兵隊指揮官は一等軍曹(SFC)と多彩だ。また、キレているコルト少将は第3軍のパッチをつけていることから師団長や軍団長ではなく第3軍司令部の人物と思われるが、言動と言い行動と言い・・・当時の第3軍司令官パットン中将をイメージしているとも言えなくもない。

 全体に盗人の話であるから、軍の規律という観点では大変よろしくない映画(笑)。ただ、こんな大規模ではないだろうが、実際にも物資の横流しや横領、強奪という行為は頻繁に起こっていたらしい。そんな偶然が重なったら・・・こういう事件が発生するかも知れない。そのように夢想して視聴すると面白い映画だろう。 
 余談だが、ちょっと疑問に思った事。金塊が残されていた銀行があるのはフランス東部のナンシー市クレルモン。ケリーらは金塊は敵(ドイツ軍)側のものだから盗んでも問題ないと言っているが、ドイツ軍も持ち帰ろうとしたり警護をしているということは、元の持ち主はフランスではないのかな。だとすれば、連合国側として十分盗みになるような気がするのだけれど・・・・いいのかな。


興奮度★★★
沈痛度★★
爽快度★★★★☆
感涙度★



フランス東部でのドイツ軍と連合軍との戦いの最中、アメリカ陸軍第35歩兵師団のケリー二等兵がドイツ軍陣地内から情報部大佐を捕虜にして連れ戻る。ケリーは元中尉で味方を誤射した責任で降格されていた。ビッグ・ジョー曹長の指示でケリーがドイツ軍大佐の尋問を行うが、その過程でドイツ軍占領地クレルモンの銀行に16,000個の金の延べ棒があることが判明する。ケリーはそのことを内密にし、ある作戦を計画する。
 ケリーら連合軍はドイツ軍の攻撃の前に撤退を余儀なくされ、後方に戻り休暇を与えられる。部隊の指揮官である大尉はパリに休暇に行くが、部下達は田舎町に足止めされ不満一杯だ。そんな中、ケリーだけが不穏な動きをしている。砲兵隊のマリガン上級曹長や主計隊のクラップ軍曹と取引をし、無断砲撃や武器や食料の調達を頼む。ドイツ軍が隠匿しているクレルモンの金の延べ棒奪取を計画していたのだ。そんなケリーの計画を察知したジョー曹長は、ケリーに決して部隊の仲間には話すなと釘を刺す。しかし、噂は次から次へと伝わり、シャーマン戦車を有する第6機甲師団のオッドボール軍曹も仲間に加わったうえ、部隊の仲間もケリーに同調する。皆、金の延べ棒に目がくらんだのだ。
 結局、ジョー曹長もケリーの作戦に参加する事となり、休暇の3日間のうちにケリをつけようと行動を起こす。クレルモンに行くには敵の前線をいくつも突破せざるを得ず、マリガンの砲撃を目くらましに突破を図る。しかし、途中で味方空軍機の攻撃で車両を破壊されてしまい、部隊は徒歩で移動するはめに。地雷原で伍長ら2名を失いながらもなんとかクレルモンの町に近づいていく。
 一方、別働隊としてクレルモンに向かったオッドボールのシャーマン戦車隊は、持ち前の楽天的発想で快進撃するが、橋が落とされていて進む事が出来なくなる。そこで、オッドボールは金の延べ棒を餌に工兵隊に架橋を頼み、その人員として動員された音楽隊ともども大人数での進軍となってしまう。
 これらのドイツ軍陣地突破の情報は第3軍司令部の耳にも入る。コルト少将はこれが正規兵の攻勢と勘違いし、彼らの無線を聞いて大喜び。山盛りの勲章を持って自らも前線へ赴くと言い始める。
 盗人部隊一行は、クレルモン直前でドイツ軍の反撃を受けて頓挫。ケリーら歩兵以外にはオッドボールのシャーマン戦車一台しか渡河できなかった。ケリーらはその戦力でクレルモンの攻略に取りかかる。クレルモンの銀行警備はさほど厳しくないが、ティーガーI戦車が3台もいた。シャーマンでは太刀打ちできないことから、ティーガーのケツを狙うしかない。見事、ケリーの誘導作戦の結果、2台のティーガーと警備兵を倒す。しかし、ドイツ軍SS軍曹の操縦するティーガー戦車が銀行の前に立ちはだかり万事休す。そこで、クラップの進言でドイツ兵と取引をする事に。
 金の延べ棒に目がくらんだドイツ軍曹と商談が成立し、銀行のドアをティーガーの主砲で爆破。ケリー、ジョー、オッドボール、クラップそしてドイツ軍軍曹らは16,000個(125箱)の金の延べ棒を山分けするのだった。彼らが金を運び去ったあと、コルト少将が到着し、現地フランス人の熱烈な歓迎をうけるのだった。



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最終更新日  2007年01月25日 08時02分49秒
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これ大好きな映画ですわ。  
まさむ さん
特に、オープニングの雨の中、ドイツ軍の行軍の中に米軍のジープが紛れているシーンが好きですねぇ。
当時は、タイガー戦車の砲塔が何で前よりなのかよく解りませんでしたが、他の戦争映画と比べてもドイツ軍らしかったので妙に興奮したものでした。 (2007年01月25日 21時47分44秒)

Re:これ大好きな映画ですわ。(01/25)  
kapon2  さん
まさむさん こんにちは

 実際の戦争でも夜ならば敵味方区別付かない事ってありそうですからね。
 この作品、音楽も結構良いんですね。独特の軽快なリズムがすきです。 (2007年01月27日 09時32分45秒)

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