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2007年03月20日
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カテゴリ: 戦争映画
2004 ベトナム  監督:ミン・トゥアン・ドー
出演者:キュー・アン、ファム・クァン・アン、イサーク・ル、ヌイ・ルほか
117分 カラー 


 フランス軍とベトミン(ベトナム独立同盟)軍がインドシナで戦った、第一次インドシナ戦争のディエン・ビエン・フーの戦いを扱ったベトナム映画。植民地支配を死守しようとするフランス軍の防衛拠点ディエン・ビエン・フーを巡る死闘は、1954年に行われた57日間の激戦が著名で、これを扱った映画には仏の名作「スカイミッション空挺要塞DC3(愛と戦火の大地)(1992)」がある。数千人の死者を出したとされるフランス軍の壮絶な戦いと植民地戦争の矛盾が描き出される。本作はベトナム側からの視点で描いたということで、戦史の両側面を垣間見る事ができるという点で大いに期待が高まった。

 結論から言うと、本作はシリアス戦争ものというよりは、ラブロマンス系ヒューマンドラマの系統に近いようだ。しかも、戦争アクションもヒューマンドラマもメロドラマも、全て中途半端に消化し切れていない。何に重点を置いているのかがさっぱりわからず、それぞれが独立して互いの持ち味を消し合っている。さらに、ディエン・ビエン・フーの戦いで敵同志だったフランス、ベトナムの兵士が40年後に再会すると言う現代シーンと、両者の回想にあたる戦争シーンが交互に繰り返されていくのだが、挿入のタイミングとバランスが非常に悪い。通常なら少量の現代シーンの間に回想シーンをメインとして挟み込むのだろうが、現代シーンの量が多いうえ、孫娘の病気?や気色悪い夢、モダンダンスなど意味不明の設定や映像があるため、作品の方向性を見失う結果となっている。多分、 40年の年月を経てフランスとベトナムの和解というようなテーマを盛り込もうとしているのだろうが、さっぱり・・・。
 シリアスな戦争ものとして期待すればかなり失望するだろうし、ヒューマンドラマとして成り立つほどの内容もない。ラブロマンスとしても、掘り下げが浅いので・・・。
 また、ベトナム製作ということで、ベトミン側視点はどうかという点だが、単にベトナム人を描いたと言うだけで、戦史的、戦術的にはさしたる新事実もなく、戦史考証はかなり甘い感じ。しかも、ベトナム社会主義のプロパガンダとまでは行かないものの、やはりベトナム人美化の視点は否めず、完全なフィクション映画として見るべきものと思われる。実は、本作は対仏勝利50周年記念国家事業としての国策映画なのだ。自由化の道が開き始めたとはいえ、ベトナムの民主化はまだまだ遠い。
 さらに、主人公のフランス兵は投降兵というよりは脱走兵に近い。死ぬのが怖くて投降し、機密情報を流しまくる売国奴でしかない。フランス兵憎しという描き方ではないが、完全にフランス兵をコケにしている。本作はさすがにフランスでは上映できないだろうなと思わせる内容だ。

 さて、肝心の戦争シーンだが、火薬使用量はまあまあだが、兵士が登場するシーンはチープさが浮き彫りとなる。フランス兵は画一的にサブマシンガン所持でベトミン陣地に突撃しちゃうし、演技も下手。夜間シーンが主なのでチープさを隠す事には成功しているが、撮影ロケーションが限られており同じ映像シーンの使い回しが気になる。
 登場する兵器類は戦車と野砲のみ。仏軍戦車はM41ウォーカーブルドック軽戦車のように見えるが、どこで調達したものだろうか。ベトナム戦時の鹵獲兵器なのだろうか、一応稼動しているようだ。フランス軍の航空機も登場するが、いずれも合成かCGによるもの。合成などは映像が飛んだりずれたりと技術的に甘いし、CGと思しき機影は同じものが何度も繰り返して登場するのはなんとも情けない。ひどいのは、ベトミン軍隊列への空襲シーンが何度かあるが、飛行音だけというお粗末さ。まあ、チープな合成を見せられるよりはましかもしれないが。また、フランス空挺部隊の落下傘シーンもあるが、これはミニチュアかな。いずれにしても、ベトナム製作だから大目にみるけれど、努力した痕跡はあまりない。
 戦史的に納得できたのは、ディエン・ビエン・フーのフランス軍を包囲するベトミン軍が山中に野砲を隠しているシーンと、丘上のフランス軍トーチカを突破するために、地下トンネルを掘って爆薬を仕掛けるシーン。どちらも、「スカイミッション空挺要塞DC3」でも描かれており、対比してみると面白い。このほか、ベトミンの突撃は太鼓を合図で、命令直前に太鼓を取りに行くあたりが興味深い。いわゆる突撃太鼓だね。
 なお、フランス軍、ベトミン軍の両方とも部隊名称や階級はほとんど出てこない。ベトミン軍では主人公の若い兵士の所属する部隊長(中隊長クラス?)、旅団長のみ。 




意味不明のシーンその1 塹壕の兵士

意味不明のシーンその2 モダンダンス

意味不明のシーンその3 水上歩行

興奮度★★
沈痛度★★★
爽快度★
感涙度★



 元フランス兵のベルナルドは、かつてインドシナのディエン・ビエン・フーで共に戦ったバオと再会する。ディエン・ビエン・フーの戦いについては、1954年にルモンド紙がベトナム人を勇敢と讃え、1984年にはニューヨークタイムズが世界の16の勝利のうちの一つにあげている。

(回想シーン)
 1954年、フランス軍空挺部隊員としてディエン・ビエン・フーの要塞陣地に籠もっていたベルナルドは、包囲されて食料や医療品不足にあえぐ惨状に気が滅入っていた。ベルナルドはパリ生まれのソルボンヌ大学卒だったが、死にたくないという気持ちが強くなり、塹壕の中でベトミン(ベトナム独立同盟)に投降する。捕虜にしたのはベトミンの若い兵士バオだった。バオはビエン部隊長にベルナルドを引き渡す。
 ビエン部隊長の尋問で、ベルナルドは「生き抜く自信が無かった。今は友人の死が一番怖い」と告白し、戦争の早期終結のため、フランス軍の情報を提供する事を約束する。
 フランス軍のトーチカのあるA1の丘の攻防戦は一進一退を繰り返しており、部隊長はベルナルドを安全な後方へ移送させる事にする。護送はバオが担当することとなるが、前線で戦いたいバオは嫌な顔をする。
 後方へ移動中にベトミンの隊列とすれ違った際にフランス軍機の空襲を受ける。この時にベルナルドは足を負傷し、通りかかった女性看護兵のメイの治療を受ける。メイも早く前線に行きたがったが、バオは頼み込んで護送に付き合ってもらうことにする。三人は徒歩で後方陣地に向かうが、次第にバオはメイに恋心を抱き始める。しかし、メイは父親が教師だったこともありフランス語を話す事が出来たため、ベルナルドと親しく話す姿を見て心穏やかではない。

(現代シーン)
 ベルナルドはフランスに帰国後、40年ぶりにベトナムのバオを尋ねてくる。メイと結婚したバオは二年後に息子ソンをもうけ、その後ベトナム戦争にも参戦した。メイは1972年に病死し、今はメイそっくりな孫娘パンと暮らしている。そのパンはメイの大切にしていた造花を拾うために転落事故を起こし、病気(怪我?)を煩っている。ベルナルドはパリの病院で手術を受けるよう進言する。

(回想シーン)
 もう少しという地点でベルナルドはフランス兵の捕虜とすれ違う。その姿を見てベルナルドは再び前線に行きたいと言い始める。友人を救うためA1の丘の情報をもっと伝えるという。ベルナルドとメイはトラックに便乗して先に戻る事にする。しかし、後から追う事となっていたバオが遅れ、夜を一緒に過ごしたメイはベルナルドに恐怖を覚える。二人はバオの到着を待たずに先に出発してしまう。
 ベルナルドとメイは道に迷って山中の機密エリアに迷い込んでしまう。スパイではないかと疑いをかけられたメイだが、歌を歌って疑いを晴らす。翌朝、ベルナルドが逃亡したのではないかと疑っていたバオのもとに合流する。
 前線では、すでに飛行場を攻略しておりベルナルドの情報は必要なかった。そこで、ベルナルドは新任務として料理人タックのもとで食事作りを手伝う事になる。通訳兼監視としてメイも一緒におり、楽しげに会話する二人の仲を次第に怪しむものが出てくる。前線任務でA1の丘攻略のために地下トンネルを掘っていたバオもその噂を聞き、心中穏やかでない。さらに、ベルナルドが機密のトンネル情報をフランス軍に流さないかも気がかりだった。結局、部隊長の配慮でメイはバオの隊に配属となる。
 戦闘は佳境を迎え、フランス軍、ベトミンともに総力戦となる。塹壕でバオはフランス軍の偽投降兵に胸を刺され、ベルナルドへの不信感を増す。さらに、親友のバンやビエン部隊長が撃たれて戦死し、フランス兵への憎しみを増していく。一方、ベルナルドはベトミン兵が持ち帰ってきた戦利品の中に親友の水筒を見つけ絶句する。そして、ベルナルドは姿を消す。ベルナルドが姿を消した事を知ったバオは、やはりスパイだったかと捜索するが、ベルナルドは前線で親友の名を呼び続けていた。
 5月6日、ついに地下トンネルに爆薬を詰めて爆発させ、翌日A1の丘に白旗があがる。ついに、フランス軍のド・カストリの司令部は落ちた。

(現代シーン)
 戦後、ベルナルドはフランスへ帰国。一時は反逆罪として問われたこともあったが、40年後に罪悪感からバオのもとを訪ねる。バオの孫娘パンはパリの病院で治療を行って完治。そのお礼にと、ベルナルドにモダンダンスの発表会を開くのだった。


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最終更新日  2007年03月20日 07時40分29秒
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