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2007年07月20日
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カテゴリ: 戦争映画
2004 ドイツ・スイス・オランダ・ルクセンブルグ  監督:ニコ・フォン・グラッソウ
出演者:イワン・ステブノウ、ベラ・B・フェルゼンハイマー、ヨッヘン・ニッケルほか
97分 カラー EDELWEIBPIRATEN


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 第二次世界大戦時のドイツで、ナチスヒトラーに反抗していた若者の組織「エーデルワイス海賊団」を題材に描いたヒューマンドラマ。ドイツと言えば、ナチ党による強力な独裁というイメージも強いが、実際はこうした抵抗組織が多々あったことは意外と知られていない。
 エーデルワイス海賊団(Edelweibpiraten)とは変な名称だが、もとは若者の娯楽集団のようなもので、ハイキングを主としたものであるなど、その自生については余り明確ではないようだ。同じく反ナチ組織には、KJVD(ドイツ共産主義青年連盟)、KPD(ドイツ共産党)など共産主義者を中心とした左翼組織も知られているが、このエーデルワイス海賊団は非政治的なのが特徴とされる。ナチ党やゲシュタポ(秘密国家警察)へのテロ行為や盗みのような行為もあったようだが、同じ若者組織であるナチス側のヒトラー・ユーゲントと抗争するなど、いわばお子様ギャングとか愚連隊、ヒッピーといったようなイメージが強いようだ。
 本作は、1980年代にエーデルワイス海賊団の存在を公表した、元海賊団員"Kurt Piehl"の手記をもとに、監督、原作のニコ・フォン・グラッソウが映像化したものだ。ただ、自由奔放にアンダーグラウンド生活しながらも、彼らはナチやゲシュタポからは追われる身であり、実際に1944年10月27日にはケルンで11名が公開絞首刑にされている。本作では 1944年11月10日となっているが、同じくケルンでの公開処刑を描いており、実話をもとに製作されていることがわかる。それだけに、切実に緊張感をもって描かれた本作は、かなりリアルな印象となっている。

 主人公カールはエーデルワイス海賊団の一員で、弟ペーターは正対する組織ヒトラー・ユーゲントに属している。相反するキャラクターで、自由を求めながらも優柔不断な兄カールと、頑なまでに実直な弟の対比は、大戦末期であるがゆえにもの悲しい出来事を引き起こしていく。それでも、兄弟の絆は強く、互いをかばいながら大戦末期の混乱を生きていく姿は感動的だ。また、キーマンにはユダヤ人脱走者が設定され、カールらとともに権力に抵抗しながらも、カールの義姉をめぐるラブロマンスを含め、生きようとする意義や目的のすれ違いがクローズアップされる。さらに、義姉の幼い子供たちの姿は愛らしく、そしてなんとも弱々しい。
 生と死に直面する極限の生活の中、人は何を思って生きていくのだろうか。誰の行動が正しかったのか、自分ならどうしたか。そんなことを考えさせる映画であるとともに、考える事への恐怖心すら感じさせられた。

 ストーリーは大戦末期の短期間を描き、戦史の説明的なシーンもないのだが、時系列的な出来事が比較的わかりやすい出来。エーデルワイス海賊団にしても、ヒトラーユーゲント、ゲシュタポも詳しい解説がないのだが、流れの中でなんとなく理解できる。登場人物も程度な人数で、顔の判別もしやすい。テンポのバランスも悪くなく、起承転結もしっかりしているので、全体的にまとまりのある作品だと言える。ただ、人物描写はやや世俗的でストレートな傾向がある。刺激的な表現も多く、少女ヌードも出てくる。こうした表現を見るとお国柄の違いを感じる。

 映像は35mm映画のようだが、序盤はハンディカメラを利用したような色合いや揺れが気になった。途中からは慣れてきてあまり気にならないが、ちょっとチープ感を感じてしまうのは減点要素か。撮影はロシアのサンクトペテルブルグ、リトアニアということで、当時のヨーロッパ的建物の雰囲気をよく出している。廃墟、瓦礫シーンも多かったが、セットとしてはかなり大がかりな印象。
 ヒューマンドラマなので、兵器類は全く登場しない。だが、航空機や戦車などは映らないものの、空爆弾着シーンや砲撃シーンなどはかなりの迫力。ストーリーに緊迫感を与えることのできるリアルな映像は良かった。

 映像にやや難点を感じたが、ストーリー、テンポなど完成度は高い作品だった。こうした、戦火の裏に隠れた人々の日常や非日常を描いた作品が、今後も多く作られることを期待したい。

興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★
感涙度★★★




 1945年3月、連合軍がドイツのケルンに侵攻。ゲシュタポの警部は自殺を図り、カールは刑務所から解放される。
 その1年前、ドイツのケルン。エーデルワイス海賊団に属するカールは、母親を爆撃で失い、父は前線に出征している。弟のペーターはナチスのヒトラー・ユーゲントに所属し、戦死した兄嫁ツィリーには幼い子供アントンとフリッツィがいる。エーデルワイス海賊団は、ケルンに数千人おり、バッブス、ギュンター、バルテルなどとともに、反ナチス行動や、ヒトラー・ユーゲントとの抗争などに明け暮れていた。それでも、少年の彼らはお遊び的な所もあり、ゲシュタポから目を付けられるほどではなかった。ナチ党員のゼントゲンは義姉のツィリーに愛人を迫っており、カールは苦々しく思っていた。
 ある日、ユダヤ人囚人の通称爆弾ハンスは、不発弾を誘爆させて看守を殺害する。自らも重傷を負ったハンスを、カールらが発見しツィリーの家に匿うことになる。ツィリーの献身的な看護によりハンスは全快し、ツィリーの息子アントンが不発弾の下敷きになったのを助けるなど、二人は恋に落ちる。カールもまたツィリーに恋心を寄せており、ハンスに出て行けと突っかかる。ハンスは、倉庫から武器や食料を盗み、レジスタンス組織のヒュッペラーらと共謀し、ゲシュタポ本部爆破を計画する。
 カールとペーターのもとに前線の父から手紙が届く。ナチも戦争も憎む父親の手紙を読み、ペーターはヒトラー・ユーゲントを抜け、エーデルワイス海賊団に参加することを決意する。さらに、ハンスはエーデルワイス海賊団の少年らにゲシュタポ爆破計画への参加を呼びかけ、カールもペーターも参加することとなる。また、ツィリーは反ナチ宣伝のチラシ用の紙を買いに行くが、紙屋の老婆に通報されるなど危険な橋を渡る。
 ゲシュタポのキュッター警部とヘーゲンは、レジスタンスのヒュッペラーを逮捕。ヒュッペラーが爆弾ハンスの名を吐いてしまったために、ゲシュタポがツィリーの家を急襲する。しかし、その直前にハンスとカールが喧嘩し、ハンスも海賊団員もツィリーの家にはいなかった。
 ゲシュタポは、ツィリーと子供たちを盾にハンスの帰宅を待ちかまえていた。ツィリーが捕まったことを知らされたハンス、カールらはツィリーの救出作戦を決行。しかし、ツィリーの家にはツィリーも子供たちもすでにいなかった。ハンスらとゲシュタポの銃撃戦が始まり、ハンスはヒトラー・ユーゲントの少年に背後から撃たれてしまう。瀕死のハンスを見つけたカールは、弟ペーターにケルンから脱出しようと言うが、ペーターは見捨てておけないと譲らない。このままでは弟の命が危ないと感じたカールは、ゲシュタポのヘーゲンのもとを訪れ、兄弟の命の保証を条件にハンスの居場所を教えてしまう。ドイツの敗戦を感じ取っていたヘーゲンもまた、カール兄弟の命を救ったことを証言するよう要求する。
 結果、ハンスや海賊団員は次々と逮捕され、ゲシュタポの厳しい尋問を受ける。キュッター警部は見せしめのために、公開処刑を行うことを計画。ヘーゲンはカールとの約束を守るために、ペーターに偽証をするよう説得するが、生真面目なペーターは仲間を売ることを潔しとしない。カールの説得にも耳を貸さないペーターは、結局処刑リストに名をあげられてしまう。
 1944年11月10日、兄カールの見守る中、ハンスをはじめペーターら海賊団員はケルンの街中で公開絞首刑となる。観衆の中には海賊団員の親や姉妹のほか、ヒトラー・ユーゲントの姿もあった。
 1945年、ケルンに連合軍が侵攻。解放された囚人の中にカールの姿があった。連行されるヘーゲンはカールに助けたとの証言を求めるが、カールはそれを拒否する。
 戦後、ツィリーは施設に預けられていたアントンとフリッツィを取り戻し、1970年まで生きた。ルースと母親はアメリカに渡った。ヘーゲンは9年の懲役後ケルンの食料品店を経営。エーデルワイス海賊団はイスラエルの団体から1984年に表彰を授与された。


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最終更新日  2007年07月20日 09時14分02秒
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