『100万回生きたねこ』他



きつねのかみさま



◆『きつねのかみさま』 あまんきみこ 作/酒井駒子 絵 /ポプラ社
絵本:いつでもいっしょ 9/2003.12月発行


あまんきみこさんと酒井駒子さんの、とっても可愛らしい素敵なファンタジー絵本です。

あまんきみこさんは、1931年、旧満州に生まれました。『車のいろは空の色』で日本児童文学者協会新人賞と野間児童文芸推奨作品賞、『こがねの舟』で旺文社児童文学賞、『ちいちゃんのかげおくり』で小学館文学賞を受賞しています。その他たくさんの受賞作品があり、世代を超えて読み継がれている作品がたくさんあります。

画家の酒井駒子さんは、1966年兵庫県に生まれます。東京芸術大学美術学部卒業。自作の絵本に『リコちゃんのおうち』『よるくま』『よるくま クリスマスのまえのよる』『ロンパーちゃんと風船』『ぼくおかあさんのこと…』『金曜日の砂糖ちゃん』があり、その他に『赤い蝋燭と人魚』などがあります。

本当にやさしく、可愛らしい絵を描かれる方ですよね。

おやつを たべおわったとき、 あたし、なわとびのひもを わすれたことをおもいだした。

「公園よ」

ボールなげを しようって、おとうとの けんちゃんが いったとき、なわとびのひもを、 そばの きのえだに ひょいと かけたもの。

けんちゃんといっしょに公園にいくと、きつねたちの にぎやかな笑い声や 歌声が聞こえてきます。

そして楽しそうに なわとびをしているんですよ。

「おおなみ こなみ ぐるっと まわって きつねの め」

この「きつねのめ」というのが笑っちゃいますね。普通、「ぐるりとまわって ねこのめ」と歌っていませんか?

きつねが縄跳びをする場面は、きつねがとても生き生きと表情豊かに描かれていて、物語の世界にぐっと引き込まれます。

りえの「みていると きつねって なわとびに むいてないの。とぶのはうまいんだけど、しっぽの ふさふさが ひっかかるのよ。」という部分。

なるほど!!と感心してしまいました。

そして、りえは後でちゃんと きつねたちにアドバイスしてあげるんですよ。

さて、なぜ、「きつねのかみさま」という題になっているのでしょう。 けんちゃんの最後の言葉が胸にあたたかく響いてきます。

あまんきみこさんの作品でもう一冊、低学年向きの読み物をご紹介します。

◆『きつねバスついたかな』フレーベル館の低学年童話3 /作 あまん きみこ /絵・岡村好文/フレーベル館/1993.2発行


上記の本には、あまんきみこさんの『おんぶ おんぶのおともだち』『きつねバス ついたかな』『うさぎが 空を なめました』の3篇が入っています。どれもファンタジー系で私はとっても好きです。

当市の図書館では、低学年向きの推薦図書に指定しています。

低学年向きの推薦図書を、もう一冊。

◆『ライギョのきゅうしょく』阿部夏丸 作/村上康成 絵/講談社/1999.6 第1版発行

作者の阿部夏丸さんは、1960年生まれ。『泣けない魚たち』で坪田譲治賞・椋鳩十児童文学賞を受賞しています。

少年時代、愛読書は魚類図鑑で、魚とりに明け暮れたそうです。

だからこそ、こんなすごい作品が書けたんだろうなあ!という一冊です。

作者からみなさんへ

 「みんなのがっこうのきゅうしょくが、
ドタバタとはしりまわるウシだったり、
コケコッコーとなくニワトリだったら、たいへんだね。
でも、それはそれで、たのしいし、それはそれで、ほんとうのことなんだ。」


生きていくことの現実がさりげなく隠されていて、ハッとさせられるのですが、さすが、阿部夏丸さん!よくできているなあと感心してしまいます。



そして、バレンタインデーにちなんでもう一冊、話題の絵本をご紹介します。



100万回生きたねこ



◆『100万回生きたねこ』 (佐野洋子の絵本)  佐野洋子 作・絵 /講談社/1977.10.20 第1版発行



皆さんお馴染みの一冊ですが、今、バレンタインデーが近づいて、またまた話題になっていますね。

愛する人に贈りたい絵本です。

作者の佐野洋子さんは北京で生まれました。武蔵野美術大学デザイン科を卒業。‘67~’68 まで、ベルリン造形大学においてリトグラフを学びました。主な作品に「だってだってのおばあさん」(フレーベル館)「わたしのぼうし」(ポプラ社・講談社出版文化賞絵本部門賞)「おじさんのかさ」(講談社・サンケイ児童出版文化賞推薦賞)などの絵本があります。

100万年も しなない ねこがいました。
100万回もしんで 100万回も 生きたのです。りっぱな とらねこでした。

ねこはあるときは おうさまのねことして、あるときは 船のりのねことして、サーカスの手品使いのねことして、どろぼうのねことして、ひとりぼっちのおばあさんのねことして、またあるときは、小さな女の子のねことして生きました。

100万人の人が このねこをかわいがり、100万人の人が そのねこが死んだとき、泣きました。けれどもねこは1回も泣かなかったのです。

死ぬのなんか平気だったのです。自分しか好きになれなかったねこでした。

ところがあるとき、ねこは だれのねこでもありませんでした。
ねこは はじめて 自分のねこになりました。
ねこは 白いねこに出会い、ずっとそのねこのそばにいたくなりました。

その先は内緒・・・!!実際に手にとって読んでみてくださいね!

この「100万回」というのがインパクトがありますよね。「100回」ではなく、あえて「100万回」にしたところがすごい!!

本当に生きるということはどういうことなのか。いろいろなことを考えさせられます。

やはり“愛”なしには生きられないのですよね・・・。






© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: