
枯れ木もひとの役に立つだろう。知恵の無いものは、生きることを壁としか見ないかも
知れない。ネガティブな側面だけを見ていても恐らく人生が厭になるだけだ。然し良いだけ
の人生であるはずはない。光と影とこの社会を形成している。一葉の世界が遠くなってき
た。然し、私も老耄れたお蔭で見えてきたものがある。多分若い時には感じなかっただ
ろう複合の文脈が面白い。でも、一葉や、明治や、昭和に嵌っても仕方がないだろう。本
当に分かるものが分かるだけだが、それでも仕方がない。時代は、ただ必要なものだけ
を残すだろう。価値があるからではない。
「たけくらべ」の最終章で、美登利は、
「ある霜の朝水仙の作り花を」一輪挿しにする。