
<太宰のぼんやり>
・太宰・・・女のマネ・・・女になる。女になることを意味している。「女語りをするものは女である。」女語りを太宰はやめようとしなかった。
・太宰と鱒二との相違点
・太宰も芥川も、生涯にわたり庶民への差別意識をもっていた。
・「ぼんやりと待つ」・・・太宰の本質。
・太宰:ブルジョアに生まれた。貧困に対して屈折したコンプレックスがある。
・太宰は庶民の側にいないから庶民の側に立てない。庶民はケチ臭い。庶民の考えに共鳴できないという思い。
・S5.S10年太宰は、鎌倉で自殺を図っている。鎌倉の「実朝」に対する思い入れがあった。実朝と太宰の距離。実朝になりきろうとしながら、距離を置こうとするという矛盾。
・「似ている」・・太宰のキーワード。切っても切れない相手に対して使っていることば。
「富士には月見草がよく似合う」・・自分の思いを込めている
・太宰は、とめどなく言葉が出てくる天才 といわれる。ロマネスクの変型。
・太宰は落語に親しんでいたことで、落語の話芸を知っていたこと。造詣が深い。
・太宰は、同じキーを叩き続ける。
・太宰のユーモア・・・西鶴との関係。
・太宰は「カネのこと」に触れるときは真面目になる。「三界に家なし」。生き方が下手。
・太宰は自意識過剰の人。
・太宰には負い目があった。憎悪と愛情。兄は議員。貧しさを尊ぶ・・時代にマッチしていた。少しも旅先でも住民と会話をしようとしていない。
・太宰の心理的コンプレックス・・あばただった。
・堤重久「太宰との七年間」・・なぞるように書いている。作品・・をそのまま評価できない。
・作品だけが救い。芸術は私だ。という太宰が、芥川賞に落選した。自分の作品が無視された。才能をのばせないという苦悩があった。自意識と世間の作品評価との乖離と逆比例。
・太宰にとって、芸術とは自分のこと。「芸術は私だ」
・太宰の読み方は普通(単純)にはいかない。
・「人間失格」・・・女性遍歴史がある。「書くものがない」一方的に書いている。
・鱒二と太宰の師弟関係。師はいやなもの。オリジナル・・・めざめる。
・「ヒューマンロスト」・・・「パピナール中毒」になり太宰は拘りを持っている。
・太宰の入院。鱒二に入院させられたことを恨んでいる。
・鱒二著「薬屋雛女房」で、太宰の病気のことを書いている。太宰の恨みは続いた。
・太宰は、自然のままを書かない。へそまがり。老婆=自分の変型。(太宰の小説の原型)
・作家の発想はひとつでしかない。違った作品に見せかけているだけ。それが上手いか、下手かの違いでしかない。それから抜け出せない。
・「背後にひそむ何者かがいる」「死は背後にある」・・・気付かない。
・太宰の純潔に対する考え方。嗅覚の比喩。悪臭という表現を使う。
・文壇・・・ 井伏、川端。 太宰は、疎外されていた。集団嫌い。被害妄想。
・富嶽百景は問題作。富士をどう描き分けるか。見方はTPOで変わるのは、見方が変わるから変わる。
・小説に使う「私」を使うのを嫌った。大庭葉蔵ペンネームとして気に入っていた。「人間失格」に出てくる。
・「滝」をみたら滝を忘れない。
・「ぼんやり」・・・作家になろう。しかし作家はぼんやりと書くときは実は本気である。
・恥ずかしことを書く。本当のことはなかなか書けない。作家になりたくない。
・「ぼんやり」という表現。・・・アンニュイ。ボードレール。
・ストーリーがない。分かり難いのは当り前。・・・太宰の本質。
・才能のある人間のある話を書く。小説家が、小説家を書く。
・川端を憎んだ。菊地寛は、当時文壇のボスだった。芥川賞に絡んで太宰は落選。
・昭和10年は、太宰のターニング・ポイント。
・道化の華。道化の精神(太宰の道化)