ヘイフリックの限界part2

ヘイフリックの限界part2

2023.04.29
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その血の伝説に浸り、ワーグナー音楽のパトロンで、名城造りに没頭し、最期をシュタルンベルク湖で悲劇的な死を遂げたバイエルン王ルートヴィヒ2世(1845~1886)。あのノイシュヴァンシュタイン城は、優美な姿をいまも夢の世界に誘う。他にも、リンダーホーフ城、ヘレンキームゼー城がある。ルートヴィヒは、恵まれた生い立ちの比べて、最期は余りにも切ない。ノイシュヴァンシュタインの城館建造の累積赤字が厖大な額となり、建造中止させられ、精神科医に「精神錯乱」と診断され禁治産者となる。そして謎の溺死を遂げる。


 「美と狂気の王 ルートヴィヒ2世」(マルタ・シャート著、西川賢一訳)。ルートヴィヒ2世の生涯。母マリーの18歳でバイエルン王家に嫁いだ頃の肖像(ヨーゼフ・シュティーラー画、1843年)を見ると、プロイセン公女マリーの美しさに誰しも魅かれるだろう。彼は2人の乳母に育てられる。最初の乳母が8ヶ月過ぎた頃脳膜炎にかかったらしく高熱を発して死んでいる。


 1841年皇太子マクシミリアン(30歳)は、16歳になったばかりの公女マリーにプロポーズした。ベルリンで婚約披露の前に彼女は<はしか>にかかって延期されている。皇太子妃マリーはベルリンからミュンヘンへ向かう道すがら、歓呼の声に迎えられた。ミュンヘン王宮に着いた時、それは感動的だった。花嫁は馬車からとびおりると花婿にかけより、宮廷儀式もなんのその、しっかと抱きついた。彼女の肖像画から浮かぶイメージからもその初々しさが想像されるだろう。



父の跡を継いで皇太子ルートヴィヒは、1864年に即位した。18歳でいきなり内政・外交上の難題に取組まなければならなかった。王権神授説の時代で、歴代のバイエルン国王として、ルートヴィヒ2世は国の政策全体を決定した。最終裁判権、軍の統帥権、大臣の任免権をもっていた。君主のところへ直接出入りできるのは宮廷官房長だけだ。


 ルートヴィヒ2世は最晩年までの在位22年間で王のサインがある書類は、10万通にのぼる。当時プロイセンでは、1862年から1890年までオット・フォン・ビスマルクが権力を掌握していた。彼らの眼には、ルートヴィヒ2世は「臆病で本心のさだまらぬ<道化役>」と見なされた。にも拘らず、あくまでも政治の表舞台での話で、裏の姿はマイペースだったようだ。挙句は、同性愛の愛人と伝説めいたスイス旅行までしている。


 ルートヴィヒ2世は、「すいぶんと気紛れ」で、自分の従僕たちに、「びんた」などを止めなかったという。

ルートヴィヒ二世は、始終歯痛に悩まされた。でも虫歯を抜いて入れ歯にするなど、断じて厭だったため、つね日ごろ強い鎮痛剤を使用した。そのほか睡眠障害にも悩まされており、睡眠薬を飲んでいたが、阿片もあえて辞さなかった。そのため晩年は薬物依存症、アルコール依存症となっていたといわれる。



 ルートヴィヒ二世の現実離れした言動や、多額の借金など、国王への非難が高まった。そのうえ弟のオットーが精神病であること、精神錯乱を理由付けるものになったようだ。科学的な診断がされた訳ではない。


 処で、リンダーホーフ城でのルートヴィヒの日常は、夜と昼が逆転した生活だった。起きるのがたいがい夕方5時ごろ、世間の夕食が彼の朝食だ。あとぶらりと庭園の噴水をながめ、テラスを歩きマリー・アントワネットの胸像があるところまで行き、さらにヴィーナス像のある円堂を訪れる。宮廷官房長の上奏を受けつけるのは、午後8時から10時までと限られていた。それから深夜のディナーである。寝るのは午前5時か6時だった。


 富の象徴であるバイエルンのルートヴィヒ二世は、自然を愛し、音楽を賛美して、優美な城を残したが、豊かな人生だっただろうか。国家が戦争の最中でも山の中に逃げて静かな時間を一人で過ごしていたという。国民から非難されながらも彼は、その為に追放されたのではない。弟のオットーは戦場で病んだかは判らないが、精神病者になっている。彼は自ら戦場に立つことはなかったのだ。ルートヴィヒ二世は、ワーグナーを支え、あの夢のようなノイシュヴァンシュタイン城だけが残った。



 東京デイズニーランドのシンデレラのお城のモデルでもあるという。おとぎ話のような王子さまとは余りにも違う。






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最終更新日  2023.04.29 16:58:29
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