第1回 「人生の目的」
・A.S.ニイル(1883-1973)「人生の目的は無い」→人生は自分で考えるものだ
・実存主義におけるダーザイン(Dasein)…ふと気付いたらそこに生きていた!
☆自分で、人生の目的・意味を設定していくのだ!
☆人の自由を奪わない限り、自由に生きよ!
・人の為に役立つ=GIVE & 自分の欲を満たしていく=TAKE
☆人生はギブアンドテイクである。
☆自分の出来る範囲内で、与える人生を実行しよう。アウシュビッツで地獄を見た人でも、最後まで人間の尊厳を保ち続けた人たちがいたように。
☆生きる意味を見出し、日々を大切に生きよう。そのために→「有難う」と死んでいける人間は、人に与えてきた人間。臨終の間際でも人に貢献する人間である。カウンセリングは死に方を教える学問である。そして、良い死に方を考えることは、良い生き方へとつながる。
第2回 人生の幸・不幸
・人生の不幸=欲求が充足されていない事
・人生をぼやきながら生きる人の傾向とは?
①自分の願望が現実的でない為、慢性的にフラストレーションを溜めてしまう。
例)全ての人に好かれたい!→自分だって嫌いな人がいる、という事実を無視。
例)完全な夫婦であらねばならない!→夫婦喧嘩で生活に張りがあったから、長生きできた。
②簡単に不幸と言ってしまう。
本当はただ単に快適でないか、不便であるぐらいではないのか?大げさに考えるな。
☆人生に八方塞はない!(Nothing Is Awful!)byアルバート・エリス
③快適な方向に向かって動こうとしない
例)無職で困っている人へ助言。電話帳を片っ端から電話しまくれ!→1週間で仕事を得られた。
☆自己中心的な姿勢=誰かがやってくれるだろう… から脱却せよ!
第3回 プロセス主義
☆結果に向かい一生懸命に生きる流れ(プロセス)が大事
(具体例)夏目漱石氏が療養の為に東京に向かった時の俳句「見つつ往け 旅に病むとも 秋の富士」が意味する事。療養に向かう途中の旅路ですらも、富士の景色を楽しもう、という事。
・国分先生はプロセス主義をアルバート・エリスさん(1913~2007 米)に教わった。立派な本を書かないといけない!死後残る本を!→なかなか執筆がすすまない。→エリス氏を見習い、書きたい事を、書きたい時に、書きたいように書くスタイルだと、次々と本を執筆できた。
☆結果がどうあろうと、経過をもう楽しんでいる。
禁欲主義=結果主義。目標達成の為に我慢。結果が大事だ!
快楽主義=プロセス主義。楽しむ事は良い事だ。
☆結果主義よりもプロセス主義の方がいいのではないか?
第4回 おかげさま
☆人の縁を得て生きている=「おかげさまで」の精神
・In-Der-Welt-Sein「世界内存在」
☆人は一人で生きているのではない。他との関係においてのみ生きている
・自分ひとりで必死に生きてきたという感覚=幼い精神性。「幼くて愛を知らず」
?では成熟するにはどうするか?
①内観法
人生に深く関わった人(母親、父親、親族や親友、職場の上司などの順)について
1)してもらったこと
2)して返したこと
3)迷惑をかけたこと 以上の3つをじっくり思い出し、味わう方法。
②人をケアする事
人の面倒を見る事で、自分も色々してもらってきたなぁ・・・という気持ちと、人との繋がりを共に実感できる。
第5回 リフレーミング
☆リフレーミング(Reframing)とは、同じ事でも違う観点から見れば、違う意味がある事である。
(具体例)半分あるウイスキー 「もう半分しかない」? 「まだ半分ある」?前者は否定的。後者は肯定的な観点を持っている。
☆複数の意味づけをできる人=リフレーミングできる人である。リフレーミングは、人生の幸・不幸を変える事ができる。
(具体例)斉藤義重先生の生徒評価 「君の絵は批評のしようが無い。但し、既存のルールに縛られていない良さがある!」
(具体例)国分先生の実体験 日本では民間学者を研究するはみ出し者。ところがアメリカでは、日本人として数少ない民間学者の学問研究者だ!との評価。
☆不幸にいる場合は、自らリフレーミングせよ
?自らリフレーミングできるようになる為にはどうすればいいのか?
①複数の価値観に触れる事。文化人類学を学べ。
②レッテル貼りをしない事。例えば、「バラは赤い!」本当に真実か?枯れたバラは無いのか?つまり「今のところは~である。だが、将来は違うかもしれない」のだ。
③常識に縛られないようにする。例えば、親に反抗する子供への評価。常識に縛られなければ、子供の自我の発達を認められるようになる。
☆同じ事象を見ても、意味づけによって気持ちが変わってくる。
第6回 人の心
・78年間生きた國分先生でさえ、 人のこころはわからない事が多い。 従って何気なく言った事が、相手を傷つけるのも止むを得ない。
?どうしたら人の心をわかるようになれるのか?
①人の体験する事は自分も体験しておいた方が、察しの良い人間になれる。金、愛情、勉強、仕事、嫁姑、上司、友人の裏切り、などに苦労すると良い。但し一人で全てを体験する事は困難。そういう時は、経験者の体験談を聞くのだ。これを「耳学問」という。
②「ねばならない」に自分をがんじがらめにしない事。相手を断定的に決め付ける事がある。従って、「~であるに越した事はない」へシフトさせる事。
③心ならず、人を怒らしたり、悲しませたり、傷つけたりする事はある。「私が人を許すように、人も私を許してくれるに越した事はない」と考えよう。
第7回 人生の事実
・クラーク・ムスターカス(実存主義的心理療法家)のプレイセラピー(遊戯療法)時のエピソード。(國分先生)「もしも対象者の子供が人に見られてカウンセリングをしたくない!と駄々をこねたら?」(クラーク先生)「世の中の人はそれぞれの想いと目的をもって生きている事を説明しただろう。」
☆あるがままの状況(人生の事実)を受容する事が大切である。
?どんな人生の事実がありえるのか?
①「如何ともし難い人生の事実」の中で、どう生きていくかを考える
②愛するものとの別れ。人生は「分離」の連続である。その中でどうやって生きていくか?
③嫌な人、苦手な人と共存せざるを得ない。世の中は自分の為に作られていないのだ。
④人はいつか死ぬ。それを科学だけでは割り切れない。生きている時は、生きる事を楽しもう。死ぬ事はあがくことなく、正面から受け入れよう。
☆つまり、自身の人生哲学を持っておく必要があるのだ。
☆ナーシシズム(Narcissism 自己中心性、自惚れ、万能感)が強く残る人は、「いかんともし難い人生をどうにかしていく気概」を持ちにくくなる。
☆ナーシシズムから脱却し、「人の目で、自分を見られる人」、つまり大人へと成長していこう。
第8回 自己を打ち出す
・従来の日本は「出る杭は打たれる」など、ややネガティブであった。しかし、これからは、自分はこうして欲しい!と主張できる面も必要だ。
☆人に「~して欲しい」とためらわずに言う方が良い。
・自分を打ち出す=喧嘩とは限らない! つまり☆「相手にも自分にも自己主張する権利があるのだ」
・自己主張が苦手な人の理由。人から悪く思われると思う「失愛恐怖」を持つから。
☆人生には「人に悪く思われてもいいから言わねば・せねばならない事がある。しょっちゅうは無いはずだが、「引くには引けない線」をハッキリイメージしておく事。
(具体例)杉原千畝(外交官)… 第二次世界大戦において、ナチスドイツの迫害から逃れようとするユダヤ人たちに、多くのサインを行った人。当時同盟関係の都合、国よりサインの禁止を通達されても、失職の恐怖より人道を優先した。
☆自己主張には、自分自身の哲学が必要。自己哲学があるなら自己主張訓練が有効になる。
第9回 自己を開く(自己を語れ!)
・霜田静志(1890-1973)先生への相談体験より「有名学者〇〇はこう言っているが、僕は~と思う」という自己を語れるスタイルになる必要性を、國分先生は感じた。
・自己を語るメリット
①自己を語る事によって自己を発見していく
②人が近付きやすくなる(自分が何者かわかるから)
③自己開示する人に触れると、その人も自己開示できるように影響を受ける。
④若い人にとって、人生の問題解決のヒントとなる。具体例:桐村普次(法大教授)の研究内容:30代に良い上司とめぐりあった人は、大体重役になれていた。良い上司とは、自分の体験を惜しげもなく語ってくれる上司の事である。
☆自己受容(あるがままの自分を認める事が)できている人は自己開示しやすい。但し、全ての事を受容できていない事は当たり前である。
【筆者補足】『自己開示の危険性について』
私は自己開示の概念に、大学時代に出会いました。親から教わることができず、ゼロから試行錯誤で学び始めたので、苦労を重ねましたが、その分十分に実践的な研究もできたと考えています。
先生の教えを真に受けると 「誰に対しても自己開示を試みて、更なる自己受容などにつなげるべきである」という姿勢になりうるリスクを感じました。その修正案として、
☆自己開示は信頼関係を結べそう(結ぶべき)な相手にたいして、信頼度が高まるにつれて次第に自己開示度を高めた方がよい。 方が無難かもしれません。
では信頼度を次第に高める為にはどのようにすればいいのでしょうか?
<最初> 自己紹介を行う。表面的な内容を開示する。(年齢、好きな食べ物など)
<その次> 相手がコミュニケーションを続けてきているとか、好意的に見えるなどの場合。ちょっとした失敗の自己エピソードや、自分の個性に関わること(例:動物の〇〇はかわいいですよね)を開示してみる。
<その次> そうしたやり取りを相手が受容してくれたり、また相手も自己開示をある程度してくれている場合、次第に自己開示の質(深さ)と量を高めてみる。
☆要は相手を観察しながら、信頼できそうかを感じつつ行うことが大切です 。
不用意に相手と敵対しないうえでは大切な面となります。相手と感情豊かに話すには、この意識が邪魔をするときなどもありますので、
☆自分の相手はどんな個性の人なのか?立場・役割のひとなのか?=友達として交流できる余地があるのか?
という観点も、感情交流を豊かにしてもよいのか?という不安を感じる場合、有効な判断基準となるかと思います。
最後に、そんな計算通りに人間関係など結べない!という気持ちがわくのは当然だと思います。その通りです。実際上記のように気を付けていても、上手にいかない場合もあれば、信頼関係を結べてしまう場合もあります。人間関係はお互いで作り上げるものです。
☆ふれあうことのできる人生は確かに心を豊かにしてくれるが、そういう人間関係を結べればそれにこしたことはない。自分にも相手にも相手を拒否したり、認めなたくない自由がある。
ぐらいに考えておく方が、気持ちが落ち着く上、失愛恐怖に陥ることなく、人間関係に過度に過敏にならないですむことでしょう。
第10回 行動を起こす
☆世の中、口先だけでは渡れない。行動で示せないとダメな時も多い。
・「心頭滅却すれば火もまた涼し」の格言は、代表的な心理主義を表す言葉である。すなわち、心さえ変えれば問題は解決できる主義である。(カウンセリングの世界で多くみられる)だが…
☆折衷主義(特定の考えに固執しない主義)から言うと、火そのものを消してしまう方が良い時もあるといえる。
☆行動を起こす判断は、自分の人生哲学による。
☆自分の人生の中で、価値のランキングをつけること。すなわち、「引くに引けない最後の線」を明確にしておく事。
第11回 表情
・美男美女でも異性にもてない人がいる。それは、表情が貧困だと人は寄ってこないのである。☆表情は心の表現である。
・攻撃を受けるのではないか?と緊張している人は、表情を豊かにできない。また、恐怖が続きすぎると、本来の表情を失ってしまうのだ。
・いつもニコニコしている人は失愛主義が強い人間である。相手から何かしらの愛情を欲しいと思い続けている人である。つまり、相手から奪い続けようとしている人(ギブアンドテイクの人ではなく、テイクアンドテイクの人)と言えるのだ。
☆アイアン・D.サティ(英)の理論を応用して言えるのは、「いい顔とは、人に与える顔である」
?どうすれば与える表情の人になれるのか?
①母親の心を持っている人(柔和な顔 人をいたわる顔 共感している顔)
②毅然とした、凛とした、決意を秘めた顔つき 人の不安を消し、勇気と希望を与える力がある。
③無邪気な顔 お互いに安心して子供心を出せる顔
・リンカーンの言葉「40歳になったら、自分の顔に自身を持て」
?表情を与える上での要点は?
①相手の子供心に触れる事
②相手の子供心にコンタクトしていく事
・道元の言葉「人を慈しむ事は、相手を子供のように扱う事だ」
第12回 勇怯の差
・従来のカウンセリングの主流は治療。扱う題材も悩みや不安など。夢、勇気の養成などを扱うカウンセリングが増えてきている。これをポジティブ心理学という。
☆震えながらでも良い。言うべき時に言うこと。やるべき時にやることだ。
☆「勇怯の差は小なり。責任感の差は大なり」である。
(意味)殆どの人にとって、怖い時はみな怖い。逃げたくなることもある。だが、大事なのは、役割に従った責務を果たせるかどうか?である。
(具体例)1989年のベルリンの壁崩壊時…患者を見捨てなかった医師と看護師の話。
?どうやったら責務を果たせるのか?
☆アイデンティティーを定めておくと良い!
?では、どうやったらアイデンティティーを定められるのか?
①それぞれに応じた扱いをする事で、アイデンティティーを定めていく。
(具体例)九州男児として育てられた幼年期 幼くして父親を亡くした長男が、遺影をもって先頭を歩く話 →☆あたかも~の様に毎日を送る事である!
②ある役割を演じている人には、責任をきちんと持たせる
(具体例)鍵係となった学生の話 幼児を対象にした知能テストのやりとりの話 ☆責任と対峙して克服する事で、アイデンティティーは定まりやすいのだ。
第13回 暗記のすすめ
暗記のすすめ → 覚える事を活用しよう
暗記は教育ではない?考える教育をしろと言うが…
☆「暗記したものを全部活用して解いて行く」のだ。
☆記憶が無ければ、思考はない。(言葉を知る事ではじめて認知ができる、と小林秀夫氏も指摘している)
☆たくさんの知識を組み合わせる思考により、創造性が生まれる。
中国の古典より
「学びて思わざれば、すなわちくらし。≒頭でっかち 思いて学ばざれば、すなわちあやうし≒危険」
?何を覚えていけば良いのか?
①概念
②概念をまとめあげたもの。すなわち理論
③使い道のある事実 (例:他人の失敗、成功談など)
?では覚えやすくなる技術はあるのか?
①覚えたものを口に出そう
②覚えたものを使ってみよう
③人に教えてみよう 1~3=アウトプットしよう!
④復習しよう(人は2日で半分、40日でほぼ全てを忘れる)
☆何から何まで全てを覚えなくてもいい。自分の当面の問題さえクリアできればそれでいいのだ。
第14回 敵のいる人
☆敵から頭を下げてもらえる人になれ! 敵とは?→ 自分を否定してくる人
①大槻憲二先生の教え(文学部出身で、心理学会や意思から拒否されることの多かった学者。フロイド全集を書き上げる)
・敵がいる=有能だとみなされる裏返しと思え(参考:D・カーネギー 死んだ犬を蹴飛ばすものはいない)
・敵が頭をさげて仕事を頼みに来るようにすればよい
②霜田静志先生の教え
・柳に雪折れ無し
・負けて勝つ
③国分先生の教え
・いくら敵でも、仁義は捨てるな。
・なぜ相手はこちらを拒否するのか理解する(他者理解)
・敵がいる事は、自分にとってどんな意味があるのかを発見する。自己成長につながるからだ。
・発奮すること。策を練って、一心不乱に努力せよ。
☆敵がいる事は絶望ではない。
☆敵がいるから成長できる。
第15回 先を見て生きる
☆先を見て今を生きる必要もある
アウシュビッツ収容所の話(ブルーノ・ベテルハイムさん(1903-1990)による)時間を教えられない状況下では、次々と発狂者が現れていった…
☆時間の流れの中で今を生きることが大切
☆先が見えなくなったら、我慢する力が減ってしまう
☆先が見えると、今は何をすればよいのか決断がしやすい
?どうしたら先の見える人間になれるのか?
①年長者と多く接する (仙崎武 文教大名誉教授の体験談 勉強をしない高校生たちに、アルバイトをすすめた。彼らは喜んでバイトに行ったが、現場で中卒以下の50代労働者の低待遇を見た。学歴の有用性を肌身で感じ、勉強へのやる気がUPした。)
②過去の歴史から、推論を立てる。
③自分は何がしたいのか?「志」(キャリアアンカー、自分のテーマ)をハッキリとさせている
☆先も見ながら、今を精一杯生きろ。NOW & FUTURE
第16回 自己肯定感
☆自己肯定感、すなわちありのままの自分を肯定している事が大切
人間は生きていく上で、客観的な事実だけにさらされて生きるわけではない。自分の感じ方が大切になる時がある。自己肯定感を持とう。ただし、ハッタリではダメだ。嘘は自分が心の底で感じてしまうものだ。
?どうすれば自己肯定感は高まるのか?
①自力で違う価値観に触れていく。自分で人や良書に出会っていく。
②泥棒と人殺し以外はなんでもやってみる挑戦心を持て。つまり、ダメだと思っていた事が、意外とできることが往々にしてあるのだ。
③ものの考え方が変わると、自己肯定感が高まる。
(具体例)母親として失格だ→育児の仕方がダメだっただけだ。 例:自分は喘息児で甘ったれだ→普通の人より病弱の人に共感できる素質を持っている!
☆自分のはたらきかけ方次第で自己肯定感は高まっていく
☆自己肯定感が高まると、状況が同じでも違う人生が展開していく
第17回 人生の転機
☆人生の転機とは、ある偶然の為に生き方が変化する瞬間を指す。具体例…失恋、落第、日干し、離婚、死別など。つまりマイナスのイベント。
☆このマイナスイベントを糧にできる人と、できない人に分かれていく。糧にするためには、四つのSが重要である。
①Self(志):自分の人生における大義、すなわち志があれば、状況に流されずにマイナスイベントをバネとして成長していける。
②Situation(状況):自分の近未来の状況を予測しておき、現実として面した時の失望を軽減する。
③Support(人脈):人脈がある人間の方が、苦難に耐えやすい。仮に人脈が無いとしても、周囲の人間にプラスの貢献を行う。交流のチャンスがあれば、感謝しながら交流を楽しむ。苦境を認め、マイベストを尽くし、機会を逃さないわけである。
④Strategy(戦略):今後の方針を見据えると共に、現在置かれている環境に置いてマイベストを尽くす。
☆自分は何をしたいのか、を意識して日々を送る。
☆責任を持ち、自分の地位を育てる日々を送る。
第18回 人生の転機
☆気合は重要である。気合とは、意図的に自分を緊張状態に置くことを指す。そして、この状態を日常で時々作りだすのである。
☆気合は、役割意識が生む。
・気合負けしやすい時が二つある。
①相手が年上の時
②相手が自分よりも地位の高い時
だが、自分の役割を、責任を持って果たすことで、これを乗り越える必要がある。
(1を打破した具体例)山本五十六長官の真珠湾攻撃前の訓示。(兵学校の先輩にも言い放つ)
(2を打破した具体例)某部長。非難し続ける専務に対し、各部長の報連相が今後途絶えることになることへの覚悟の有無を確認。相手にわびさせた。
☆ただし、四六時中緊張させてはならない。
(具体例)吉川英治氏の「弓のつるの話(常につるを張りっぱなしでは、弓として使えなくなる)」より、遊び(緊張の弛緩)も重要。
☆気合をかける瞬間を間違えない。一方気合を抜く瞬間も間違えない。
第19回 死に方・生き方
・カウンセリング=死に方を教える事
・自分の哲学として未確立なことは、一言で明確に言い表せない。
☆良い生き方とは、死を忘れるほどにすることをたくさん持っている人生である。
☆することとは、心からヤリタイコトのことである。そして、ヤリタイコトを行いながら、精一杯生きる生き方を目指せ。
第20回 ABC理論
アルバート・エリス先生提唱:Rational emotive behavior therapyの主軸を成す理論である。
Accident → Brief → Consequence
出来事 → 受け取り方 → 悩み
☆ある出来事に対し、どのように受け取るかによって、悩みが発生してしまう。
?健全な受け止め方にするためには?
①事実に即しているか?
(具体例)すべての人に好かれることに越したことはないが、実際はまず不可能である。
②非論理的(非現実的)な因果の展開を防ぐ
③どちらでも良いなら、少しでも幸せになれる方を選ぶ。例…どもりを逆手にとってトップセールスになった人の話。
☆ 悩む人間は、考え方が足りていない。 非現実的、非論理的、多様性の欠如がそこにあるのである。
第21回 立居振舞
・人間関係を築く上では、敢えて行動に表すことが有効なことがある。 相手が目上の場合。目下の場合。同僚の場合。 (その時代に合わせる必要はあるだろうが)適切だと思われる行動を示すことが望ましい。 適切とは、人間関係を構築しつつ、自分が担う役割を果たせるという意味である。
第22回 アイデンティティ
アイデンティティ=自分は何者か?と定めている意識のこと
・國分先生の体験。各種理論や実務経験を積んだ結果、自分が何者かわからずに留学地に赴いた。指導者より「それはアイデンティティの問題だ!」3か月程度で自分のアイデンティティを定めることができた。
☆アイデンティティが定まらない。方針が定まらず、一貫性も持てない。まして40、50代になると問題が大きくなる。教育、育児、カウンセリングなど、自らのアイデンティティを定めないと、相手にも一貫性を持って対応できない。
☆自分個人は何者なのか?=Personhood(究極の自分)を定めていこう!
☆職業・国籍などのアイデンティティと、Personhoodの双方のアイデンティティを持っていこう!
☆アイデンティティを自覚するということは、他と比較してどこが同じでどこが違うかを絶えず考え続けることだ。なぜなら、自分ならではの個性と、他人と同様(似ている)の点の双方をおさえておき、自分と他人のアイデンティティが共存できるように、共通性を発見しておくことが大切だからだ。
第23回 知識と体験
・『知識と体験』 知識だけ理解しているだけでは、本当に理解していること及び活用できることにつながらない。 知識と体験が融合してこそ、はじめて実践的に言動できると言える。 ※ちなみに概念と体験が融合すると、自己理解が進んだり、揺るぎにくい自信があふれてくる。
第24回 親孝行
・他人が自分に興味を持ったり働きかけてくれるのは、普通にあることじゃないめずらしいこと=有り難いである。 親に甘やかされた人は、他人に感謝すること(例:他人の飯を食う)を実践していくことが重要である。 親に愛されなかった場合は、自分が大人になった上で、親を一人の不完全な人間だったと理解することである。 内観法を活用する方法も有効である。(私はこれで母親に対してはかなり感謝できるようになった)
【新・國分康孝談話室要点集】
【1ふれあいとは何か 要点】
自己開示する勇気を持つ人生が、人とのふれあいを生みます。
自己開示とは、ひとりの人間として何を感じるか・考えるか、を相手に伝えることです。 役割・立場にとらわれずに、人として言動することが大切です。
【2なぜふれあいが大事か 要点】
ふれあいにおいて相手を人として尊重することで、相手の自己肯定感を増す支援ができます。 また相手の孤独感をいやすことができます。(人を苦しめるのは、孤独・罪悪感・不安や恐怖) さらに相手に生きる上での教え(示唆)を与えることができます。 最後に以上の3つにより、 自らを相手に与えることができ、自分自身(与える側)も喜びを感じることができます。
【3ひとりの人間として生きるとは何か 要点】
人にもともと生きる目的はないといえます。 生きる目的は自分で創るもの、発見するもの、選ぶもの、といえます。
正解は無いかもしれませんが、自分が納得できるものを手に入れることです。 人には選択・意味づけの自由があります。しかし、他人のせい・環境のせいにしていては、自らの自由を放棄することになります。
【4ふれあいを縛る思想 要点】
ニーチェは、間違ってもいいから 自ら選択して人生の主人公になろう
と提唱しています。しかし、多くの現代人は実行できてないようです。
例えば「すべての人から愛されなければならない。評価されなければならない。できなければ自分はダメなんだ。」と思い込む人がいます。修正する為には「確かにそれに越したことはないが、達成できなくてもダメではない。自分も相手を嫌う自由があり、現実いろいろな人を嫌ってきた。お互い様だよね。」などと、とらえなおすとよいです。
例示の偏った考え方を、イラショナルビリーフといいます。これを粉砕する勇気(courage to be)を持つことが大切です。イラショナルビリーフを自分に向けると、苦しみや欲求不満の多い人生となってしまいます。一方他人に向けると、相手を個性と尊厳のある人(person)として見られなくなる恐れが高まります。
【5ふれあいを妨げるグループへの迎合 要点】
自分が人として言動するのを妨げる4要素に、1思想、2グループ、3役割、4組織があります。
(今回はグループについての動画です) 他人と仲良くしていても、自他の境界を持つことです。そしていざとなれば他人に同調せずに自分を打ち出す勇気を持つことです。 周囲に同調せずに打ち出す場合は、自分の生きる意味に反しているかどうかが判断基準のカギとなります。一方やみくもに行わずに柔軟性を持たせることも大切です。どうしても打ち出すべきだ!=伝家の宝刀を抜く!という感覚が有効です。
【6ふれあいをためらわせる役割 要約】
「ひと(person)」同士の触れ合いを邪魔するものに、役割も挙げられます。
真面目過ぎる人ほど、惑割から抜け出て、はみ出る勇気が必要なときがあります。すなわち、ひとりの人間とひとりの人間同士のコミュニケーションを目指すのです。
【7組織のなかのふれあい 要約】
「ひと」同士の触れ合いを邪魔するものに、組織もあり得えます。
確かに組織にいる以上、組織の命を実行して貢献すべき(役割を果たすべき)です。しかし、ここぞと思える時は一人の人間として組織の役割から抜け出る勇気を持つ方が良いです。
具体例として、外交官の杉原千畝さんの生きざまが参考になることでしょう。では杉原さんのような「ひと」としてふるまおうとする勇気はどこからくるのでしょうか?それは人生哲学なのではないでしょうか?
【8Courage to be 要約】
役割から抜け出て 「ひと」として生きる為には、courage to beが有効です。
courage to be とは、自分の生き方・あり方を打ち出す勇気をもつことです。ではどうすればcourage to beの勇気を持てるのでしょうか?
第1にパッション(燃える想い)を持つことです。これは問題を抱える現場にいる人たちにかかわり、知り、問題の解決の必要性を感じることで高まっていくものです。
第2に自己肯定感(I am OK)を持つことです。その為には、自分の弱さも認めてしまうことです。やることをやるならば、震えたり怖かったりしてもいい。自分にダメ出しをしないことです。また、多くの人をみたり、交流したりすることで、自分が過大視している人間像が、次第に変わっていきます。多くの人はみな、自分と同様に弱さや問題を抱えているのです。人とはそんなものだと安心できるわけです。そして自分自身もそんなひとの1人でいいんだ、と実感していくことも、自己肯定感を高める上で役立ちます。
【9打てば響く人 要約】
人とふれあうには自己開示が重要です。その為にはcourage to beの精神が大切です。
自己開示は、する側と、される側の関係が成立しなければなりません。成立させる為には、どのようなコツがあるのでしょうか?
第1に相手が(さりげなく)自己開示してくれている言動を察知することです。察知する為には相手と同様の経験を自分もしておくと有利です。人生においていろいろと試行錯誤することが有効です。
第2に「ねばならない(べきだ)」という考え方から抜け出ることです。善悪の判断基準から抜け出ることとも言えます(不思善悪)。
第3に強すぎる劣等感を上手に処理することです。劣等感をそのままにすると、相手を引き下げようとしてしまいます。(また、自己肯定感も持てないことでしょう。)
【10Being is choosing 要約】
ひととして生きる上で大切なのは、選び方です。Beeing is choosingです。
(beeingは古い英語表現かもしれません)では何をえらんでいけばよいのでしょうか?
第1に自分1人の世界をどのように運営していけばいいのか?についての選択です。
第2に他者との縁をどのように生かしていくのか?それについての選択です。
第3に人生の受け取り方をどのように選んでいくのか?(例:肯定的、否定的など)です。
【11選び方を支える人生哲学 要約】
自分が自分らしく何かを選ぶ時の原理は何か? それは人生哲学と相談すること
です。人生哲学にはいろいろな観点があり得ます。
有用かどうか?
意味があるかどうか?
事実と論理に基づいているか?(論理実証主義)
哲学は、自分、相手、皆さん(they)がそれぞれOKであるとよいです。 その為には、人生哲学も折衷主義が良いのではないでしょうか?その方が選択をした際に、納得しやすいのではないでしょうか?
【12人生哲学の折衷主義 要約】
人生ではいろいろな問題が起きます。その際、自分の哲学に根拠をおいて、生き方(対応の仕方)を選ぶことが有用です。その際、 折衷主義が役立ちます。
例えば、人生の苦境の時期を過ごしている場合は、その時期に対して意味づけすることで乗り越えやすくなります。
自分の希望(目的)に近づく場合、意味づけよりも、有用なのかどうか?で選択することが望ましい場合もあります。
自分の想像で悩んでしまっていたならば、実証主義的に問題を捉え直す方がよい場合があります。(例:悩むなら事実に基づいて悩め)
つまり、 人生で生じる問題は多種多様であり、問題ごとに効果的な対応の仕方(哲学の用い方)が違ってくるだろう(=折衷主義) 、ということです。
【13生き方・あり方のモデル 要約】
生き方とは①思考 ②感情 ③行動 を選ぶことです。
思考を選ぶ際は、自分の置かれている状況がどんな意味があるのかについて、選ぶとよいです。
感情を選ぶ際は、よく見つめて表現する内容を定めることが大切です。
行動する際は、いざというときにどんな言動ができるかが大切です。
【14千万人といえども我行かん 要約】
第1にふれあいはあるに越したことはないですが、ふれあいを絶ってでも行う方がよいことがあります。それは対決したくなる場面です。その際、次のようなパターンがありえます。
対決のパターン1:相手のことばと言葉の矛盾を指摘する。
対決のパターン2:ことばと行動の矛盾を指摘する。
対決のパターン3:ことばと非言語(仕草など)の矛盾を指摘する。
対決のパターン4:非言語と非言語の矛盾。
対決のパターン5:行動と行動の矛盾。
対決をする為には、強気が必要となります。そして強すぎるふれあいへの気持ちが障害になることがあります。
第2に、自己開示が相手とのふれあいにつながらないこともありうる。それでも行おうと思えることがあります。
第3に、相手に自己主張することで、相手とけんかになることがありえます。
【15ふれあいのある生き方の留意点 要約】
ふれあいのある生き方を目指す場合、留意点がいくつか存在します。 ふれあいにはルールがある のです。 第1に自己開示によって、相手が傷つくリスクがある点です。相手が受け入れ可能な状態かどうか?を考えることです。 第2に相手が自己開示したくない場合、それでも要求することは止めた方がよい点です。相手を苦しめてしまいます。相手には自己を開示しない権利があるのです。 第3にこちらが好意のつもりでかかわっても、相手が傷ついてしまう可能性がある点です。その際は、しっかりとフォローするようなヘルプをすることが望ましい点です。 ただし、相手を傷つけてはしまいか?といつもびくびくしていては、自己開示もふれあいも行えません。傷つけることがあることを自覚し、傷つけてしまったら修復する 努力を行い、できなければ同じ過ちを繰り返さないように考え行動することです。
【16構成的グループエンカウンター 要約】
ふれあいを持つために、どのような経験をすればよいのか?その方法の1つが構成的グループエンカウンターです。(構成的グループエンカウンターとは、プログラムにそってお互いがふれあい、本音で交流し、自分らしさに気づいていく活動です)
現代人が抱える問題は大きく2つあるように思えます。
1.当たり障りのない会話に終始してしまい、本当に自分が感じていることが何なのか?わからなくなってしまう。=自己疎外の状態になる。
2.慢性の孤独感におかされている。
この2つを解消する為に有効な方法だと言えます。ふれあいを取り戻して、お互いが元気になる良さがあります。すなわち「あるがままの自分自身になりきることで、(元の元気な状態に)治る」ことだと言えるのです。=to be cured is to be yourself.
【17内観法 要約】
ふれあいの姿勢を養う方法の1つに内観法があります。内観法は母親(親などの大切な人)との間で
1.してもらったこと
2.して返したこと
3.迷惑をかけたこと
以上3つを丁寧に振り返っていく作業です。あくまで事実を思い出していくことがポイントです。
その結果、母親などの大切な人に対する見方が自然と変わってくる効果があります。
【18グループ活動・年中行事 要約】
ふれあいやすい姿勢を養成する方法の1つに、グループ活動・年中行事も有効です。
集団体験をすることで、役割=他人とかかわることを担う経験ができます。(とりわけ幼い時は効果が高い)
集団は学校などに限定しなくても、家庭などでもよいです。家庭で時間を共有することで、孤独感を減らせます。
【19論理療法のすすめ 要約】
ふれあいを邪魔する非現実的な(非自己支援的な)考え方があります。論理療法(非現実的・非支援的考え方を持ってしまった結果、自分を苦しめるので、考え方を修正して苦しみに対応する心理療法)の観点から言うと、3つ挙げられます。
第1に「すべての人に好かれなければならない」があります。言いたいことを言えないし、自己開示もできなくなります。現実的にすべての人の気持ち・欲求を察知して満たすことは不可能です。考え方を修正して「すべての人に好かれたらそれにこしたことはない(けれど、実際は難しい)」ぐらいに考えるとよいです。
第2に「人のこころを傷つけてはならない」があります。悪意がなくても、相手を傷つけてしまうことはありえます。私たちは全知全能ではないのです。同じ過ちを繰り返さないように努力しながら、考え方を修正して「人のこころを傷つけないにこしたことはない(けれど、実際は難しい)」ぐらいに考えるとよいです。
第3に「失敗すべきではない」があります。イエス・ノーすら言えないぐらいに、行動ができなくなります。私たちは全知全能ではありません。今の自分が良かれと思ってマイベストを尽くす(言動する)のです。「失敗しないにこしたことはない(けれど、実際は難しい)」ぐらいに考えるとよいです。<具体例>素晴らしい本を書こうと思わずに気楽に書くから、たくさん本を書けるのです。(Eフロム先生談 なお、これは國分先生も引き継いでおっしゃっておられました)
【20ふれあいのある生き方・あり方の三大課題 要約】
「ふれあい」のある生き方には原理があります。それは自己開示をする際に、人間としての生き方を語るようにするとよいと思うのです。
第1に「死を意識して生きる」です。明日死んでも悔いがないように生きる。精一杯生きる。つまり生きることを充実させられるわけです。
第2に「自由」です。どのように生きるか自由なので、精一杯自分が納得できる考え方、感情を味わっていく。自分の哲学に基づいて、選んでいく生き方です。
第3に「責任性」です。自分の人生の結果は、自分自身で受け止めるという意識を持つ。つまり、自分が人生の主人公だと正々堂々意識して、生きるわけです。
(補足)
現在では論理療法よりも、認知(行動)療法の方が有名になっています。内容は論理療法も認知療法も本質的には同じなので、どちらを学んでみてもよいかと思います。