そして今日も日は過ぎる

2004/01/10
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 本日はある種の有名な都市伝説群について紹介したいと思います。

*13階
 ある男が、マンションを借りようと不動産情報誌を見ていた。
 そしてその中に、月一万円のひときわ安い部屋を発見する。
 直ぐに管理会社に連絡して、そのマンションの13階にある一室を見てみると、手入れも行き届いているし、部屋もなかなか大きく使い勝手もいい。これで一万円とは破格である。
 「何故こんなに安いのですか?」
 「それが良く分からないのですが、この部屋を借りた人は大抵二週間も経たずに出て行ってしまうのですよ。理由をあかしてもらったことはないのですが。それで安くしてみたんです。」
 担当者も困惑気味にそう話す。男はその部屋を気に入り、早速賃貸借契約を結ぶ事にした。
 その部屋に越した初日。男はコンビニで買い物をしてその部屋へと戻ろうとする。時は夜。
 彼は自室へ戻ろうと階段を上っていくときに、まだ小さな男の子を階段のところで発見する。このマンションの子供だろうか?こんな夜遅くまで何をしているのだろうか?

 「今日は一階だよ。」
 翌日。特にこともなく仕事から帰り自室で寝ていた男は、夜中の二時にはっと目を覚ました。しーんと静まり返る室内で寝返りをうとうとして男は金縛りにあっていることにきづく。不可解な気持ちのまま再び眠りにつこうとした男の耳にあの少年の声が聞こえた。
 「二階に上ったよ。」
 そして、男はそのまま眠りについた。
 だが、この不可思議な現象はそれから毎日続いた。
 毎日夜中の二時に男は金縛りにあったまま目を覚ます。そして必ずその後に少年の声が聞こえてくるのだ。
 「三階に上がったよ。」
 「四階に上がったよ。」
 少年の声は毎日一つづつ上の階へ移動している事を告げている。しかも一日ごとに声が大きくなってきている。
 「五階に上がったよ。」
 「六階に上がったよ。」

 「七階に上がったよ。」
 「八階に上がったよ。」
 気味が悪い。だが、男はこの破格の条件の部屋にまだ未練がある。
 「九階に上がったよ。」
 「十階に上がったよ。」

 すると、予想通りの返答があった。
 「大分前になりますが、老人とその孫がすんでいたことがあります。」
 「その子はどうなりました。」
 「可愛そうに、階段から転げ落ち頭を打って亡くなったそうです。血をながして一階で倒れているのを発見されたそうですよ。」
 男はますます気味悪くなる。慌てて管理会社に連絡して出て行くことを告げた。しかし新たな住居を見つける事や、引越しの準備などで、まだ部屋からは出られそうになかった。
 「十一階に上ったよ。」
 「十二階に上ったよ。」
 そしてその後、耳元で少年の声がした。
 「明日はおうちに帰るよ。」
 男は慌てて翌日その部屋を引き払う。
 後に男は、新聞で、その部屋を借りた別の男性が死亡しているのを発見されたという記事を見る。この男性はもしかして13日目になっても部屋を出なかったのであろうか・・・?

 同様に13という数字で思い出すのが『メリーさんの人形』という都市伝説。こちらは子供のころ大事にしていた人形を捨ててしまったところ、人形(とおぼしき存在)から電話があり、13階の自室に迫ってくるという伝説。
 こちらのオチの方が怖いような気がします。
 そしてこの『メリーさんの人形』の派生として『リカちゃん電話』という都市伝説があります。オチは『メリーさんの人形』とほぼ同じ。

*リカちゃん電話
 留守番をしていた女の子が、暇をもてあまし、暇つぶしにリカちゃん電話に電話をする。
 「もしもし、私リカちゃん。お電話ありがとう。今おうちにいるの。これからお出かけするところなの。」
 これで終わり。これだけか、つまらないなあと思い女の子はもう一度電話してみる。
 「もしもし、私リカちゃん。お電話ありがとう。今ね、お出かけ中なの。」
 これを聞いて女の子は、電話をかけるたびに内容が変わるんだ、と思い面白くなってまた電話する。
 「もしもし、私リカちゃん。お電話ありがとう。今ね、あなたの家の前よ。」
 驚いて女の子は電話を切る。いたずらだろうか?
 恐る恐る玄関の前を扉の後ろから覗き見てみる。
 ほっとしたのも束の間、電話がかかってくる。タイミングがタイミングだけに驚く女の子。だが、恐る恐る電話に出る。
 「もしもし、私リカちゃん。今あなたの後ろよ・・・。」

 前の『三本足のリカちゃん人形』の話もそうですが、何故かリカちゃんはこうした恐怖系の都市伝説のモチーフにされることが多いですね。
 これについては、恐らく、実在する『リカちゃん電話』のせいではないかと個人的に推測しています。
 リカちゃん電話を聞いた事がある人ならご存知かと思いますが、機械的に再生されたリカちゃんの声はその声の可愛らしさとは裏腹に、無理して明るく話す様子やイントネーションの不可解さから妙に不気味な印象を受けてしまうのです。
 このリカちゃん電話の不気味さから『三本足のリカちゃん人形』や、この『リカちゃん電話』の不気味なモチーフが生まれたのではないでしょうか?

 さて、この『リカちゃん電話』及び『13階』と『メリーさんの人形』に共通する点としては『忍び寄る恐怖』というものがあげられると思います。
 少しづつ近づいてくるという状況、そしてもしその接近が最後まで到達したらどうなるのか?その想像がこれらの都市伝説の肝になっていると思います。
 それから『リカちゃん電話』はさておいて『リカちゃん電話』の元ネタであろう『メリーさんの人形』及び『13階』には自室のある13階が最終目的地(?)という共通点があります。
 これは処刑台の13階段や13日の金曜日のように13という数字に不吉なものを感じ取る日本人の感性のあらわれではないでしょうか(より直接的に処刑台の13階段を想定しているのかもしれませんね)。また同じく、不吉な数字に関しては4もありますが、4だと忍び寄ってくるじわじわとした恐怖にはあまり適さないという事もあるのでしょう。4に関する都市伝説についてはむしろ、存在しないはずの四階があって・・・というネタの方が多いようです。これに関してはまた機会があったら紹介したいと思います。





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Last updated  2004/08/21 10:59:37 AM
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剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!
剣竜 @ Re:投票義務制の問題点(11/10) ありがとうございます。 随分昔に書いたの…

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