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21世紀の教育をめざして・・・
劇の指導
●練習1日目の指導
1.心構えの指導をする
○みんなで創り上げるということ
○自分の成長のために取り組むということ
この2点は、心構えの指導です。練習の開始時に時間をとって話します。
真剣に話します。具体的に自分の目標を持つようにさせます。
そのために、今までの経験では、
・声が小さい ・恥ずかしがる ・出番以外に遊ぶ ・友達を冷やかす
・自分から工夫しない ・失敗を笑ってごまかす ・同じ注意を受ける
などの行為があっただろうと思い出させ、自分(達)の克服すべき点をはっきりとさせる。
そして、「このようにする」と教師がモデルを示して、それらを止めることを約束させる。
2.練習の大まかな計画を伝える
例えば、
・心構え→・台本を読み込む→・台本を覚える・なりたい役を決める→・オーディション
で決める→場面ごとに練習をする→全体で流す→衣装や小道具・大道具などをそろえる→
細かな演技を工夫する→・最後の調整をする→・本番→・反省、ふり返り
をポイントを簡単に話して伝える。
3.台本を配り、読み合わせる
・ユーモアを入れた解説を加えながら読み合わせをする
・感想を簡単に言わせ、作品のイメージをはっきりさせる。
4.成功イメージを持たせ、意欲付けをする
・自信を持って演じている自分(達)の姿
・演技を真剣に、そして楽しみながら参観してくれているお客さんの様子
・劇の取り組み後の自分(達)の成長した姿
■新しい場面を作りました。以下の場面です。ギャグ満載の場面です。
2-3 悪い大人
親分:「どうだ、うまくいっただろう」
子分1「さすが、親分。最高でしたね」
親分:「だろ、だろ。おれ様の(頭を指さしながら)ここがいいからよ」
子分2:「そうです、そうです。親分は算数は全然できないのに、悪知恵だけは働くんです
から」
親分:「あん? 何か言ったか?」
子分2:「いえいえ、親分は頭はいいし、顔もいいし、芸能人で言えば・・・田端義男(ばた
やん?)いや、東海林太郎(お前、えらく古いなぁ!)じゃあ、森進一?五木ひろ
し?」
親分:「何をゴチャゴチャいっているんだ。おい、お前ら、これを見てみろ。すごい金だぜ」
子分3「親分、すごいですね。5人で山分けですね」
子分4「これでうまいもの食って、うまい酒飲んで・・・最高ですね。さっそく山分けを」
親分:「おう、そうあわてるな。じゃあいくぞ」
(子分たち、よろこんで親分のまわりに集まる)
親分:「これは、俺の分、お前の分、お前の分、お前の分、お前の分、俺の分、・・・(自分
だけ多めに分ける)」
子分1「親分、親分ばっかりじゃないですか」
子分3「全然、山分けになっていません」
親分:「そうかぁ、同じじゃねえか」
子分2「親分、やっぱり算数できないんじゃないですか! おれよりできない」
(庄屋:「どろぼー、どこにいった?どろぼうー」)
親分:「やべえ、逃げろ。庄屋のやつが追いかけてきた」
(子分たち、口々に何か言いながら逃げていく)
庄屋:「ちくしょー、あいつらめ。人をだましやがって。どこにいったんだ」
庄屋の娘:「おとう、もうあきらめよう。人を信じた私たちがいけなかったんだ。
くやしいけれど、もうあきらめよう」
庄屋:「なんてことだ。いつからこんな村になったんだ。人をだまし、人のものを盗み、
・・・・大人だけじゃない、子どもだって同じことを平気でしている。香月の村は・・・変わってしまった」
庄屋の娘:「死んだおかあが言っていた。『香月の村はいい人間ばかりだ』って。
でも、おとう、今はもう・・・。くやしいけど、もうあきらめよう。帰ろう、おとう」
●台本作りのポイント
台本作りで心がけたことを書きます。
1.全員の子どもを主役にする。
そのために、次の2つのことを考えました。
○場面構成を工夫し、たくさんの子どもを中心にする。
「現在→過去→現在」という額縁型の構成を考えました。これだと3つの場面をこの時
点で確実に作ったことになります。それぞれに中心人物を設定できます。
そして、「過去」の部分を細かく分けました。どうしてもこの場面は話の中心となります
から、他の場面よりも長くなります。そこで、この場面もいくつかの小さな場面に分かれ
るようにしました。
○主役、準主役以外の登場人物のセリフ数をほぼ同じにする。
子どもの関心の1つにセリフの数があります。あとの指導の実際でも述べますが、
「セリフの数は、ほぼ同じにしています(します)。ですから、どの役が「いい」というこ
とはありません」
とはっきりと子ども達に伝えて確認させました。
2.リズムとテンポに気をつける。
○ごく自然な会話になるようにセリフを考えます。
イメージとしては、漫才や吉本新喜劇です。笑 「声を重ねる」場面も多いのです。舞台に出
ている全員にリアクションを求めます。
もちろん逆に、ゆっくりとした場面もあります。事件の伏線になる場面や主題とつなが
る場面のセリフです。(ここでは音楽や照明も工夫します。)
○より自然に流れるように「遊び」のセリフも入れます。
重要なセリフにいく前に、回り道となるようなセリフのやり取りを入れるのです。劇を見
ている人が安心して楽しめる場面です。
●セリフの指導
「もっと大きな声で」
「それでは体育館では聞こえないよ」
という指導?の言葉を、
練習中に教師が何度も口にしている場面を見ます。
そのたびに練習が中断されているようです。
その原因の多くは、最初の不十分な指導にあるようです。
つまり、子ども達は、
・どれぐらいがいいのか分からない
・そのためにはどうしたらいいのか知らない
・練習してその声を出したことがない
状態で練習に入っているようです。
1.教師がモデルを示す
子どもの声を劇に合った声にします。
そのために教師がモデルを最初に示します。
子ども達全員を体育館の後ろに行かせ、
教師がステージの上で、
・お腹から出す声
・母音の口形を意識した声
・口形を1音ずつ意識して変えた話し方
・正面を向いて立ち位置を考えた話し方
をしてみます。モデルを示すのです。
良い例と悪い例の両方をします。
「どっちがいいか」
を問い、挙手させます。
そして、「これが基準です。合格ラインです」と話します。
2.実際にさせてみる
気をつけるポイントを確認した後に、実際にさせてみます。
必要に応じて、練習させます。
例えば、「あ・い・う・え・お」の母音の口形練習や発音練習をさせるのです。
3.一人ひとりを評定する
一人ひとりに「合格」「不合格」と評定します。
(もちろん配慮の要する子どもの場合はあります)
特に説明はしません。あるセリフを言わせて、
「合格」
「不合格」
と順番に言っていきます。すごいスピードで行います。
最終的には全員合格にします。
●演技指導の時によく口にする私の言葉
○「顔でしゃべって!」
子どもは人物の気持ちを声を変えることによって伝えようとします。
それだけでは十分ではありません。そのような子どもに、
「顔でしゃべって!もっと吐き捨てるように」
「かわいい天使でしょ!顔でしゃべって!」
などと指導します。その人物のその時の気持ちにあった表情を作って・・。
○「あなたの~が見たいなぁ」
恥ずかしがって演技が小さくなる子どもがいます。そのような子どもに、
「あなたの~が見たいなぁ。~がここには要るんだよ」
「それじゃあ○○だよ。あなたの~が見たいなぁ」
と言って、その子どもの演技をしてみせます。
○「あなたは、何メートル走ってきたの?」
その時の状況を考えさせる時に使います。
例えば、犯人を山道を追いかけてきた場面で、
「ちくしょうー、あいつらどこに逃げやがった」
というセリフを言うとします。
多くの子どもは、元気よく怒って言います。
そんな時に、
「あなたは、何メートル走ってきたの?」
と聞きます。
子どもは「?」という顔をします。そして、
「100メートルぐらい・・・」
『そうかなぁ。あっという間だね』
「1キロメートルぐらい・・それ以上・・」
『そうだろうね。けっこう長いよね。それに山道だから。
大切な宝物を盗まれて必死になって』
『息は切れて、汗は?』
「流れています」
『元気に立っておれるかな?』
「無理だと思います」
『じゃあぁもう1度してみよう』
という会話をするのです。
演技が変わります。
息せき切って、汗をぬぐいながら、両手をひざに置いて辛そうに、・・・。
○「ギャグはいいから。劇をしよう」
一生懸命に演じようとしているのに、
上手くできなくて失敗した子へのフォローの言葉です。
『ダメだよ。やり直し』
というよりも効果は大きいです。
その場の空気も和みます。本人も笑顔になります。
○「おおー、何てお若い○○でしょう!?」
その人物になりきっていない時に使います。
おじいちゃん役なのに、あまりにも元気が良すぎると、
「おおー、何てお若いおじいちゃんなのでしょう!?」
と、大げさに言います。すぐに子どもは演技を変えます。
他に、
「何てかわいいおばあちゃんなのでしょう!?」
「何てやさしいお兄さんなのでしょう!?」
いろいろ使えます。
○「能面が○人います」
舞台上演技をしていない子どもガいる時に使います。
セリフのない時の演技が不十分な子どもに言うのです。
舞台に出ている時には、
その時の状況に合わせてリアクションを要求するのです。
この言葉を言うと、
・自分で動き
・新しいセリフ
を考えるようになります。
☆以下の言葉は、子どもの演技をほめる時に使います。
短くバシッとほめることがポイントです。
本人もまわりも引き締まってきます。
○「それ、先生は好きだなぁ」
○「おっ、いいねぇ。○○だ」
(○○の中には、有名俳優・タレントの名前を入れます。)
○「場の空気が変わった!」
○「その演技、買った!」
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