2007.05.31
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カテゴリ: 我*詩




     三歳の息子は

     青いビニール地の雨合羽を

     頭から被り



     鶯色のスーツから伸びた

     僕の手を

     丸っこい手で掴む





     ローカル線に乗り込むと

     雨粒に光る窓



     つつつっ、と



     滴を

     ゆっくりすべらせ





     (発車の合図)





     その奥に





     白--駅の壁の白



            緑--線路脇の草の緑



        黄--名も知らぬ花の黄



                 赤--踏切に点る赤





     映るものを次々と

     にじませていく





     その窓の絵を



     思ったのに



     僕の首にしがみつき

     真反対を向いていて



     人の林の車内では

     まわれ右もできず





     残念な気持ちが

     無意識に

     不安にすり変わる





     「僕は子どもを ちゃんとまっすぐに 育てられるのだろうか」





     それでも電車は進み

     赤茶けた広場のカーブで揺れて

     息子は

     ぶらりと下がった足を気にする



     脱げかかった

     つやつや青い長靴を

     なおしてやり

     「大丈夫か」と

     顔をのぞくと



     「だいじょうぶ」と

     幼いながら

     落ち着いた調子で

     返って来た





     (駅に到着)





     細い雨が白い

     園までの道

     いくぞ、と強く手を引くと

     水たまり



     息子の青い長靴が

     ぴちゃりと

     音をたてた












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Last updated  2007.05.31 23:37:56
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