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人生は苦そのものである



 人生苦もあれば楽もある、とよくいわれるが、本当にそうなのか。むしろ、生きていくことは苦そのものである、と考えるようになった。池田晶子は、「生きていればいいこともある」という言い方で、自分や他人を慰める仕方があるが、あれはおかしい。「生きていればいいこともある」とは、裏返し、「生きていればもっと悪いこともある」ということである。少しも慰めたことになっていない。このような考え方自体が、じつは「苦しみ」のもとになっていることを知るべきだろう」といっている(『考える日々』)。

 私もそう思う。ただし何をもって苦というのかということになると必ずしも自明であるわけではないし、既にある出来事が直ちに人に苦しみをもたらすわけではない。何かを経験すればそのことが直ちに不幸の原因になるわけではない。

 しかし、この人生は手放しで楽しいところとはいえない。楽しくはないし、苦しみばかりといってもいいくらいだが、それでも、苦しいのだったら早くこの世からおさらばしていいということにはならない。どうせ死ぬのなら今死ねばいいとはいえない。心臓はやがて止まるのだから今止めればいいとはいえないのと同じである。



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