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2002/02/11

　筒井康隆の新刊「愛のひだりがわ」を数ページ立ち読みしたとき、その書き出しに川上弘美を感じた。筒井主催の「パスカル文学賞」でデビューした川上だが、今は筒井が逆に彼女に影響を受けてしまっているように思えた。
　は、ともかく。どうやら私は川上弘美作品が好きになってしまったようだ。「川上弘美が好き」となると、彼女は写真で見る限り美人なので誤解を招く。

　鰺夫のことを考えながら歩いていたのだ。早足で歩いていたのだ。鰺夫のことを考えれば考えるほど、早足になるのだった。
　そうやって、早足で歩いている最中に、手招きされたのだ。手招きされて、寄せられた。手招きされて、ついつい寄せられた。寄せられて、婆の家に入ったのだ。

『婆』冒頭

川上弘美「物語が、始まる」
「身がわり山羊の反撃」は
『河馬に噛まれる』と後期短篇
に収録。これ以外には多分入ってない。

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