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2002/02/12

　文学界新人賞同期の長嶋有氏が「猛スピードで母は」で芥川賞を受賞した一方、「蛆虫道」を歩むこととなった吉村萬壱氏の第二作。「クチュクチュバーン」と同系統の作品であり、インパクトは「クチュクチュバーン」より薄い。そしてこの人は、文章力が、ない。イメージを羅列しただけといっていいような作品でも、作者独自の文体で描き出され、それにはまれば取り憑かれてしまうのだけど、彼はそこが弱い。
　「幻想の未来」「驚愕の曠野」「デビルマン」「エヴァゲリオン」等々、「クチュクチュバーン」についてはいろいろ既視感を感じる過去作品があったように「人間離れ」にある「緑」「藍色」といった敵に相対した時に馬鹿な人間たちのする直腸を肛門から引きずり出す行為は「岸和田博士の科学的愛情」における安川二号他失敗作機械群の自傷行為を思い起こさせる。
　違ったものも書けないと仕事がまわってこなくなる気もするが、徹底してこのような「世界崩壊サーガ」を書き続けてもらうのもまた面白い。やっぱり文章力がカギになるだろうけど。

　河野多恵子はそういえば初か･･･新聞の書評ってのは大袈裟なもんだなあ･･･、と。
吉村萬壱「クチュクチュバーン」
河野多恵子「半所有者」

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