2003/03/16
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 先日、映画「戦場のピアニスト」を観た。その日の夢でも「戦場のピアニスト」を観た。巨大ロボットが小さなバイクになり、それに跨ってやってきた旧友が熱心に映画の良さを語っていた。彼は昔「わたしは、にっぽんの、サラリーマンです!」と前日に観た映画のセリフを校庭で繰返していた。その校庭がどこのものであったかは、忘れた。
 翌日数年振りにピアノの蓋を開くと、鍵盤が重く、戦場のピアニストのように軽々と弾きこなせなかった。左手はもう単純なリズムしか押さえることが出来ない。昔は苦もなく弾けた曲さえ忘れてしまっている。借りっぱなしの安物キーボードを引っ張り出し出鱈目に弾き、手を慰めた。
 夢と現を彷徨う短篇集。終わり二編『髭の子』『風邪の子』は「木犀の日」にも収録されていたので読んだことがあった。そのことを知らず『髭の子』を途中まで読み、この本はひょっとして一度読んだことがあったのかと、気付くのが遅すぎた自分を怪しんだ。
 途中うたた寝をすると短篇集の延長の文章がずっと夢の中で続いた。浅い眠りから起き上がった後でも覚めた頭でしばらく続けた。また眠り、時間の経ち方の遅いのに呆れた。夢の中に居るのと小説を読んでいるのとに遠い隔たりがなく、夢の中で足を滑らせれば『大きな家に』や『路地の奥』に出てくる蜃気楼めいた家に落ちていきそうな気がした。
 以前『髭の子』を読んだ時にはまだ私の祖父は生きていた。そういえば祖父用の髭剃りは家に帰ってきたが使われていない。父も以前祖父の髭を剃る時の様子を話していたが、よく覚えていない。さぞかし似た光景が繰り広げられたに違いないが、それも意識のある時の話だ、その頃まだ私は古井由吉の名を知らなかった。

古井由吉「長い町の眠り」(福武書店 在庫切れ)





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Last updated  2003/03/16 01:24:14 AM
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