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こえめ
です![]()
友人の実夏が語る
幼稚園時代の真矛とリカさんとの思い出。
初めての真矛の家では、
いやな思いをして泣きながら帰った実夏。
次の日、真矛から声をかけられ、
仲直りできてよかったね。 ( 前のお話 )
―4― 実夏
幼稚園じゃ相変らず、
彼女は表情に乏しかったけれど、
二度目に行った真矛の家は、
この前と打って変わって、とっても楽しかったわ。
その時はリカさんお手製のプリンを食べながら、
スプーンをくわえた顔を、見合わせて笑ったり、
裏庭の二人乗りブランコに乗ったり、
とにかく一緒に遊べるようになったんだから。
飼い猫パールのフワフワな背中にも、さわれたしね。
それ以来、あたしたちは毎日のように遊んだの。
もちろん真矛の家で。
だって、狭いあたしのうちじゃ、
全然、面白くも何とも無いもん。
ママが、たまにはうちに来て貰いなさいって言うから
そうしたけど、スゴロクなんかで遊んでも、
ちっとも盛り上がらなくて。
彼女の家は、とっても自由で、
やりたい事はほとんど何でも、させてもらえたわ。
リカさんの見ている前でなら、
ナイフで木を削ったり、包丁でりんごを切ったりしてよかったんだもの。
それに、どんなに騒いだって走り回ったって、
リカさんは、笑っているだけで叱らないし。
お庭も家の中も、大抵の場所は入れたのよ。
真矛の家を取り囲んでいる、
あの、お化けが出そうな森だって、
足元に光が届く所までなら、入っても良かった。
うちのママだったら絶対、一歩だって許さなかったでしょうけど。
なんでも何年か前に、真夜中その森で、
銀色に光ったな大きな蛇が
バキバキ音を立てて人間を食べてたのを
見た人がいるっていう、うわさがあったんだって。
でも真矛と遊んでいるときは、いつも小鳥の声がしてたし、
リスだって見たことあるわ。
大蛇なんて、全然出てきそうじゃなかったけど。
もし何かあっても、大声で呼べばいつもリカさんが来てくれたし、
ちょっとした虫刺され程度なら、リカさん秘伝のお薬で
あっという間に治っちゃうのよ。
えっ? 大蛇と虫じゃ食われ方が違う?
うは、本当だ。
だけど、あたしがこうして真矛の話をしているんだから 、
少なくともあたし達にとっては、
その森は安全だったってことじゃない?
それとね、真矛の家で、もうひとつの楽しみは、
何といっても、お・や・つ!
食い意地が張ってるとでも何とでも、
思ってくれて結構よ。だって、
真矛のパパが時々帰国するとき買ってきてくれる
珍しい外国のお菓子、
それにもちろんリカさんが作ってくれる、
魔法がかけられたみたいに美味しいお菓子。
そりゃあもう、世界中探したって
こんなに素晴らしいものは他に無いってくらいよ。
一度ママに、アップルパイの話をしたら、お礼にって、
変な柄の、もらい物のハンカチを出されて、
仕方ないから、リカさんに手渡したけど、
子どもとしては、なぜかママに裏切られた気がしたのよね。
それ以来ママには真矛の家のことは、あんまりしゃべらなくなっちゃった。
あたし達、小学校に入ってからも、いつも一緒だった。
ほとんど姉妹みたいだったわ。
その頃は、真矛もたくさん笑うようになっていた。
学校が終わると、そのまま二人で手をつないで、
うちの前を通り過ぎて、
真矛の家に「ただいま」って入っていくの。
一緒に宿題やって、おやつ食べて。
あっ、ねぇ、広いお庭と大きな家、
そこで二人っきりでかくれんぼしたら、
どうなると思う?
さっきも言ったけど、大抵の場所は入れたわけ。
カギがかかってなければ何処でもね。
(つづく) ( 次のお話 )
魔法の真矛ちゃん(16)実夏 March 20, 2009
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