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カテゴリ: 魔法の真矛ちゃん

メールお話の国へようこそ。 こえめ です手書きハート

 すっかり兄弟のように仲良くなった

真矛と実夏。( 前のお話

さあ、どんなかくれんぼになるのでしょうか。


―5―

真矛の家は、

昔、どこかの大金持ちのおじさんが、

外国人に頼んで造ったんだって。

持ち主が何回か変わって、

真矛のパパで、何人目っていったかな......?

とにかく何度も、建て増ししてあるの。

 だから、長い廊下の真ん中にいきなり坂があるとか、

階段の踊り場が畳敷きだったり。

あと、急な階段で上がったかと思うと、その向こう側は、

そのまま降りる階段がつながっていたりね。

おかしな家でしょ。でも大好き。

それで、その家とお庭でかくれんぼするわけ。

やる事は、スケールが大きいほうが、

楽しいじゃない?

それであたしたちは、鬼なんて決めずに、

ただ、「れでぃーっ、ごお!」で

お互いの反対側に向って、走り出すの。

その日も、

暑いくらい良いお天気で、

またあたし達、庭の真ん中から、背中合わせにスタートしたの。

開けたままの玄関に飛び込む寸前に、

真矛が建物の角の向こう側に走って消えるのが、

ちらっと見えたわ。

外から薄暗い玄関に入って目がくらんだ。

目を凝らすと真っ暗な中に、

あの変な階段がぼうっと見えたから、

走って上ってまた降りて、

最後の三段は飛び降りた。

足がジーンと痺れたけど関係ない。

そのまま廊下を左に曲がって

何番目かのドアを押し開けた瞬間、

あたしは固まった。

誰かいる!

どっ、どどどおしよう!

真矛が裏口から入ったにしちゃ早すぎるし、

リカさんはさっきお買い物に行ったばかり。

 逃げなきゃ!

 怖いものにつかまらない様に

両手を思いっきり振り回しながら、

相手に、あたしが怖がっていると思われたら

もっと怖いことになるような気がして、

「キャー」じゃなくて

「オーッ」て低い声で言いながら、

突き当たりの明かりに向って走った。

ガシャンとドアにぶつかって、ノブに手をかけた。

カギが閉まっているかも――

背中が ヒヤッとした。

勢いよく回しすぎて、手首が痛い。

木枠のドアはあたしの体重で

何の抵抗もなく開いて、

寄りかかっていたあたしは、ドアノブにつかまったまま

地面に投げ出されそうになって、

半分ぶら下がった格好……。

 たすかったぁ……。

ドアノブの金属の表面が

手の平にこすれて熱かった。

 暖かい外は、相変らず小鳥の声がしていて

平和そのものだった。 

ちょうどその時、真矛が

「あっ実夏ミッケ!」って

向こうから走ってくるのが見えた。

あたしは「出たあ!」って言って

立としたんだけどなんだか足に力が入らない。

変な気持ちで、とにかくドアをバンッて閉めて、

すりガラスに何も映らないか、こわごわ確かめた。

そこには廊下の暗がりが

灰色に映っているだけだった。

「どおしたの!大丈夫?出たって何が?」

真矛が驚いて聞いた。

何か答えたと思うけど、よく覚えていない。

あたしその時、よっぽどひどい顔していたんだと思う。

真矛があたしを抱えるようにして、

木陰に連れて行ってくれて、

背中をさすってくれたの。

でもこうしている間にも、木枠のドアが開いて

何かが飛び出して来そうで、

気が気じゃなかった。

今はただ、おうちに帰りたい。

そう言ったら、真矛がおんぶしてあげるって、

背中向けたから、

うん、て手を回したら、リカさんと同じにおいがした。

真矛は一所懸命がんばって

何度も背負いなおしてくれたけど、だんだんずり落ちてきて、

真矛のほうが背が低いから

そのうちまるであたしが真矛のこと

羽交い絞めにしてるみたいになっちゃって、

 それがなんだか可笑しくて。

おかげであたしはとっくに元気になってたけど、

そのままあたしの家まで

二人でくすくす笑いながら

二人羽織みたいになって歩いて行ったの。

家に着いてカギを開けようとしたとき、

ランドセルを真矛の家においてきちゃった事に気づいて、

石の下を探ったけどここにもカギが無い!

ママ、戻し忘れたんだ。

ママは暗くなるまでお仕事している。

仕方ないからまた真矛の家に戻る事にした。

リカさんがそのうち帰ってくるだろうし。

さっき歩いてきた道をまた二人羽織で歩いても、

さっきみたいに笑えなかった。

 「真矛はおばあちゃんがいて、いいね」

って言ったら、真矛が不思議そうな顔をした。

「えっ? おばあちゃんはいないよ」

「だって、いるじゃない、リカさんが」

「リカさんは、あたしのおばあちゃんじゃないよ」

「えぇ!じゃ、誰の?」

リカさんは、真矛が生まれる前から、

住み込みのお手伝いさんとして、ずっとあの家にいたんだって。

 「パパが言ってたけど、リカさんはママにとって、

すごーく大切な人だったんだって。

ママは死んじゃったけど、

今はパパと私にとって、すごーく大切な人なのよ」

何だかよく分からなかったけど、

すごく大切な人。それだけはよく分かった。

でもどっちかって言うと、真矛のほうが、

リカさんにすごーく大事にされてるみたいだけど。

真矛の家の森が見えてきた。

(つづく)  ( 次のお話

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Last updated  September 22, 2009 04:55:20 PM
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