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こえめ
です![]()
作るのは、どんびえアイスだけじゃないのよ。
パウンドケーキだって焼きます。
リカさんには負けるけどね。
魔法の真矛ちゃん(友人・証言)1~3と連動しています。
―真矛・告白― (3)
「真矛。あなたは特別なのよ」
「特別」という言葉の意味もまだ知らなかったけど、
その時のリカさんの顔と声から、
少なくともリカさんにとって、私は
実夏とは違う存在なんだということが、なんとなく分かった。
彼女の胸には、
いつも指輪が下がっている。
バラの模様が精巧に施された、古い銀の指輪。
普段は服の下に隠れていることが多いけど、
私とお風呂に入るときでも、それを外さない。
私は、リカさんの大きくて暖かい手に
小さな両手をすっぽりと包まれて、
目の前で揺れている指輪に視線を奪われていた。
見慣れたはずの指輪が、
なぜかとても重要なもののような気がした。
その時、指輪は私にとって特別なものとして、
リカさんが着ていたセーターの色や質感までもが、
鮮明に私の脳裏に焼きついたのだ。
私は、何かに畏れ驚きながらも、嬉しいような誇らしいような、
更には、生まれたてのひよこが
初めて動くものを見たときのように、
不思議と新らしい気持ちになっていた。
そしてその感覚は、指輪の存在感と共に、それ以来ずっと、
私の中に強いイメージで残っている。
ぼうっと指輪を見ている私に向かって、
リカさんが唐突に言った。
「実夏ちゃんとは、きっと仲良くなれるわよ」
その時はただ、
そうかな、と思っただけだった。
次の朝、
私は、ウサギ号と呼んでいた幼稚園バスの
桃色のステップを踏みながら、
夕べのリカさんの言葉を思い出してた。
(実夏ちゃんと仲良くなんて、やっぱりそんなの無理……)
でも私たちは実際、リカさんが言ったとおり、
とても仲良しになったのだ。
幼稚園で一緒にブランコに乗ったその日以来、
私たちは姉妹のようにいつも一緒だった。
小学校に上がっても、それは続いた。
そして、私はある日、実夏の力に気付くことになる。
そして私が私である意味も……。
( 次のお話 )
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