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こえめ
です![]()
だけど何でも叶っちゃったら嬉しくない。
そんな謙虚な考えもあったりします。
魔法のランプで3つ叶うぐらいがいいかな(充分欲張り)
お話の総合目次は フリーページ にあります。よかったら。
では真矛の幼稚園時代の回想。
実夏ちゃんとの思い出です。
魔法の真矛ちゃん(友人・証言)1~3と連動しています。
―真矛・告白― (2)
「こんにちは」
実夏は、似合いもしない
大きなひらひらのリボンをつけてきた。
私はその色が大嫌い。
ううん。そうじゃない。本当は大好きだ。
少し濃い目のピンクは、ママがよく着ていた色だったの。
その色が、私にママのことを思い出させる。
きれいでお洒落で、優しかったママ。
大好きなママ……。
その色を見ていると、涙が止まらなくなる。
だからいつの間にか、
自分でも着なくなった色……。
それなのに、どうしてこの子が、こんな子が、
同じ色のリボンなの?!
突然沸き起こった強い気持ちは、嫉妬にも似ていて、
悲しいというより、悔しかったのだ。
私は泣きたいのを、必死になって我慢した。
私が泣いているときママはよく、
「ちちんぷいぷいっ」
って言って人差し指でクルクルって、してくれた。
そうすると本当に、痛くなくなる、
不思議な不思議なおまじない……。
実夏がリカさんと話をしているのをみて、
リカさん、あの子にも優しいんだって思ったら
本当に涙がにじんできて、
私はあわててクルクルおまじないをした。
ママがしてくれたのと同じように……。
実夏がそれに気が付いたみたいだったけど、
泣き顔を見られるよりは、余程ましだと思った。
それから実夏が、パイをのどに詰まらせて、
何だか大騒ぎして帰っていったんだっけ。
その日の夕食のとき、リカさんが
私の目を見て言ったの。
「真矛。あなたは本当に、ママにそっくりね」
私はそう言われるたびに、とても嬉しかった。
なんとなく、ままがそばに居てくれるような気持ちになれるのだ。
リカさんはいつだって私に優しいけれど、
その時のリカさんは特別優しくて、
でもなんだか泣きだしそうな顔に見えた。
その時、(あぁ、よかった。リカさんも私と同じ、悲しいんだ)
って思った。
泣きそうな顔のリカさんにおまじないをしてあげようと思い、
リカさんに向かって人差し指を出したら、
リカさんは椅子から立ち上がり、
私の手を、大きな手に包み込んでこう言ったの。
「真矛。あなたは特別なのよ」
それがどういう意味なのか、
その時の私には、全然分からなかったけど、
リカさんの真剣な顔がなんだか恐いくらいで、
私は思わず目をそらし、
リカさんがいつも首から下げている指輪を見つめた。
( 次のお話 )
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