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空気が澄んでるから深呼吸。 こえめ
です![]()
ちょっと秋の気配の空気感。
でも日差しはまだまだ暑いですね。
マイケル様の手袋が、456億円で落札されました。 Σ ^ФДФ^
↑ これ間違いましたー。失礼しました。億円じゃなくて
456万円 です。桁間違いすぎッ(大汗っ)
マイケル様ときくだけで、
私の脳は国家予算並みの価値を感じてしまうのです。
教えてくださった方、ありがとうございました。9 /9追記
2度目の結婚当日に
「ゴースト」試写会で客席に投げた
クリスタルがちりばめられた手袋。
……魔法使いの手袋?
―真矛・告白― (10)
液体の色の変化に驚いた二人の様子から、
彩葉がどんな魔法を使い
山本が何を見てそれを如どう思ったか、だいたいの見当は付いた。
教室を飛び出す彩葉に足を蹴られても、
黙って息だけ弾ませていた山本。
その表情が、魔法を信じている何よりの証明だと、
私の中の何者かが悟っている。
そして何者かのフィルターを通して
事実を感じ取った私がいる。
その異様な感覚に、胸が詰まった。
後から来た先生が山本を抱き起こし、
山本の報告に反して色の変わっていない
ビーカーを見て、変な顔をした。
その後山本がどんな言い訳をしたのか忘れたが、
なぜか実験は成功したということになっていた。
放課後の理科室を出て昇降口に向かいながら、
山本から話しかけられるのをおそれながらも、
彼への答えを考えていた。
彩葉の魔法に関して、
私が直接なにかをしたわけではない。
そもそも私には、魔法が使えないのだから。
あれは彩葉がもともと持っていた力だった。
人間界の生活で覆い隠しまった魔法の力が、
何らかの関係で噴出したのだ。
そう、しかも私と関係がある気がしてならない……。
それは、夢に出てきた女の人の「あなたは魔法使いなのよ」という言葉や、
その朝見た予言的なイメージから来る
あやふやな期待感などというものではなく、
私自身の存在それ自体を決定付けてしまうような、
私の中に棲む何かと深く関わっているはずの、
もっとずっと重いもの……。
私は戸惑いと同時に
なぜか焦りを感じていた。
靴をはこうとしていた私の後ろから、
山本が聞いてきた。
「なあ、さっきのあの水、何だったんだ?」
私はわざと、何気ない風をよそおって答えた。
「水?……見えなかったわ」
「お、お前がやったんじゃないのかよ……?」
「何を?」
「色が変わっただろッ、何度も何度もッ……
あんなこと、魔法に決まってるんだッ!……あっ、シーッ!」
山本は慌てて人差し指を口に当てたあと、
私を睨んだ。
こいつはきらいだと思った。
《――だが、必要な人間だ――》
私はハッとして息を呑み、山本を見た。
しかし今の声は、私の頭の中で聞こえたようだった。
彼はそんな私に、どうした? と言うような顔をしていた。
「やっぱり……魔法……だったんだろ?」
なおも聞かれ、私が黙っていると、
彼は何かを納得したように小刻みにうなずき、
急に真っ青な顔でランドセルを掴んで
逃げるように駆け出した。
途中、靴の片方が飛んで拾い上げると、
それを履きもしないで手に抱えたまま、
走り去っていった。
私はそんな山本を呆然と見送りながら、
さっき頭の中で聞こえた声の意味を考えていた。
必要な人間。
声はそう言ったのだ。
山本が、一体何に必要だというのか。
私に何が起こっているというのだ。
突然めまいに似た感覚に襲われ、
誰もいなくなった下駄箱の前で
しばらく座り込んでいた。
(つづく) ( 次のお話 )
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