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ダイエットに対する興味関心はおどろくべき多さだ。太っていることを個性とする発想があってもいいじゃないか?という反論が野暮にみえるほどだ。
もうひとつ野暮な話をしたいと思う。ダイエット食品についてである。
昔、10年以上にわたって、アガリスクという抗ガン効果のあるとされる健康食品の宣伝がマスコミで堂々とされていたことがある。数年前、その会社は捜索された。そして、その効果を示す「体験談」が1から10までねつ造であったことが公表された。そこには、わずかな真実のかけらすらなかった。世間で皆が語っていた状況と重ね合わせると、そら恐ろしくさえ感じられる。
医療者には、アガリスクの現実はわかっていた。おそらく、最盛期、がんと言われた人の8,9割の人はアガリスクを手にとっていたと予想される。「おそらく」というのは、医者にアガリスクを飲んでいると告げる患者さんが、そのことを黙っている患者さんよりずっと少ないからだ。「医者にいうと反対されるからいわないほうがいい」「抗がん剤治療以外を認めないこころない医者かどうかはアガリスクを使うことを認めるか認めないかが踏み絵になる」沈黙していた患者の存在を知るのは、患者が原因不明の肝機能障害をおこしたとき、その理由を知るためにいろいろ患者にたずねて患者が「白状」したとき、というケースが多かった。
今のダイエット食品の過熱する宣伝は、いずれ、かつてのアガリスクのような事態になるかもしれない。その効果や体験談は、かつてのように1から10までねつ造だと大きな声でいえば、つるしあげにあうような危惧さえある。そこまでいかなくても、声高く反論すること自体、野暮であるという事態にはすでになっている。
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