へっぽこ院長の独り言

【水治療】





【水治療】

水治療水治療


水治療
水による効果

水中では浮力により体重が軽くなり,乳頭の深さでは約1/4となる.
よって筋力低下がある場合でもわずかな筋力で運動可能である.
また,抗重力筋の緊張が抑制され,水中運動は非常に円滑になり,
痙性麻痺の運動療法の一つとしても用いられる.
水位が膝まで   →15%の体重減少
水位が大腿まで  →20%の体重減少
水位が股関節まで →40%の体重減少
水位が腹部まで  →50%の体重減少
水位が乳頭まで  →75%の体重減少

水中では水深に応じた静水圧を受ける(水深1mで0.1気圧).
この影響で皮膚表面に近い静脈の潅流が促進されるため,水中では起立性低血圧は起こらない.
深めの入浴では体が受ける静水圧は高くなり,静脈還流が促進され右心負荷は増加する.
よって,心不全患者には適さない.

水の粘性抵抗は筋力増強として利用できる.
また失調にはブレーキをかけ,失調患者の訓練にも適している.

温浴時の体温,特に深部体温の上昇は非常に速やかであるが,これは熱が直接深部に伝導するのではなく,皮膚毛細血管で暖められた血液が静脈を介して身体中深部に熱を運び込むためである.

一般に水治療には38~40℃の温水が用いられる.
41℃の入浴では血管拡張作用により血圧は低下する.
42℃以上の高温刺激は侵害刺激として働き,著明な交感神経緊張,精神刺激,筋緊張の亢進を起こす.
不感温度を中心として,湯温の上昇,下降ともに代謝は亢進する.

作用機序と効果と適応

作用機序 効果 適応
浮力 重力の軽減
抗重力筋からの反射抑制
麻痺性,疼痛性疾患
脳性麻痺の水中訓練
水の粘性抵抗 全方向の運動抵抗 水中歩行,運動浴
静水圧 静脈還流増加,胸廓圧迫,低血圧防止 心拍出量を増加させるが心不全,呼吸不全の場合は浅い入浴を行う
水流,水圧など 皮膚刺激
マッサージ効果 浮腫,痛み,うっ血
温熱作用 血管拡張,心拍出量増加,代謝亢進
コラーゲン軟化,中枢作用 筋・骨関節疾患,神経疾患,高血圧,心臓病
末梢循環不全による浮腫,冷え性(中高温),肥満(やや高温)
爽快感,清潔 浮遊感,適温刺激  

水治療の特徴と種類

訓練用プールでの水温は32~40℃の間で,季節や対象患者の年齢,疾患,運動内容に応じて調節する.
浮力と水の粘性抵抗を運動療法に利用している.
浮力により水深の深さに応じた体重減少が得られ,下肢にかかる負荷が軽減される.
このため慢性関節リウマチの下肢疼痛時や踵骨骨折などの下肢外傷後の歩行練習によく利用される.
また,筋力低下がある場合にはわずかな筋力で運動が行えるため良い適応となり,脊髄損傷者でも積極的に用いられている.
逆に抵抗板などを利用すれば抵抗自動運動も可能となり,筋力強化運動としても利用できる.

ハバードタンクは,患者が寝たままで入れるため,発病早期や筋力低下がみられるなどの,他の条件で起座が不能な場合に37~40℃程度の温浴で用いられる.

四肢の部分浴には温度40~42℃程度のものが用いられる.

交代浴は全身浴ないし局所浴(足浴)として行われる一種の血管体操である.
38~40℃の温水と,15~18℃の冷水を用意し,必ず温水から開始し,温水に8~10分間つけてから冷水に8~10秒つけるのを2~3回繰り返し行い必ず冷水で終わる.

不感温度

不感温度とは身体に及ぼす影響がない温度のこと.
不感温度による全身入浴(首までつける)の影響には浮力,流体抵抗,静水圧がある.

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