孤高なゾウ

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諸葛亮孔明1900

諸葛亮孔明1900

Category

Dec 5, 2008
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カテゴリ: Episode 5

淡く滑らかな朝日がゆっくりと

砂浜と叢の境に打ち上げられた

無防備な身体を静かに暖めているのを感じる。

静かに目蓋を開け、目線を海へ向ける

そこには昨夜、切なさと官能を共有した

あの青白く優しい海の面影は消え去り

ただ機械のように

寄せ返し続ける波の姿があるだけ・・・

足元には薄青いガラスに戻った滴が

そこがもう自分の居場所かのよう小指に収まり

やさしい朝光を受け、小さく輝いていた。

温まりつつある身体に五感が戻ると

何かが手に収まっている感覚を感じ

そっと広げた手を覗き込む・・・

いくつもの小さな突起を身に纏った青い巻貝がひとつ。

それはガラス細工のように滑らかな光沢を称え

洗練された受話器のように、手に収まっていた。

 引き寄せられるように耳に這わせると、

聞き覚えのある、小さく優しい声が耳から注ぎ込まれ

甘く愛しい想いを呼び覚まし・・・

気付くと巻貝を壊し兼ねない程強く

充血した耳に押し当てていた。

耳から剥がした巻貝を

まるで宝物を貰った子供のように

そっと両手に包み込む

脱力感が残る体をゆっくり起こし

裸足で砂地を噛み締めながら海に背を向け

ゆらゆら家路へと歩き出す・・・

次の約束を伝えてくれた、 綺麗な巻貝を眺めながら・・・






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Last updated  Jan 16, 2009 11:14:46 AM


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